HYROX：初心者用トレーニングガイド
HYROXに興味を持っている人のために、各ワークアウトステーションの解説やプロアスリートからのアドバイスまでのHYROXトレーニングに必要なすべての情報をまとめて紹介！
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HYROXが世界中で人気だ。2017年の創設以来、この革新的なフィットネスレースフォーマットは、初心者からサブ1を狙うエリートプロアスリートまでのあらゆる人たちを惹きつけている。
また、HYROXは世界中で成長している。世界選手権は2025年に６回目の開催を迎え、現在はロンドン、シカゴ、ケープタウンを含む世界5大陸の大都市で開催されている数多くのレースに合計50万人以上が参加している。
言い換えれば、今や “誰もが一度は聞いたことがあるもの” になっているのだ。
HYROXを科学的視点から分析
高強度だが魅力的で驚くほど初心者も楽しめるHYROXは、あらゆるレベルのアスリートが参加可能で、久々に運動を始めようとしている人あるいは新しいチャレンジを探している人を含むすべての人たちにとっての理想的なフィットネステストとなっている。
各ワークアウトステーションの解説からアドバイスまで、本記事ではレースデビューを考えている人が知っておくべきHYROXトレーニングのすべてをまとめて紹介する。
01
HYROXトレーニングとは？
スレッドプルのトレーニングに励むジェイク・ディアデン
© Markus Rohrbacher/Red Bull Content Pool
簡単にまとまれば、HYROXトレーニングとはHYROXレースに向けての準備で、通常はレースに用意される８種類のワークアウトステーション（後述）の練習を重ねることを意味する。近年のHYROXは世界的人気を獲得しているため、提携ジムに入ったり、オンライン動画を視聴したり、プライベートコーチを雇ったりなど、様々な方法でトレーニングを始めることができる。
HYROXの魅力は、開催地や参加者のレベルを問わず、すべてのレースが同じ種類のワークアウトステーションを同じ順番で進めていく共通フォーマットを採用しているところにある。また、時間制限が設けられておらず、ライバルを上回ることと同じくらい自分のベストを尽くすことが重要なところも魅力だ（もちろん、表彰台は嬉しいが）。
ジムに通っている人からプロアスリートまでの誰もが参加できます
「HYROXのエントリーレベルはかなり低いですね」と語るのはHYROX世界選手権優勝経験を持ち、エリート15に参戦中のジェイク・ディアデンだ。
ディアデンは2025年にHYROX Glasgow（英国・グラスゴー）で自己ベストを55分44秒に更新した。「HYROXのムーブメントは他のスポーツほどスキルが必要にはなりません。ですので、ジムに通っている人からプロアスリートまでの誰もが参加できます」
HYROXレースはプロとオープンの２カテゴリーに大別される。プロはより高いフィットネスを備えている人たちを想定しているため、まずはオープンから始めるのが良いだろう。自分のレベルを問わず、HYROXレースでは近いレベルの参加者たちと競い合うことになるので、切磋琢磨を楽しめる。
02
HYROXトレーニングの主要素
HYROXは誰でも参加できる
© Graeme Murray/Red Bull Content Pool
HYROXは筋力・持久力・フィットネスのテストとしてデザインされているため、難しそうに思えるかもしれない。しかし、心配はいらない。HYROXトレーニングの主な構成要素を解説していこう。
興味深いことに、HYROXは “ハイブリッドスポーツ” として扱われている。これはつまり、走力または筋力のトレーニングをするのではなく、両方を同時にトレーニングする必要があることを意味している。そしてこれは、特定のエリアに限定しない、バラエティに富んでいるトレーニングを楽しめることも意味している。
ディアデンは「ハイブリッドなHYROXトレーニングでは、筋力とフィットネスをバランス良く鍛えていくことにフォーカスします」と説明している。
HYROXトレーニングをより深く理解するために、科学的な視点から見ていこう。最近のBrandt / Edel / Lebahn / Schmidt（2025年）とDavids（2025年）の科学研究は、HYROXはインターバルベースの持久系スポーツで、持久系トレーニングの量が多ければ、より速いタイムが狙えることを指摘している。
言い換えれば、HYROXの参加者は多様なタスクに耐えられるフィットネスを手に入れる必要がある。「HYROXでは多様なタスクに挑むため、耐久力がより重要かつより決定的な要素になります」とHYROXマスターコーチのチアゴ・ロウサは説明している。「HYROXでは疲労が蓄積した状態でのパフォーマンス能力が試されますので、耐久力が重要なのです」
