最初に目標を設定した方がハードワークしやすいという人は多い。しかし、悪天候や仕事、家族、または無気力や倦怠感などの問題が起きれば、すぐにモチベーションが失われてしまう。
このような “モチベーションの喪失” はアマチュアアスリート特有の問題ではない。プロアスリートも直面している問題だ。むしろ、アマチュアよりも多くの時間をトレーニングに割かなければならない彼らにとってモチベーションを維持することはひときわ重要だ。
そこで今回は、トレーニングのモチベーションを見出せずに悩んでいる人のために、ルーシー・チャールズ(トライアスロン)、ショウナ・コクシー(クライミング)、マディー・ヒンチ(ホッケー)の3人にシーズンを通じてモチベーションを維持する方法を訊ねつつ、スポーツ心理学者のエヴィー・セルヴェンティにアドバイスを求めることにした。
具体的な理由を用意する
モチベーションを維持するベストソリューションのひとつが、「トレーニングの目標を設定する」だ。レースでの目標タイム、ビッグマッチでの勝利などがこれに相当する。これらが用意できれば、トレーニングに目標が設定される。
しかし、スポーツ心理学者のエヴィー・セルヴェンティは、「なぜその目標をクリアしたいのか」を理解することでモチベーションがさらに高まるとしている。
「トレーニング目標を深いレベルで理解しましょう。たとえば “体重を落とす” が目標なら、なぜその目標を設定したのかについて考えてみましょう」
「家族のロールモデルになりたいからでしょうか? チャリティのためでしょうか? 健康に長生きしたいからでしょうか? 行動や目標の理由や背景を理解すれば、モチベーションが維持しやすくなります」
目標の中に目標を用意する
目標設定はモチベーション向上に役立つが、その目標が遠ければ、トレーニングに集中するのが難しくなってしまう可能性がある。
トップトライアスリートのルーシー・チャールズは、小さな目標をクリアしながら大きな目標に近づいている。
「大きな目標を設定してモチベーションレベルを高く保っているけれど、同時に小さな目標をクリアしながらそこへ近づくようにしているの。小さな目標をクリアすれば、自分が正しい方向へ進んでいることが実感できるから、その分だけモチベーションが高まるのよ」
仲間と一緒にトレーニングする
トレーニングのモチベーションを維持し続けるのは難しいので、他人の力を借りるべきだとアドバイスを送るのは、プロクライマーのショウナ・コクシーだ。
「モチベーションを保つのに最適な方法は、友人と一緒に取り組むことね。目標を設定したら、それを友人に教えて一緒にトレーニングするの。自分がいなければならない状況を作ってしまえば、トレーニングセッションをスキップしにくくなる」
また、誰かと一緒にトレーニングすれば、お互いを支え合える上に、セッションがさらに楽しくなり、社交性を高めることもできる。
トレーニングメニューに幅を持たせる
イングランド代表ホッケー選手のマディー・ヒンチは、同じトレーニングを繰り返して退屈を感じてしまうのはNGだとしている。
「モチベーションレベルを高く保つために、できる限りトレーニングメニューに幅を持たせるようにしているの。退屈を感じないように配慮しているわ」
「トレーニングメニューを定期的に変えれば、ハードワークをこなして大きな目標をクリアしようというモチベーションを得られる」
ランニングやバイクライドなら新しいルートの開拓、スイミングならストロークの変更、チームスポーツならドリルの追加と、色々なアレンジを加えてモチベーションを維持しよう。
IRONMAN世界選手権2位の実績を持つルーシーは、バラエティを増やしてモチベーションを維持できれば、各トレーニングセッションをさらにハードにこなせるようになるとしている。
「楽しくて幅のあるトレーニングメニューを組んだ上で、仲間と一緒に取り組めばモチベーションが維持できる。モチベーションが得られれば、その分だけトレーニングをハードにこなせるようになるわ」
自分を信じる
ポジティブで自信が持てている状態ならモチベーションを維持しやすい。「自分ならできる」など、分かりやすいマントラをメモやノートに書いて目に付くところに張っておけば、それが刷り込まれて自信が生まれていく。
また、チームメイトやコーチ、家族など信頼できる人とトレーニングメニューや目標について話し合うことでも自信を得られる。
しかし、何よりもまず、自分で自分を信じられるようにする必要がある。エヴィーは「自分を信じることができなければ、他人にも信じてもらえません」としている。
自信を持ち、自己疑念を打ち消して、目標をクリアしていこう!