長距離のロードサイクリングは心肺を鍛えるのに最適だ。ロードレースでプロトンを引っ張りたい人や、プロレーサー相手に自分の力を試したい人のために、ロードレース100勝以上を誇るベテランレーサーのトム・バラスが10のヒントを教えてくれた。
1:空力を最適化する
ロードレースでは、空気抵抗をいかに上手く減らせるかが非常に重要だが、自分のライディングポジションを調整すれば、空気抵抗を大きく減らすことができる。時速32km前後でのライディングでは、レーサーが使うの3分の2は空気抵抗の軽減に割かれる。
「上腕を水平に保ち、指をレバーにかける姿勢がドロップハンドル最速のライディングポジションと言われている。練習を重ねれば、この姿勢を無理なく取れるようになるはずだ」(バラス)
2:ライディング前にエナジーチャージする
ロングライドでは、「足りない」と感じるまでエナジー補給を待つ必要はない。ライディング前にエナジーチャージしておけば集中力が増す。また、カフェインが持久力を高めてくれるはずだ。
3:最初から全力を出さない
「ショートトラックなど、最長4kmまでの短距離レースで最高の結果を出したい人は、最初から全力を出す代わりに、ラストスパートのために体力を温存しておこう」(バラス)
スポーツ科学の研究では、自転車競技場での4kmパシュートなどの短距離・高負荷のレースで体力の温存を考えずに平均以上のスピードでスタートすると、疲労を感じるまでの時間が短くなってしまうという結果が出ている。
4:最適なライディングポジションを見つける
正しいライディングポジションが得られれば、快適さを感じられるばかりか、パワーも最大限引き出せるようになる。
「ロングライドが終わるまで快適に過ごせるライディングポジションを見つけよう。パワーメーターを持っている人は、ライディングポジションがパワーにどう影響を与えるかをチェックして、ベストポジションを見つけよう」(バラス)
5:ストレッチはライディングのあとにする
ライディング前のストレッチは止めた方が良いだろう。研究では、運動前のストレッチは筋肉を弛緩させてしまうので、1時間以上の運動では筋肉の出力を下げてしまうという結果が出ている。
「ストレッチはライディング前ではなく、ライディング直後にしよう。ライディング直後に大腿四頭筋、ハムストリング、大臀筋を集中的にほぐそう」(バラス)
6:HIITトレーニングを取り入れる
短時間の高強度インターバルトレーニング(HIIT)を週1回取り入れるようにすれば、持久力が高まり、高速ライドを長時間続けられるようになる。
ロングライドでは遅筋繊維しか鍛えられないが、HIITトレーニングを取り入れれば、速筋繊維を鍛えられる。また、体内脂肪をエナジー源として使う方法が学べるため、効果的に体脂肪を燃焼させることができるようになる。
7:ビタミンBを摂取する
ビタミンBが不足していると、筋肉の強化が難しくなり、酸素を体内に運ぶ赤血球も作り出せなくなる。
スピードと持久力を高めたい人は、ビタミン系が強化されているシリアル、マーマイト、全粒の穀物、緑黄色野菜など、ビタミンBが豊富な食品を取り入れよう。
8:ジムで "あと数回" 頑張る
レースで好結果を残すためには、エナジーが枯渇した状態でも筋肉が動くようにしておくことが重要だ。
そこで、レッグプレスやスクワットラックで、「ラスト1回!」と全力を出し切ってしまう代わりに、ウエイトを少し落として、あと数回多くこなしてみよう。このようなセットをこなせば、速筋繊維を鍛えたあと、遅筋繊維を鍛えられるようになる。
9:瞬発力を高める
プライオメトリクス・トレーニング(瞬発力を高めるトレーニング)を取り入れれば、必要な時に筋肉を動かせるようになる他、高速を維持できるようになる。
ひと言にまとめれば、スピードに活かせるパワーを増やせるのだ。
10:戦略的にパワーを使う
ロードレースではパワーを使うタイミングを知っておくことが重要だ。ロードレースでは、最速のレーサーではなく、上手くスピードダウンできるレーサーが勝利を手にすることも多い。賢いライダーは体力を温存するタイミングと、体力を使うべきタイミングを知っている。