Iivo Niskanen pushing farmers carry during the HYROX event in Helsinki, Finland in May 2026
© Lauri Vuorinen/Red Bull Content Pool

HYROX:週3日のトレーニングでレースを制する方法

忙しい日々を送っていてもHYROXのトレーニングを積みたい? 実は週3日のトレーニングでレースに必要な持久力・筋力・フィットネスを手に入れることができる。その方法をプロアスリートとプロコーチが教えてくれた。
Written by Ed Cooper
読み終わるまで:6分Published on
HYROXレースに向けたトレーニングは、仕事や家族など他にやらなければならないことがあると積み重ねるのが難しくなる。たとえば、週2日しかトレーニングに取り組めない生活なら、レース本番に十分な力がついているのか不安に思ってしまうかもしれない。
しかし、効率良く組まれたトレーニングセッションに週3日取り組むだけで、HYROXレースで活躍するのに十分な筋力・持久力・フィットネスを手に入れることができるのだ。そこで、その具体的な内容を学ぶために、HYROXエリート15で活躍するアスリートのイダ・マチルデ・スティーンガードとコーチのティアゴ・ロウザに話を聞いた。
01

週3日のトレーニングで十分なのか?

スタンダードなHYROXシングルスのレースを例に挙げると、出場するアスリートはスキーエルゴ1km・スレッドプッシュ50m・スレッドプル50m・バーピーブロードジャンプ80m・ローイング1km・ファーマーズキャリー200m・サンドバッグランジ100m・ウォールボール100回と、各ワークアウト前のラン1km(合計8回・8km)を消化しなければならない。
つまり、初心者、あるいは完走パッチを複数枚所有している人を問わず、このレースに出場するなら高いレベルのフィットネス筋力メンタルタフネスが必要になる。
週3日のトレーニングでもHYROXレースは完走できる

週3日のトレーニングでもHYROXレースは完走できる

© Mark Roe/Red Bull Content Pool

ロウザは、HYROXレースにおける “成功” はそれぞれの目標設定によって変わってくると説明する。つまり、「レース完走を目指す」、「上位入賞を目指す」、あるいは「楽に走りたい」などによって成功の定義が変わってくるのだ。
「快適にレースを完走し、自分のフィットネスレベルに見合った好パフォーマンスを発揮することが目標なら、アスリートとしてのポテンシャルを最大限まで引き出す必要はありません。つまり、歩かずにレースを完走したい、辛い思いをしないでレースを終えたいだけなら、週3日のトレーニングでもまったく問題ないのです」
02

HYROXトレーニングの組み方

時間が限られているなら、賢くトレーニングすべき

時間が限られているなら、賢くトレーニングすべき

© Suguru Saito/Red Bull Content Pool

HYROXレースに向けたトレーニングに週3日を費やせるなら、まずはHYROXレースの基礎を理解することが重要だ。「基本的に、HYROXレースは75〜90分続くフィットネステストですので、トレーニングではレース当日に最も重要になる部分を鍛えることにフォーカスしたいですね」と説明するロウザは、3つのカテゴリーに分けてトレーニングを進めることを推奨している。
「1日目は、一貫したエフォートを長時間続けて心肺機能を高めるセッションです。具体的にはランニング、サイクリング、またはランニングとエルゴの組み合わせですね。2日目はランジ、スクワット、プレス、スラスター、キャリー、エルゴのようなHYROXレース関連のムーブメントを中心に据えた筋力・持久力セッション、そして最後の3日目がランニングに特化したセッションです」
「トレーニングセッションは、レース当日が近づくにつれてHYROXに特化したものになっていきます。ランニングとワークアウトを組み合わせて、ペース配分、トランジション、疲労下でのパフォーマンスを向上させるのです」
残念ながら、週3日のトレーニングでは、レースで必要な要素の一部がどうしても後回しになってしまう。ロウザは「最初に犠牲になるのが筋力、テクニック、可動性、アクセサリートレーニング、イージーエフォートでの基礎心肺能力ですね。HYROXレース出場だけが目的ならこれらがなくても問題ありません」と説明している。
しかし、HYROXレースである程度の成績を収めたい場合は話が異なってくる。「そのような場合は、これらの要素が非常に重要になってきます。時間をかけてより強力な基礎を作り上げることが大切です」
03

休息を最大限活用する

10kmを快適に走れるなら、HYROXに挑める力は十分にある

10kmを快適に走れるなら、HYROXに挑める力は十分にある

© Stefan Voitl/Red Bull Content Pool

トレーニングをしない日について、ロウザはリラックスして取り組むべきだとし、「最高のパフォーマンスは基本中の基本をやることで得られるときが少なくありません」と続ける。その基本中の基本とは、“アクティブでいること”“よく歩くこと”“普段から運動すること” などだ。
HYROXに大きな影響を与える生活習慣上の取り組みは、質の高い睡眠栄養のある食事正しい休息ストレスの管理など非常に地味なもので、ロウザも「どれも退屈に思えますが非常に重要です」と続けている。
04

HYROXトレーニングでよく見られる間違い

「HYROXは下半身の筋力が重要です」と語るスティーンガード

「HYROXは下半身の筋力が重要です」と語るスティーンガード

© Philipp Carl Riedl/Red Bull Content Pool

HYROXとオブスタクルコースレース(OCR)で活躍するイダ・マチルデ・スティーンガードは、HYROXの最高峰カテゴリー、エリート15のアスリートで世界選手権出場経験もある。彼女にとってレースの勝敗を分ける要因は「トレーニングセッションのバランスを正しく取ること」だが、これは同世代のアスリートたちはもちろん、日常的にスポーツを楽しんでいる全員に当てはまる。
デンマーク出身のスティーンガードは、地元のジムやフィットネスセンターに設けられているHYROX専用クラスは非常に有用だがレース当日の成功を約束してくれるものではないとし、次のように説明する。
HYROX専用のクラスやコースだけに取り組むことはおすすめしません。そのようなクラスやコースには週1日だけ参加して、残り2日は筋力と走力の強化に努めるべきです」
自分のストロングポイントとウィークポイントを理解することは、日数を絞り込んだトレーニングを最大限活かすための非常に重要なツールになる。スティーンガードは、「たとえば、筋力に自信のあるアスリートなら2日間をランニングに費やしましょう。一方で、心肺能力に自信のあるアスリートなら、1日をランニング、1日を筋力と持久系マシンに費やすべきです」と説明している。
さらにスティーンガードは「HYROXはランイベントなので、10kmを快適に走れるなら、かなり有利な立場にいることを覚えておくべきです」と続けるが、量ではなく質も重要で、「楽に10kmを走れる必要があります」と付け加える。
また、スティーンガードは最後に「HYROXは下半身の筋力が重要ですので、脚をしっかり鍛えておきましょう」とアドバイスを送っている。
05

継続は力なり

完ぺきさよりも継続が重要

完ぺきさよりも継続が重要

© Stefan Voitl/Red Bull Content Pool

実際にワークアウトに取り組む時間と同じくらい、余裕のあるトーレニング期間を確保することも重要だ。ロウザはレース当日の15〜16週間前からトレーニングを始めることを推奨する。トレーニングの頻度が下がるほど、継続性が重要になっていくため、週3日なら継続性がかなり重視される。継続できれば大きな結果が得られるというわけだ。
ロウザが続ける。「週3日を賢くトレーニングしているアスリートの方が、毎日ジムに通っていて非常にフィットしているルックスを備えていても持久力とペースが不足していて、HYROXに向けた準備を特にしていないアスリートよりも好成績を収める確率は高いでしょう。完ぺきさよりも継続が重要なのです」
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