フィットネス
HYROX:出身スポーツ別特徴・得意分野
ランニング、ファンクショナルフィットネス、水泳など、HYROXのトップアスリートたちがHYROXを始める前に取り組んでいたスポーツとHYROXへのメリットなどについて考察する。
HYROX最大の魅力のひとつは、このスポーツで秀でるための方法が数多く存在することだ。
HYROXでは特定の経歴が求められない。このスポーツ最高峰カテゴリーのエリート15は、ランナー、スイマー、CrossFitアスリート、トライアスリート、チームスポーツ出身者たちで構成されており、それぞれが異なる長所を活かして活躍している。HYROXのアスリートたちは様々なスポーツや競技を経験しているのだ。
HYROXを5エピソードで解き明かしていくRed Bull TVのドキュメンタリーシリーズ『Beyond the Rox』(英語音声)でもこの多様性が確認できる。このドキュメンタリーにフィーチャーされている一部のHYROXアスリートたちは、自分たちの出自やこのスポーツの要求に応えるためにトレーニングメニューを順応させる必要があったことについて語っている。
彼らがそのように語ったのは当然だ。HYROXは非常に要求が多く、筋力(ストレングス)、持久力(エンデュランス)、効率、そして約1時間の高強度ワークアウトに耐えられる我慢強さが必要になる。また、自分のスポーツ歴次第で、特定のワークアウトステーションをライバルたちよりも上手く乗り切れる可能性が高い。
01
ランニング
HYROXのトップレベルのレースではランニングがかなり目立っているが、これには理由がある。1kmランを8本消化しなければならないこのスポーツでは、ランニングの基礎ができているアスリートがアドバンテージを得られるからだ。
しかし、トレーニングメニューがランニングだけでは不十分だ。なぜなら、ウエイト系ワークアウトに取り組み、トランジションをスムーズに終え、疲労が蓄積していてもフォームを維持しなければならないからだ。
ジェイク・ディアデン(マラソンサブ2.5)やルーシー・プロクター(陸上およびクロスカントリー出身)のようなアスリートたちは、ランナーでもストレングスを強化できることを証明している。ディアデンは現在最もバランスに優れているHYROXアスリートのひとりで、プロクターはレース後半でも崩れないペーシング(ペース配分)を得意としている。
ディラン・スコット、シニード・ベント、ジェス・ペトロウ、ティム・ヴェニッシュ、リッチ・ライアンもランニング系出身者で、効率とペース配分が重要になってくる高速コースを得意としている。彼らはランのスプリットタイムで上位に入れる走力の持ち主なので、スレッド系やウォールボールで筋力と持久力も発揮できたときは、相手にするのが厄介だ。
02
障害物レース・CrossFit・ファンクショナルトレーニング
障害物レースやファンクショナルフィットネス出身のアスリートは、優れたトランジション、関連性の高いストレングス、ステーション間のクイックリカバリー能力を備えている場合が多い。
イダ・マチルデ・スティーンガード(障害物レース)、ローレン・ウィークス(CrossFit・水泳・サッカー)、ハンター・マッキンタイア(障害物レース)がこのようなアスリートの代表で、アグレッシブなペースと各ステーションでの高効率が特徴だ。
元テニス選手のボー・ウィリス(ニュージーランド)は長年のCrossFitの経験にパワーと精度を組み合わせている。彼のステーションでのムーブメントの精度は非常に高く、特に後半のステーションではライバルたちに抜かれるときがほとんどない。
ティア=クレア・トゥーミーとジェームズ・ニューバリーも注目すべきアスリートだ。どちらもCrossFit経験者で、すでにHYROXダブルスで結果を出している。彼らはストレングスとムーブメントのレベルが非常に高く、フォームとテンポが重要になるステーションで特に強さを発揮する。ただし、この2人は一般的なCrossFit出身アスリートよりランニングの経験が豊富である点は触れておくべきだろう。
03
トライアスリート / 持久系
当然ながら、HYROXは長距離レース・ペース配分・有酸素運動に親しんできたトライアスリートたちの興味を引いている。
トム・ロジャーズ、ペラヨ・メネンデス・フェルナンデス、エイミー・ベヴィラクア、ヒッデ・ヴィールスマはトライアスロン出身で、レースを通じたエフォートの管理にその経験が活かされている。彼らは快適に長距離を走ることが可能で、プッシュしすぎることは滅多にない。
彼らは重いウエイトを扱うステーションでは目立たないが、ペース配分が得意なので総合タイムでは上位に食い込んでくるときが少なくない。ピークパワーよりも一貫性に優れているのが彼らだ。
04
水泳・ロードレース・その他
2024年のHYROXワールドチャンピオンに輝いたアレクサンダル・ロンチェビッチ(幼少時代に週80kmを泳いでいた)とヴィヴィアン・タフト(オリンピック米国水泳代表選考テスト参加経験あり)はどちらもエリート15の常連で、各ステーションでのスプリットタイムに優れており、疲労していても動き続けることができる。
ローレン・グリフィス(障害物レース・ロッククライミング・ランニング)とエミリー・ダーメン(テニス・フィールドホッケー・スプリントトライアスロン)は、多様なスキルセットを組み合わせれば万能なHYROXアスリートになれることを証明している。彼らはひとつの長所に頼る代わりに、汎用性の高い基礎とムーブメントのノウハウを頼りにしている。
05
チームスポーツ・軍隊・ストレングス系
サプライズ的な位置づけのアスリートたちが、チームスポーツやストレングス系トレーニング出身のアスリートたちだ。ジョアンナ・ヴィトリック(テニス・ネットボール)、ジョン・ウィン(ラグビーリーグ・軍隊)、ジェームズ・ケリー(オーストラリアンフットボール)が代表例として挙げられる。
ケリーは、オーストラリアンフットボール時代はテクニックに優れていなかったが、走力はその頃から自信があったと語っている。現在、彼はランニングとウエイトを得意としている。
ヴィトリックはテニスとネットボールで培った協調性を活かしてムーブメントの効率を高めており、スキーエルゴやウォールボールのようなハイスキルが求められるステーションで特に強さを発揮している。ウィンは軍属時代に培った集中力と冷静さに優れており、疲労が溜まってきたときにこれらを活かしている。
ストレングスがすべてのボディビルディングやパワートレーニングの経験が豊富なグラハム・ハリデーとセカ・アーニングもHYROXで活躍している。彼らが得意としているのはスレッド、ファーマーズキャリー、ウォールボールで、ランニングも伸ばせれば、非常に危険な存在になるだろう。
ひとつ明確なのは、HYROXは特定のタイプのアスリートだけを対象にしていないということだ。このスポーツのトップまでのルートは1本だけではない。フィットしていて効率に優れており、メンタルがタフなら誰でも活躍できる。水泳、陸上競技、またはウエイトトレーニングの出身でも、正しいエンジンと実行力があるなら、トップ相手に実力を試せるのだ。
とはいえ、HYROXシーン時間をかけて順調に成長を続けているため、若い頃からHYROXだけ続けてきたアスリートがそろそろ台頭してくる可能性も十分に考えられる。
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