フィットネス
初心者がジムでできるHYROX対策! 筋トレ好きライターが体験して分かった「本気の練習メニュー」
海外でトレンドとなっているフィットネスレースHYROX(ハイロックス)は、ランでもジムトレでもクロスフィットでもない新ジャンルの競技。その正体を確かめるべく、筋トレ好きライターがRed Bull Road to HYROXの練習会に足を運んだ。
▼書き手:ニッセン・シュウ
フリーランス編集者 / ライター。コロナ禍にランニングにハマり、一時期は月間300〜400kmを走る。知人が開いたパーソナルジムにて筋トレに目覚め、30歳からメンズフィジーク競技に出場。大会での入賞経験も多数。
《執筆》
01
世界基準のHYROXメソッドに初挑戦
前回の記事で「パンプは敵」「脚が正義」「結局ランが支配する」と偉そうに語っておきながら、実際に体験したことは一度もない筆者。このままでは、ただの机上の空論でしかない!
というわけで、仮説を確かめるべく向かったのが、Red Bull Road to HYROX。
レッドブル・アスリートのアレクサンダー・ロンチェヴィッチが監修するプログラムを体験できる練習会だ。世界基準のメソッドらしく、「これは本物の地獄かもしれない」 と覚悟が決まる。
会場に入ると、爆音のDJ、並べられたウエイトとソリ、ロープ。そして、なぜか参加者全員が屈強に見えるという現象。(みんな実際は優しくて良い人でした)
Red Bull Road to HYROXの練習内容は事前に告知されず、当日のお楽しみシステム。かなりビビっていると、筋肉痛が確約されたお品書きが発表された。
[当日のメニュー]
- ウォームアップ
- スレッドプッシュ
- スレッドプル
- ウォールボール
- ラン&脚をいじめるサーキット
- フィニッシャー(バーピー×スクワット)
という、“HYROXの縮小版とも言える構成”。
いざ始まると、動きはシンプルだが、負荷のかかり方は想像の斜め上。筋トレ×ランニングの地味なキツさを凝縮したような刺激が全身を襲ってきた。
トレーナーは、「体力に合わせて途中で抜けてもいいよ~」と言ってくれたが、なんとか全メニューを完遂。
途中で諦めないで「よし、まだまだ頑張ろう!」とポジティブな気持ちになれたのは、開始前に飲んだレッドブルのおかげかもしれない。
02
スレッドは強敵、ウォールボールはラスボスだった
今回の練習で最も収穫が大きかったのは、実際にHYROX本番で使うムーブメントを触れたこと。
スレッドプッシュ
重りが乗っているので、押した瞬間の反発が強い。ただし、コツを掴めばスーッと動くようになる。
腕を伸ばすのか曲げるのか、合うフォームは人それぞれらしい。
筋肉がなくても技術さえあれば問題ない。
スレッドプル
ロープを手繰り寄せるだけ……のはずが、足裏で踏ん張らないと全く引けない。
初動は思いっきり後ろに倒れる気持ちで。
全身の連動の重要性を痛感する。
ウォールボール
意外とこれがステーション最難関かも。
投げる角度、キャッチのタイミング、深さ……。シンプルに見えて全部が地味に難しい。
そして何より、これを“レースの最後”にやると思うと胃が痛くなる。
的に当たらなければノーカウントという鬼ルールも相まって、本番を想像したらちょっと泣いちゃうかもしれない。
ただ、全てに共通するのは、必要な技術はシンプル。練習すればある程度までは必ず伸びそう。これは大きな希望だ。
03
やっぱり“ラン”。ここが最大の壁だった。
ワークアウト中は「筋トレしててよかった!」と思える場面が多い。でもランに入ると、一気に現実に引き戻される。
スレッドで得たアドバンテージを次の1kmランで、フルマラソン経験勢にスイ~と抜かれる屈辱を味わった。ステーションでのリードは、きっと良くても数十秒。だがランの実力差があれば、余裕で数分の差が開きそうだ。
そして、常に使い続けている脚は、あっという間にただの棒と化す。
普段の脚トレとは違い、 疲労した状態、 呼吸が乱れた状態、そこでさらに走る or 跳ぶ or 運ぶという、異常な負荷がかかるのがHYROX。これが“ファンクショナルトレーニング=機能性”ということか……とようやく腹落ちした。
また、久々に走ったことで浮かんだのは、ランにも“マッスルメモリー”(一度ついた筋肉はブランク明けでも戻りやすいという体の仕組み)はあるのだろうか? という疑問と期待。
以前は毎日10km以上走っていた時期もあり、その頃の心肺機能が戻ってきてくれれば希望はある。大会までの数ヶ月で実験してみるつもりだ。もし、これを実証できたら、最近走れてないな~という社会人ランナーたちには朗報だろう。彼らの復帰を後押しできるよう頑張ります!
04
見えてきた勝ち筋。走り込み+練習会で逆転を狙う
今回の練習会でハッキリしたのは、筋トレ勢が無双できるパートと、できないパートが明確に分かれるということ。
ステーションは、トレーニーが強い(特にスレッド系)。当たり前のようだが、ランはランナーが強すぎる。この“二極化”こそHYROXのゲームバランスの良さだと感じた。
チーム戦やダブルスなら、適材適所で助け合いながら挑めるのも良い。
そういう意味でも、HYROXは、トレーニー、ランナー、運動初心者、みんなが同じ土俵で戦える珍しい競技だ。
誰でも参加できる。そして一緒に頑張れる。この感覚が、HYROX最大の魅力なのかもしれない。
この日も参加者たちとグータッチしながら励まし合い、これまで感じたことのない種類の、爽やかな疲れと達成感を味わうことができた。ますますレースへのやる気が高まるので練習会はオススメ!
そして、来る本番に向けて、自分の作戦はこうだ。
[大会の作戦(秘)]
- 走り込みに全振りして、過去の心肺機能を取り戻す。
- Road to HYROXにも数回参加し、各ワークアウト動作の最適化を進める。
↓
- ランナーたちに食らいつきながら、ワークアウトで確実に無双できる状態を作る。
これで理論上は完璧! のはず。
あとは、どれだけ自分の身体と向き合い、本番で出し切れるかだ。
結局、大事なのは才能でも筋肉量でもなく、どれだけ準備して、どれだけ積み重ねられたか。
30代になって挑戦する意味は、まさにそこにあると思っている。仕事をしながらでも、時間がなくても、やり方次第で人は強くなれる。その証拠を、自分の挑戦でちゃんと示したい。
やり切った練習後、レッドブルを一口。
「くぅーーー! キンキンに冷えてて最高!」
よし、これでまた頑張れる。次回は本番レポート編! お楽しみに。