Jake Dearden in action at the Hyrox World Championship in Nice, France, on 9th June 2024.
© Baptiste Fauchille/Red Bull Content Pool
フィットネス

HYROX:プロアスリートが教えるトレーニング方法&メニュー

HYROX世界選手権ダブルス部門優勝経験を持つプロアスリートが、トレーニング方法を教えてくれた。
Written by Rebecca Denne/Agata Strausa
読み終わるまで:6分Published on
HYROX(ハイロックス)のプロアスリート兼コーチのジェイク・ディアデンは、パートナーのマーク・ディーンとコンビを組んで、フランス・ニースで開催されたHYROX世界選手権ダブルズ部門を制覇した。
ディアデンのこの優勝は、シングルス部門の彼のライバルたちに強烈なメッセージを送った。ディアデンは2025シーズンのエリート15入りを目指している。
ジムファン、HYROXアスリートを問わず、誰でも参加できます
ディアデンのフィジカルは実に見事だが、HYROXはこのマンチェスター出身の25歳と同じようなプロアスリートでなくても参加できる。このフィットネス競技は、コーチとしても活動している彼が説明している通り、なるべく多くの人が参加できるようにデザインされている。
「他のスポーツのように様々なスキルが必要条件ではないので、エントリーレベルは非常に低いです。ジムファン、HYROXアスリートを問わず、誰でも参加できます」とディアデンは説明している。
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HYROXとは?

HYROXは、ファンクショナルワークアウトとランニングを組み合わせたフィットネスレースで、参加者の筋力・持久力・総合的なフィットネス能力が問われる。

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また、世界共通フォーマットが用意されているため、世界各地の参加者たちと自分のパフォーマンスを比較できることが大きな特徴だ。以下にHYROXのレースフォーマットを紹介しておこう:
ランニング:参加者は1kmラン8本(合計8km)を走る。レースは1kmランからスタートし、完了後はファンクショナルワークステーションでファンクショナルワークに取り組む。ファンクショナルワークステーションは以下の順番で固定されている。
ファンクショナルワークアウト:
  • スキーエルゴ(1km)
  • スレッドプッシュ(50m)
  • スレッドプル(50m)
  • バーピーブロードジャンプ(80m)
  • ローイング(1km)
  • ファーマーズキャリー(200m)
  • サンドバッグランジ(100m)
  • ウォールボール(男子100回 / 女子75回)
参加者はラン終了後すぐにワークアウトに取り組む必要がある。
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HYROXシングルス用トレーニング

「トレーニングはかなり高強度です。ランニングを含む身体への衝撃と負荷が大きなエクササイズの他、スレッドプッシュやファーマーズキャリーのようなかなり強烈なストレングスエクササイズにも取り組みます。ですので、身体に多くの負荷がかかります
「私がコーチとして誰かのためにメニューを組むとするなら、毎日1セッション・休息1日で1週間のトレーニングスケジュールを組みますね」
このように語るディアデンは、理想的な1週間のトレーニングメニューについて話を続ける。
サンドバッグランジ

サンドバッグランジ

© Baptiste Fauchille/Red Bull Content Pool

「まずは、両脚をフルレンジで動かす下半身のストレングストレーニングセッションです。このセッションには、フロントスクワット、バックスクワット、片足ずつのユニラテラルエクササイズ、内転筋をしっかりと強化するサイドランジなどのラテラルエクササイズ、レースよりも重めのスレッドエクササイズとボックスステップアップが含まれます」
「次に2回のHYROX用コンディショニングセッションです。ここでは、バーピーブロードジャンプ、スレッドプッシュ、スレッドプルを行います。このセッションでは代謝と心拍に働きかけていきます。休憩を細かく入れながら続ける高強度インターバルトレーニングですね」
3,000mローイング

3,000mローイング

© Baptiste Fauchille/Red Bull Content Pool

「そして3回のランセッションです。3回のうち1回はロングランです。ロングランは徐々に距離を延ばしていきましょう。最終的にはHYROXの1レースを完了するまでにかかる時間(約90分)を想定して、その時間だけ走れるようになりましょう」
「1回はスピードトレーニングになります。たとえば、休憩2〜3分を挟みながら1kmラン8本を完了してください」
「残り1回は、疲労している状態でのランに取り組んでください。ヒルランニング、あるいはウエイトを使ったスクワットあるいはランジなどの高負荷なレッグ系エクササイズと組み合わせてみましょう。乳酸が溜まっている状態でランをこなせるようになることが目的です」
「レースの全体シミュレーションは2〜3週間ごとに行ってください。シミュレーションではストレングスを鍛えつつ、身体をトランジションに慣らしていきます」
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HYROXダブルス用トレーニング

HYROXダブルス部門のためのトレーニングでは、筋力・持久力・チームワークをバランス良く進めていく必要がある。ダブルス部門もワークステーションの数と順番はシングルス部門と同じだが、距離や回数が変更されている。また、ダブルスでは交代が可能で、1kmランを走ったあとにパートナーと交代でワークステーションに取り組める。
ディアデンは、ダブルス部門で活躍するためには、パートナーと交代しながらできる限り早く以下のトレーニングメニューを完了させることを推奨している。
  • スキーエルゴ(3,000m)
  • スレッドプッシュ(150m)
  • スレッドプル(150m)
  • バーピーブロードジャンプ(240m)
  • ローイング(3,000m)
  • ファーマーズキャリー(800m)
  • サンドバッグランジ(300m)
  • ウォールボール(300m)
ディアデンは次のように補足している。「今回紹介している上記のトレーニングセッションは、HYROXのワークアウトステーションでの余裕と効率を高めることが目的です」
また、彼は、上記を終えたあと、以下の3メニュー4セットに取り組んでセッションを終えることも推奨している:
  • プルアップ10回
  • プッシュアップ25回
  • GHDシットアップ15回
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初心者でもできるのか?

ディアデンも認識している通り、HYROXはビギナーを含む多様なフィットネスレベルの人たちに楽しんでもらえるようにデザインされている。しかしながら、相応しい準備をして、自分の現在のフィットネスレベルに合った判断を下すことが重要だ。
初心者にはシングルスよりもダブルスが適している。なぜなら、ランはひとりずつ1kmラン8本を完了する必要があるが、ワークアウトステーションではパートナーと一緒に取り組めるからだ。ひとりあたりのワークアウト量が減る分、楽しみながら完走できる確率が高くなる。
シングルス、ダブルスを問わず、誰でも参加できるカテゴリーが “オープン” として設定されており、HYROX側は、定期的にジムに通っているレベルの人なら完走できるとしている。
オープンよりも難度を高めたいなら、プロに進むべきだ。このカテゴリーでも1kmラン8本とワークステーション8種類に取り組むが、使用するウエイトが重くなる
いずれにせよHYROXは万人が楽しめるスポーツで、自分の限界に挑んで大きな達成感を得ることができる。自己ベスト更新を狙っている人、あるいはルーティンに変化を加えたい人を問わず、このフィットネスレースは必ず楽しめるはずだ。
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Jake Dearden

A fast-rising star of the fast-rising fitness racing sport, Britain's Jake Dearden is already a HYROX world champion and record holder – and has his sights set on more.

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