21歳で世界選手権に出場したルーシー・プロクター
© Markus Rohrbacher/Red Bull Content Pool
最初に教えるアドバイスは “飛ばしすぎない” です
どちらの科学研究も、HYROXではフィットネスと同じくらいペース配分が重要で、疲労時もテクニックを維持できる能力が勝利に不可欠としている。シカゴで開催されたHYROX世界選手権2025の女子エリートで5位に入った英国人ルーシー・プロクターは「HYROXビギナーが重視すべきことのひとつが、賢いペース配分です」と同意している。
新しいスポーツを始めるときは、最初から全力を出してしまいがちだ。プロクターはその傾向は正しくないと考えている。「HYROXビギナーから3つアドバイスを求められたときに最初に教えるのが “飛ばしすぎない” です。スタートから飛ばしたくなる気持ちは分かりますが、スキーエルゴをイージーペースで取り組むことを推奨します」
まとめれば、HYROXレースは8種類のワークアウトステーションすべてを上手く進めることがすべてだ。しかし、飛ばしすぎたり、ペースを落としたりすることなく、ワークアウトステーションを淡々と完了できる能力が大きな違いを生む可能性がある。
03
ワークアウトステーション
HYROXはメンタルタフネスが試される真の試練
© Christian Pondella/Red Bull Content Pool
先述した通り、HYROXレースには8種類のワークアウトステーションが用意されている。また、参加者は1kmラン8本（合計8km：各ステーション前）を消化する必要もある。
各ワークアウトステーション解説・攻略法：
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HYROXトレーニングの進め方と注意点
HYROXではメンタルタフネスも問われる
© Christian Pondella/Red Bull Content Pool
HYROXレースに向けた最良のトレーニング方法は、クラスに参加するか、コーチを雇うのいずれかだ。こうすることで自分に合ったトレーニングメソッドを見つけることができる。残念ながら、HYROXには万人向けのトレーニングプログラムは存在しない。エリートアスリートたちもそれぞれ異なるトレーニングプログラムを採用している。
たとえば、HYROX世界選手権を複数回制しているアレクサンダル・ロンチェビッチは1日2回・週20〜25時間のトレーニングを積んでおり、インターバル、ロングラン、ストレングス、テクニックを組み合わせている。
一方、ディアデンは、ストレングストレーニング2日、スピードとテンポにフォーカスしたランニングトレーニング2日、あとは疲労時も動ける能力を鍛えるためのコンディショニングトレーニング1日で1週間を構成している。
もちろん、HYROXのトップアスリートたちは長年の経験を元にトレーニングプログラムを組んでいる。ビギナーは彼らのレベルに達していないので、彼らと同等のボリュームを消化する必要はない。
HYROXは高強度レースですので、炭水化物が高速で燃焼します
ひとつ言えるのは、プロクターのように、トレーニングプログラムに有酸素系エクササイズをある程度しっかり組み込むべきということだ。「私の週間トレーニングプログラムの40〜50％がランニングです」と彼女は説明している。しかし、ランニングだけで有酸素系をカバーする必要はない。膝の痛みやシンスプリントのような怪我を抱えているときは特にそうだ。
「HYROXは持久系スポーツなので有酸素系トレーニングが重要ですが、ランニングを増やしすぎると疲労や怪我に繋がります。ある時点を境に効果が頭打ちになるので、私は走る距離をひたすら重ねていく代わりに、バイクライドのような他の有酸素系アクティビティでバランスを取るようにしています」
トレーニングの量や進め方を問わず、正しい栄養補給と食事は不可欠だ。「HYROXは高強度レースですので、炭水化物を高速で燃焼させることになります」とスポーツ科学者・ハイブリッドコーチのロビンソン・ベントラーは説明している。
VO2 Max vs. 閾値トレーニング
また、ベントラーはレースの24時間前から戦略的に栄養補給を始める必要があるとし、「消化を楽にするために脂肪とタンパク質を控えながら炭水化物を多く摂取してください」と続けている。
HYROXトレーニングで最も重要なことのひとつを最後に教えておこう。それはマインドだ。デビューレースでは、8種類のワークアウトステーションと合計8kmのランはフィジカルへの負荷が大きいが、メンタルへの負荷も同じくらい大きい。ディアデンは次のアドバイスを送っている。
「レースで追い込まれたときは、私を応援してくれている人たちと私をこれまで支えてくれた人たちのことを思い浮かべます。彼らの期待を裏切ることはできません」
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