Gaming
自分に合った格闘ゲームを選ぶなら、「いいな」と思える作品から始めてみるのが良いだろう。そのためにはまず実際のプレイをチェックする必要がある。
チェックする方法は誰かの配信の視聴、トーナメントの観戦・参戦、あるいは攻略動画など多々存在するが、ベストと言えるのがローカルトーナメントだろう。様々なタイトルに慣れることができる上に、様々な人たちからの意見をもらったり、リアルタイムで質問したり、トーナメントへ参加したりできるからだ。
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6つの判断基準
格闘ゲームの中では様々なことが起きている。だからこそ、ルックスが似ている作品があっても完全な別物として扱われている。しかし、細かく中を見ていく前に、まずは大きな違いから見ていきたい。
1:ビジュアル
誰もがゲーム批評家のように振る舞いたいが、突き詰めれば、自分がプレイしたいと思えるかどうかだ。というわけで、どんなゲームもまずは自分にとって魅力的なビジュアルでなければならない。
近年の『鉄拳』シリーズや『ストリートファイター』シリーズのようなどちらかというとリアルなビジュアルの作品は、印象的なファイティングスタイルとリアルなゲームプレイを楽しみたい人たちにとって魅力的だろう。
一方、『ペルソナ4 ジ・アルティメット イン マヨナカアリーナ』や『Marvel vs.Capcom 2』のような派手なアニメーションとスプライトがビジュアル的な特徴のタイトルも存在する。
ビジュアルは個人の好みがかなり大きく左右する部分だが、多くの初心者たちにとって自分がプレイするゲームを決める上での大きな判断基準のひとつになっているのは確かだ。
2:ニュートラル
大半の格闘ゲームでは、 “ニュートラル” 状態(Neutral:五分五分の状態 / 探り合い)で多くの時間を過ごすことになるので、どのようなニュートラルが自分の好みなのかを理解しておくことが重要だ。対戦相手の懐にどのように飛び込めるのか、対戦相手の攻撃をどのように受け止めたり回避できたりするのかは、タイトルごとに大きく異なる。
ニュートラルのスピードは、スローペースな探り合いが特徴の『サムライスピリッツ』シリーズから、エアダッシュで一気に懐に飛び込める『BLAZ BLUE』や『GUILTY GEAR』シリーズまで様々だ。
ニュートラルにはタイトルの数だけの違いが存在する。たとえば、チームやタッグでプレイするタイトルにはアシストやアクティブスイッチなどのシステムが用意されている。また、多くのタイトルが『The King of Fighters XV』のシャッターストライクのような独自のシステムを用意している。
また、多くのプレイヤーにとって「ニュートラル = 格闘ゲーム」であり、つまり、格闘ゲームの一般的なイメージは『ストリートファイター』シリーズでの読み合いや足払い合戦だ。よって、こちらも重要な判断基準として扱って良いだろう。
ニュートラルは対戦の大半を占めるので、格闘ゲームのゲーミングエクスペリエンスを定義づける。自分がどのようなプレイを楽しみたいのかが反映される部分でもある。
飛び道具合戦はあまり好きではなく、いきなり近距離で殴り合いたい人なら、『ストリートファイター』シリーズよりも『鉄拳』の方が良いだろう。
3:プレッシャー
格闘ゲームでは、ニュートラルを優位に進められるようになったあともやるべきことが残っている。
ニュートラルを制してプレッシャー(Pressure:攻撃に出る・前がかる)へ移行する流れはパーフェクトな攻撃には不可欠だ。よって、“どのようにプレッシャーをかけられるか” は、多くプレイヤーにとってタイトルの選択基準のひとつになっている。
『ストリートファイターV』のように、ガードでフレームアドバンテージを得たり、腰が引けている対戦相手を投げで咎めて高火力のコンボに繋げたりできるタイトルがある。
『鉄拳』シリーズもプレッシャーを重視している格闘ゲームのひとつで、たとえば、三島家キャラクターは奈落払いで相手のガードに択攻めを仕掛けることができる。
一方で、一部のタイトルは択攻めをほぼ完全に除外している。『GUILTY GEAR』シリーズのキャラクターたちはフレームアドバンテージを得られるが、このゲームはほぼガードか起き攻めの2択だ。
また、『スカルガールズ』、『Marvel vs. Capcom』シリーズ、『BLAZ BLUE クロスタッグバトル』をはじめとするチーム / タッグ制タイトルは、アシストキャラクターがポイントキャラクター(使用中のキャラクター)をカバーすることで択攻めへ繋ぎ、リスキーな選択肢を残せるようにしている。
自分がどのような形で相手にプレッシャーをかけたいのかを理解することが、タイトルを決める助けになるだろう。
4:キャラクターラインアップ
