HYROX athlete in action on the event course
© Tyrone Bradley / Red Bull Content Pool
フィットネス

HYROX:疲労状態でのランニング / コンプロマイズド・ランニングのトレーニング方法

HYROXの各ワークアウトステーション終了後のランニングは通常のランニングとは感覚が異なる。このレース特有の “疲労状態でのランニング” を効率を高める方法・アドバイスを紹介!
Written by Piers Plowman
読み終わるまで:6分Published on
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はじめに

HYROXのランニングは、伝統的な持久系スポーツとは別物だ。邪魔が入ることがなく一貫しているロードランニングとは大きく異なる。断続的で疲労度が高く、ワークアウトステーションによって難度が高まる
HYROXアスリート全員が、ランジのあとにコンクリートのように硬くなった両脚、スレッドプッシュのあとの足を引きずる感覚、バーピーブロードジャンプ後の重い足取りなどを理解できる。
しかし、多くが気付いていないのが、この《コンプロマイズド・ランニング / Compromised Running》つまり、疲労状態でのランニングは、アスリートがただ受け入れなければならないものではなく、コーチングとトレーニングで最も大きく改善できるHYROXの構成部分のひとつであるということだ。HYROXのランニングは伸ばせるスキルとして捉える必要がある。
HYROX世界選手権に参加したジェイク・ディアデン

HYROX世界選手権に参加したジェイク・ディアデン

© Baptiste Fauchille/Red Bull Content Pool

HYROXでは、各ランはその直前のワークアウトステーションに左右される。ワークステーションは生理機能に大きな影響を与え、筋肉の疲労とそれに伴う血流の変化は想定できる形で運動パターンに影響を与える。アスリートたちの姿勢が崩れ、ストライドが短くなり、ケイデンスが落ち、代償作用が生じる
このような「エネルギー漏れ / エネルギーリーク」状態は、アスリートのスピードを落とす上に、怪我のリスクも高め、ワークステーション間のリカバリーを困難にする。カギになるのは、《コンプロマイズド・ランニング》はスキルということを認識することだ。正しいアプローチで取り組めば、改善できるのだ。
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HYROXのランニングのトレーニング方法

16-24歳の世界記録保持者ルーシー・プロクター

16-24歳の世界記録保持者ルーシー・プロクター

© Markus Rohrbacher/Red Bull Content Pool

ランニングのトレーニングは個別で行われがちだ。そのようなトレーニングはフレッシュな状態でストライドもクリーンで、インターバルもきっちり整理されている。しかし、HYROXではそのようなランニングを見ることはできない。そのため、正しく準備するためには、HYROXのレースが反映されたトレーニングを積んでいく必要がある。
つまり、筋肉を使ったあとのランニングやサーキットトレーニングにランニングドリル、さらには疲労状態でテクニックを意識するセッションなどに取り組む必要があるのだ。これらはトレーニングの負荷をただ大きくすることが目的ではない。
各トレーニングセッションは、メカニズムを調整し、非効率性を改善するチャンスになる。高い意識で取り組めば、最も必要なタイミングでフォームとペースを維持できるアスリートへ成長できる。レース序盤と終盤を問題なく乗り越えられるようになるのだ。
そのため、注意深く考え抜かれたHYROXのランニングトレーニングのプランニングとピリオダイズには、純粋なランニング能力の開発と同時に《コンプロマイズド・ランニング》のセッションも含まれるべきだ。また、このようなトレーニングセッションは、各アスリートの成長ステージに応じて適切にプログラム・実施されるべきだ。
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コンプロマイズド・ランニング用トレーニングメニュー

HYROXレースの参加者たち

HYROXレースの参加者たち

© Philipp Carl Riedl / Red Bull Content Pool

《コンプロマイズド・ランニング》は専用トレーニングメニューで鍛えることができるスキルだ。その専用トレーニングの実態は、サーキット形式の高強度インターバルトレーニングで、ムーブメントの効率、ペース配分、意志決定を維持できる能力を鍛える。
また、このようなトレーニングは重要な情報を提示してくれる。ワークステーションあとのランニングの状態をチェックすることで、コーチはプライオメトリクスの効率・閾値・疲労点・代償作用のパターンを特定できるようになる。
Quotation
HYROXのランニングは伸ばせるスキルです
ピアース・プロウマン
確認事項例:
  • ケイデンスが落ちていないか?
  • 姿勢と臀部の位置が崩れていないか?
HYROXの《コンプロマイズド・ランニング》サーキットトレーニングは “研究施設” 的な役回りを担い、コーチとアスリートにトレーニング戦略とレースペースの調整に必要な知見を授けてくれる。
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HYROXのランニングがユニークかつ高難度な理由

HYROXのランニングはユニーク

HYROXのランニングはユニーク

© Graeme Murray / Red Bull Content Pool

HYROXのトップアスリートたちはストレングスとフィットネスが世界一優れているわけではない。彼らはスムーズなトランジションとクイックなリカバリーが可能で、全員が疲労して崩れているときでも効率の良いムーブメントを維持できるゆえにトップなのだ。
新しいテクノロジ−により、現在の私たちは、ワークステーション群が筋肉組織にどのように負荷を加えることで血流に変化が生じ、ランを再開するアスリートたちの両脚に燃えるような感覚やまひしているような感覚を与えているのかを解明できるようになっている。

1分

Beyond the ROX:ビヨンド・ザ・ロックス

HYROXの頂点を目指すアスリートたちに密着したドキュメンタリー

英語

《コンプロマイズド・ランニング》を構造化して意図的に取り組むトレーニングは、ただの生理学的なコンディショニングではない。アスリートたちが持続可能なストライドでより効率的に走ることを学べる学習機会だ。効率的なランニングができるようになるメカニズムを構築することには、ワークアウト用の生理学的能力を構築することと同じくらい価値がある。
まとめ:HYROXのランニングは “フレッシュな状態でどれだけ速く走れるか” ではない。“スタミナが減少し、両脚が重くなり、ワークアウトを消化できていないときにどれだけ上手に走れるか” だ。《コンプロマイズド・ランニング》をマスターすることが、レースに勝てる可能性が高い一貫性のあるパフォーマンスの解放に繋がる。
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コンプロマイズド・ランニング用アドバイス トップ3

HYROXレースでは、フレッシュな脚で勝利を得ることはできない。疲労しているときに上手に走ることで勝利を得るのだ。《コンプロマイズド・ランニング》を学び、生き残るために引きずっていた足取りを力強く安定したストライドに変えよう。
ボックスジャンプでランニングスピードを鍛えよう

ボックスジャンプでランニングスピードを鍛えよう

© Jose Duch / Red Bull Content Pool

  • シンプルなランニングドリルに取り組む:Aスキップとバウンディングが、ストライドの協調性とリズム、バネを向上させる。
  • 基本的なプライメトリクスエクササイズに取り組む:ホップ、ボックスジャンプ、バウンディングは足首のストレングスと安定性の向上と臀部のパワーアップに役立つ。
  • 疲労状態でもランニング効率を意識する:これを意識するだけでかなり疲労している状態でも効率的なストライドを保てる。有酸素系フィットネスだけではなくプライオメトリクスに取り組むことも重要。

筆者紹介

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