ヘッドスピンは何十年も愛されてきたアイコニックなムーブだが、これにはひとつの確かな理由がある。
ビギナーブレイカー、ベテランブレイカー、ヒップホップのハードコアファン、ヒップホップカルチャーの知識が映画『ワイルドスタイル』とRun D.M.Cしかない人を問わず、ヘッドスピンがブレイキンのムーブだということは誰もが理解できるのだ。
Red Bull BC One World Finals 2019のJilouとAlessandrinaのバトルをチェックしてみよう。Alessandrinaがファーストラウンドのパワームーブコンボの中心に据えているのがヘッドスピンだ。
申し訳ございません。この動画は現在視聴できません。
ブラジルの武術カポエイラから影響を受けて生み出されたと言われているヘッドスピンは、現在、世界中のブレイカーたちがメイクしているムーブだが、このムーブの源流はその他のカルチャーに記録されている。
たとえば、発明王トーマス・エジソンが1898年に制作した映像の中で子供がこのムーブをしていいる他、オラフ・ソースハウグ(Olav Thorshaug)という名前のダンサーが1910年に米国中でヘッドスピンを披露したという記録も残っている。また、1933年の映画『Wild Boys of The Road』でも少年がヘッドスピンをしている様子が確認できる。
しかし、ヘッドスピンを世界的に有名な存在にしたのは、1970年代にブルックリンで活躍したB-Boy Kid Freezeだった。彼の連続ヘッドスピン(コンティニッション)はブレイキンシーンを一変させることになった。
そして、Hyper-E Elan Spin、Storm、Lazerをはじめとする1990年代のレジェンドブレイカーたちがノーハンドバージョンや他のムーブとのコンボバージョンを生み出してヘッドスピンをさらに進化させたあと、Aichiこと大野愛地が1分間で142回転してギネス記録を樹立した。
ヘッドスピンはその後も様々なバージョンが生み出され、現在はドリル、パンプ、ストップ&ゴー、ファストライド、ヘッドストップなど、スピードやルックスにアレンジを加えたバージョンがいくつも存在する。
また、パイク、ロータス、ペンシル、バイシクル、キッド・メガ、エジプシャン、ロシアンなどレッグポジションを変えたバージョンも数多く存在する。
ヘッドスピンの多種多様なバージョンをチェックしたいなら、Red Bull BC One Cypher SpainのB-Boy KakuとB-Boy Lil Gのエキシビションバトルが良いだろう。この動画では、ヘッドスピンマスターのB-Boy KakuとLil Gが多種多様なパワームーブをメイクしている。
また、近年はSpin Controlのようなブランドがヘッドスピン専用キャップやヘルメットをデザインするようになっているため、このムーブのクオリティはさらに高まっており、シルク・ドゥ・ソレイユのようなメジャーエンターテイメントも取り入れるようになっている。
最後に、ここまで読んでもまだヘッドスピン欲が満たせていない人に、椅子やフラフープまで使っている大野愛地、Lazer、Boomの究極のヘッドスピンバトルを薦めておきたい。