HYROX athlete Jake Dearden prepares to throw a wall ball during a CENTR training session.
© Evan Pater/The Red Bulletin
フィットネス

クリス・ヘムズワースのパーソナルトレーナーが教えるハリウッド流トレーニングアドバイス

クリス・ヘムズワースのパーソナルトレーナーが、ソー役で知られるハリウッドスターのために用意した筋力増強・肉体改造用ワークアウトプランと栄養補給プランを明かしてくれた。
Written by Jack Clayton
読み終わるまで:7分Published on
ルーク・ゾッキはスーパーヒーロー誕生の必要条件を知っている。13年以上に渡り、ゾッキはマーベル・シネマティック・ユニバースでソーを演じているクリス・ヘムズワースのパーソナルトレーナーを務めている。
2人はオーストラリアで友人同士として幼少期を過ごした。そして今、ゾッキはヘムズワースに “神のボディ” を用意する役目を担っている。ワークアウトのデザインから食事の微調整までを任されているゾッキは、最も有名なマーベルヒーローのひとりにユニークなルックスを与えている舞台裏のエキスパートだ。
ルーク・ゾッキとクリス・ヘムズワース

ルーク・ゾッキとクリス・ヘムズワース

© Evan Pater/The Red Bulletin

2019年、ヘムズワースはフィットネス / ウェルネスアプリ《Centr》を立ち上げた。このアプリにHIIT、HIRT、ストレングストレーニングを提供したゾッキは、《Centr》を健康とフィットネスの百科事典と表現している。
そして、ビギナーからエキスパートまでのあらゆるアスリートにトレーニングプログラムを提供している《Centr》は2023年にHYROXとパートナーシップを締結。2025年にゾッキはロンドンで開催されたHYROXレースで自己ベストを更新した。

− クリス・ヘムズワースをソー役に仕上げるためにあなたが直面した最大の問題は何でしたか? 彼のワークアウトをどのように組み立てたのでしょうか?

ルーク・ゾッキ: 年ごとに進化させていきました。私がクリスと仕事をするようになったのは『マイティ・ソー / ダークワールド』のあとでしたので、クリスは身体を大きくしても問題ありませんでした。しかし、彼はサーフィンが好きなアクティブなタイプなので、身体を大きくすることに機能性を見出していませんでした。

クリスはソーを何回も演じてきているので、マッスルメモリーのようにすぐに身体を戻すことができます。しかし、私はソーのアクションを支えるトレーニング要素を残すことを選択しました。ですので、ボクシングやベアクロール、ファンクショナルトレーニングに重いウエイトリフティングを組み合わせたトレーニングメニューを用意しました。

− 筋肉量を増やすためのトレーニングプランには膨大なカロリー摂取も含まれるときが多いですが、クリスの場合はどうでしたか?

『ソー:ラブ&サンダー』のときは、1日4,500カロリーの摂取を目指しました。朝5時にクリスがヘアメイクに入ると、私が450カロリーの食事を用意します。そのあとは2〜3時間おきに同量のカロリーの別の食事を用意していきます。1日に450カロリーの食事を10回摂ることを目指していました。

クリスが食事を10回摂れず、「もう食べるのは飽き飽きだ」などと言うときは、500〜600カロリーのシェイクを渡していました。クリスはプロテインが多めの食事を好んでいるので、食事1回のバランスはプロテイン40%・炭水化物30%・脂肪30%でした。

誰もが最高の自分になる努力をするべきです
ルーク・ゾッキ

− クリスとは旧知の仲ですが、その関係のおかげでトレーニングが楽になっている感覚はありますか?