キャラクターがタイトルの印象を決めてしまう可能性を認知しておくことも重要だ。たとえば、『GUILTY GEAR』シリーズのようなタイトルはキャラクター間の違いがとても大きく設定されている。
格闘ゲームの大きな魅力のひとつは、自分の(ファイティング / プレイ)スタイルが最強であることを証明できるところにあるが、そのスタイルはキャラクターによって決まるときが多い。
また、キャラクターの性能差は関係なく、単純に自分好みのスタイルかどうかでプレイするタイトルが決まってくるときも多いので、リサーチをして、自分が希望するスタイルにフィットするキャラクターを見極めることがタイトルを選ぶ助けになるだろう。
たとえば、飛び道具で距離を取れるフリーザが好きなら、『Marvel vs. Capcom』シリーズのモリガンや『ストリートファイター』シリーズのダルシムも好きかもしれない。
もちろん、キャラクターのルックスや雰囲気だけでタイトルを選ぶ可能性もある。ピンときたキャラクターを選択し、時間をかけてその立ち回りを理解していくのも参入ルートとしてはまったく問題ない。『Killer Instinct』のジェイゴで忍者スタイルを楽しむのも、『GUILTY GEAR』のメイでイルカと一緒に楽しむのも、プレイヤーの自由だ。
5:入力の難易度
格闘ゲームの入力難易度は数十年前から議論の対象になっているが、ひとつ分かっているのは、ここも多くの人にとって重要な判断基準になっているということだ。
一部の格闘ゲームは入力が非常にシビアで、何時間も練習したあとでようやく基本コンボを出せるようになる。しかし、この難しさが一部のプレイヤーを惹きつけているのも事実で、実は多くプレイヤーが不満を感じていない。
しかし、議論が起きているのは事実であり、開発側も意識している。そのため、『DNF Duel』、『グランブルー ファンタジー バーサス』(『GBVS』)、『ドラゴンボール ファイターズ』、『GUILTY GEAR STRIVE』などでは、入力難度を下げる努力が確認されている。
『GBVS』を例に取ると、方向キーと特殊技ボタンを組み合わせることで様々な必殺技が出せるようになっている。いわゆる昇龍拳のようなクラシックな入力コマンドでもこのような必殺技が出せるが、特殊技ボタンをあらかじめ用意することで新規プレイヤーたちの興味を引こうとしている。自分が出したい技やコンボが画面上で確認しやすくなれば、それだけゲームへの興味が深まるからだ。
また、このような簡単な入力がOPにならないように、簡易入力による必殺技はクールダウンの時間が長くなるなどの調整が行われている。尚、このような調整や差別化はジャンル最新作『ストリートファイター6』でも確認できる。
格闘ゲームのデベロッパーたちはコンボ入力の簡易化などで難度を下げようとしているが、上手く調整されれば、格闘ゲームの特有の複雑さが一切損なわれることはない。
6:トレーニングモード / シングルプレイヤーモード / ネットコード
格闘ゲームのゲームプレイは非常に魅力的だが、プレイヤーたちから興味を持たれ、彼らが投資を続けたいと思う仕掛けやインフラが揃っていなければ台無しになってしまう。
近年はこれまで以上にオンラインのネットコードに注目が集まっている。プレイヤーとトーナメントオーガナイザーたちがオンラインで活動する機会が増えているからだ。しかし同時にネットコードの影響による入力遅延が悪目立ちする機会も増えている。
有り難いことに、デベロッパーたちはこの問題の解消に取り組んでおり、多くのメジャータイトルがロールバックを実装しているか、実装に向けた努力を続けている。
しかし、機能ではなくコンテンツがプレイヤーの成長に影響するときも多い。つまり、パーフェクトなトレーニングモードが実装されている必要もある。トレーニングモードは今でもタイトルごとのクオリティ差が大きい部分なので、気になるタイトルのトレーニングモードで充実した入力練習ができるかどうかを確認しよう。
初心者にはそのような入力練習よりも、チャレンジやミニゲームなどを含めたチュートリアルの方が重要かもしれない。『GUILTY GEAR Xrd』はそのようなチュートリアルが充実しているタイトルの好例だ。
この作品のチュートリアルでは、キャラクターのナビゲーションに従って基本技の入力や攻撃方法が学べるようになっている他、特定の状況における対応を問う課題をクリアしていくミッションやコンボ練習ができるチャレンジなどが用意されている。
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最後に
上記すべてが自分に最適な格闘ゲームを選択する際の判断基準になるので、時間をかけて選んでみよう。とはいえ、結局のところ、格闘ゲームコミュニティ全体が新規プレイヤーの参戦を心待ちにしているので、どのタイトルを選んでも楽しめるはずだ!
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