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4輪ドリフトをマスターしよう!

© Goodwood
Written by Greg Stuart
BTCCを始め数々のヒストリック系レースで活躍するアンドリュー・ジョーダンが実践的な4輪ドリフトテクニックを伝授!
最近のレーシングスクールで4輪ドリフトが教えられることは少ないようだ。しかし、かつてのサーキットでは、4輪ドリフトは一種のアートフォームとされ、古典的なプライ構造のタイヤ(バイアスタイヤとも呼ばれる。ラジアルタイヤ登場以前に広く使われていたタイヤ構造で、現代的なラジアル構造のタイヤに比べると剛性・グリップ共に低い)を使用するヒストリックカーレースなどでは今も頻繁に目にすることができる。
英国国内のサーキットで4輪ドリフト・シーンを見たければ、グッドウッドで開催されている「グッドウッド・リバイバル」、または「メンバーズ・ミーティング・レース」に出かけてみるのが一番だろう。おそらくそこで最も見事な4輪ドリフトを披露しているのが、2013シーズンのBTCC(英国ツーリングカー選手権)のチャンピオンで、ヒストリックレーシング界の名手として知られるアンドリュー・ジョーダンだ。
「グッドウッドでは、1コーナーから3コーナーまでずっと4輪ドリフトを使いますね」とジョーダンはRedBull.comに対して語る。「通常のサーキットドライビングでは、コーナーの出口は直線的に立ち上がりますが、4輪ドリフトでは、コーナーの出口でコースアウト寸前までスライドします。4輪ドリフト状態の時は、ステアリングをほとんど使いません。むしろ、ドリフト中のホイールはほぼまっすぐな状態なんです。4輪ドリフトが上手く決まった時は、クルマのバランスが絶妙な状態に保たれているので、本当に気持ちが良いですよ」
ただし、いわゆるパワースライドと4輪ドリフトを混同するのは禁物だ。
「パワースライドは単に大きなオーバーステア状態を作り出してスライドさせることを意味しますから、4輪ドリフトとは全く別物ですね。というのも、ヒストリックレースで良く使用されるAustin A40やMiniでは、クルマが前に進もうとする慣性を保つために4輪ドリフトを活用しているのです」とアンドリューは語る。「派手な走りで目立ちたいだけなら、大きなパワースライドの方が効果的でしょうね。ですが、サーキットでのラップタイム短縮を目的とするなら、オーバーステア状態と正しい4輪ドリフト状態の間には微妙な差があります。4輪ドリフトはクルマが前に向かおうとする慣性を保ち、スピードを高くキープするためのものです」
では、4輪ドリフトはどのようにしてマスターできるのだろう? ジョーダン自身による3つのステップに分けた解説をニック・スウィフト(グッドウッドではジョーダンのコ・ドライバーを務めながら自らもMiniでレースにも参戦)のドライビングを捉えたGIF画像と併せて紹介していこう。
注意:今回紹介する4輪ドリフトはあくまでも安全が確保されたサーキット環境においてのみ有効なテクニックです。サーキット以外の場所では大変危険ですので決して試みないでください。

1. 高いスピードを保ったままコーナーに進入する

「ドリフト状態へ持ち込むためには、高いスピードが必要です。低速から急にスロットルを踏み込むと、大きなスナップ・オーバーステアを誘発してしまいます。4輪ドリフトはコーナー進入時のスピードを利用します。進入時のスピードが速ければクルマをドリフト状態へ持ち込めます」

2. エイペックス到達前にドリフト状態を作り出す

「コーナーでのクルマのポジションを決め、ほとんどステアリングの入力なしにコーナー全体を抜けなければなりませんから、コーナーに進入するかなり前から意識する必要があります。たとえば、グッドウッドの2コーナーは緩やかな右カーブですので、進入時にクルマを軽い4輪ドリフトに持ち込んで、エイペックス到達時点までにホイールをまっすぐの状態にしておくのが理想です。ですが、コーナー出口まではクルマの姿勢やスリップアングルに注意する必要があります」

3. スロットルを細かく調節しながらステアリングをまっすぐに保つ

「一度クルマがスライドを始めると、スロットル操作でスライド量を調節できます。この際、スロットルを乱暴に操作するのは禁物です。クルマのリアがスナップしてしまいます。スロットル操作だけでホイールをまっすぐにキープできるところまでくれば、良いバランスを得られているということなので、あとはコーナー出口をめがけてスロットルを踏み込んでいけば良いのです」
パーフェクトな4輪ドリフトを決められたら、ジョーダンいわく、4つ目の非公式なステップがあるらしい。それは「『自分にはドライビングの才能がある』という素晴らしい気分に身を浸すこと」だ。
「スロットルをハードに踏み込んで、ニュートラルステアで良好なドリフト状態(スライドではなくあくまでドリフトです)に持ち込み、なおかつステアリングをほぼまっすぐに保つことができた瞬間は素晴らしい気分を味わえます」とジョーダンは語る。「スピードが保たれていて、大きなスライドやスナップもないので、パーフェクトな4輪ドリフトは外から見ても美しいのです。美しい4輪ドリフトは、クルマが前に進もうとする慣性とスピードをコントロールして生まれるものです。見ていて美しいテクニックなんですよ」
グッドウッドでLotus Cortinaを華麗に4輪ドリフトさせるアンドリュー・ジョーダンを映像でチェック!