友人関係は諸刃の剣だと思います。お互いをよく知っているので、私は何が彼のモチベーションになるのかを理解できていますが、逆に彼にとってチャレンジになるような方法を考える必要がありました。

クリスは非常に競争心が強いので、私は「君がやる必要はないけど、私はやるよ」と言います。たとえば、プルアップなら、私がプルアップを10〜15レップやれば、1分以内に彼がそれ以上のレップを終えるのです。このような競争心が彼を成長させています。

− マーベル・スーパーヒーローの身体を健康的かつ持続可能な形で作り上げる方法を教えてください。

クリスは大変な努力を積んでいることを否定するつもりはまったくありませんが、元々彼には恵まれた身体が備わっています。私の哲学は、「誰もが最高の自分になる努力をして、より強く、より健康になるべき」です。

ルーシー・プロクター

ルーシー・プロクター

© Jake Turney/Red Bull Content Pool

− あなたのクリス用トレーニングプランは非常に効率的です。短期間で最高の結果を得るためにどのようなストラテジーを用意しているのでしょうか?

トレーニングの構造化と選択するエクササイズがすべてです。私たちが1時間以上トレーニングすることはありません。ですが、密度の濃い1時間を過ごしています。私は複合運動とスーパーセットにフォーカスしています。自分が得たい結果から逆算して組んでいくことで無駄を省いています。

− あなたは一貫性、睡眠、栄養補給、ストレスを重要項目として挙げていますが、忙しい日々を送っているクライアントの皆さんに対して、これらの項目をどのように調整しているのでしょうか?

SNSでは「朝4時起きでメールチェックとワークアウトを済ませている」という人をよく見かけますが、彼らは無理をしている状態です。多くの人に言えるのは、量より質です。週6日のトレーニングプランを組んでも、そのうち3日のセッションが無駄なら、1日休みを増やしてリカバリーする方がよいですね。

HYROXは素晴らしいコミュニティです。お互いを励まし合いながらそれぞれのベストを尽くしています
ルーク・ゾッキ

−《Centr》は自宅からジム、ビギナーからベテランと幅広く対応しています。正しいスタートポイントを選択し、順調に成長していくためにはどうしたらよいでしょうか?

《Centr》のアドバンスト(Advanced)はソーの役作り用に私がクリスに用意したトレーニングプログラムです。アプリ内には自分が何をするのかが明確に理解できるプログラムの概要が用意されています。ウエイトリフティングをしたことがないビギナーなら、ステップ・バイ・ステップで指導していきます。ジムの経験は関係ありません。

− HYROXの最大の魅力を教えてください。

HYROXは素晴らしいコミュニティです。お互いを励まし合いながらそれぞれのベストを尽くしています。トレーニング経験者なら、自分のフィットネスをテストするよい方法になると思います。ランニングやウエイトリフティングが好きなら、自分のレベルを確認できる楽しいチャレンジになるでしょう。個人的には、レースへの参加登録をすることで目標が設定できるところが気に入っています。目標があるとトレーニングにより力が入ります。

ジェイク・ディアデン

ジェイク・ディアデン

© Joerg Mitter/Red Bull Content Pool

− 時間が限られている中でHYROXデビューを目指している人に向けてひとつだけアドバイスを送るとしたら何になりますか?

「エルゴに時間をかけすぎない」ですね。なぜなら、エルゴ系は2つしかないからです。私がデビューレースで犯したミスは、エルゴに力を入れすぎたことでした。

レースでは両脚を酷使するワークステーションのあともランが待っています。ですので、脚力を鍛えて、疲労している状態でもランニングを問題なく消化できるようにしてください。ランニングの基礎力を高めておくだけでも大きな助けになります。構造化されたトレーニングプランを用意しておくことが、日替わりで適当にトレーニングをするよりも役に立ちます。

− レース本番のようなトレーニングをしたい人に向けて、トレーニングの進め方や意識の持ち方のアドバイスはありますか?

レースでは自分のイメージ通りにはいかないことを知っておくべきです。どこかしらのタイミングで苦しくなります。ですので、メンタルを鍛えると同時に、苦しい時間を楽しむことですね。苦しい時間帯もレースの魅力なのです。

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