Kate Courtney at the UCI MTB XC World Champs 2018© Bartek Wolinski
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MTBクロスカントリー:ワイドハンドルバーのメリット&デメリット
クロスカントリーではマシン重量やトップチューブのアングルなどをパーフェクトに近づける微調整が重要だが、ハンドルバーの幅は何がベストなのだろう?
Written by Claire Gormley
公開日:
10年前のクロスカントリー(XC)レースに740mm幅のワイドハンドルバーを装着したバイクでエントリーすれば、ライクラジャージを着てすね毛を剃り落とした男たちの中で異端の存在になっていただろう。
当時のライダーの間では600mm、あるいはそれ以下の幅のハンドルバーが主流で、「ハンドルバーは狭ければ狭いほど良い」と固く信じ込まれていた。
しかし、時代は変わった。最近はメーカーが販売する市販XCバイクは740mm幅のハンドルバーが標準で、Cannondaleに至っては、Scalpel siモデルに760mmというXCバイクとしては異常とも言える幅のハンドルバーを標準装備している。
しかし、このような常軌を逸した動きにはそれなりの根拠があるはずだ。また、もしプロも使っているなら、そこにはクールな魅力も存在するに違いない。
というわけで、いつものように結論は簡単に導き出せないが、今回はXCバイク用ワイドハンドルバーのメリットとデメリットを検証していくことにする。

メリット

1. コントロール性の向上
トレイルバイクやエンデューロバイクと同じく、XCバイクにとっても、ワイドなハンドルバーは近年増加傾向にある急峻でテクニカルな路面でのコントロール性を高めてくれる存在だ。
なぜなら、幅が広いほど「てこの作用」が強まるからだ。具体的に言えば、ワイドハンドルバーは、ラフな地形を高速で走る時に、フロントホイールの操作性をアシストしてくれるのだ。
2. ポジショニングに有利
XCでは呼吸しやすい姿勢が不可欠だが、多くのライダーは、ワイドハンドルバーを使えば気道が広がり、より多くの酸素を吸い込めるようになるとしている。
これが真実かどうかは断言しにくいところだが、ライディングしていて気分の良いコンポーネントなら、少なくとも人体に害はないはずだ。

デメリット

1. スペースを取る
コントロール力に長け、ライディングも楽しいというのは、話ができすぎでは? その通り。ワイドハンドルバーにもいくつかの妥協点がある。そして問題の多くはその幅が原因だ。
ハンドルバーの幅が問題になるシチュエーションは、レーススタート時木々が立ち並ぶシングルトラックだ。
XCレースのスタート風景は、バイクレースの中で最も速くて荒っぽい。ライバルを押しのけ、アドバンテージを得られるなら、なりふり構わずスペースに(たとえどんなに小さくても)飛び込まなければならない。
しかし、当然ながら、ハンドルバーがワイドだと、飛び込めるスペースが狭くなってしまう。レースの行方を決めるスタートで貴重な順位を失ってしまいかねない。
木々が立ち並ぶ狭いシングルトラックも同じだ。ハンドルバーの幅が広がるほど、狭いスペースを素早く効率的に切り抜けるのが難しくなる。
また、かなり狭いスペースに「切り抜けられるはずだ」と飛び込んでも、視野が狭まるのでスピードが落ち、結果的に貴重なタイムを失ってしまう可能性がある。
2. 体格によっては向いていない
小柄なライダーや肩幅が狭いライダーなら、ワイドハンドルバーが合わないかもしれない。腕を不必要に広げれば、快適なフィーリングが得られなくなってしまう。

では、プロライダーはどのような幅をチョイスしているのか?

興味深いことに、プロライダーの多くは現代の平均より狭いハンドルバーをチョイスしている。
XC界の “GOAT(史上最強)” の称号を持つニノ・シューターのレースバイクには680mm幅のハンドルバーが採用されている。
さらに身長の高いヤロスラフ・クルハヴィーのようなライダーでも、700mmだ。187cmという彼の身長の高さを考えると、これは驚きだ。
我々は、このような傾向の理由は、ライダーの “慣れ” にあると予想している。幅の狭いハンドルバーで育ってきた彼らはそのフィーリングに慣れているのではないだろうか。
もちろん、幅が狭ければ前項で述べたような "タイトな瞬間" も切り抜けられることを考慮したチョイスでもあるのだろう。

ステムの存在を忘れるべからず

重心を中心に残し、ライディングフィールを維持するためにハンドルバーの幅を広げるなら、その分だけステムを短くする必要があることを伝えておこう。
たとえば、ハンドルバーの幅を40mm広げるなら、ステムを10mm〜20mm短くしよう。

まとめ

XCレースでワイドハンドルバーをチョイスする理由は数多く存在する。高速でテクニカルな路面でもたらす高いコントロール性は何回強調しても足りないくらいだ。
しかし、身長が低いライダーや、普段から道幅の狭いシングルトラックをライディングする機会が多いライダー、あるいは毎週のようにレースに出場しているライダーなら、よりコンサバな700mm〜720mm幅を使い続けても良いだろう。
また、ワイドハンドルバーはいつでも幅を切り詰められることを覚えておこう。新しく購入したバイクに760mm幅のハンドルバーが備えられていたとしても気に病むことはない。