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Faker:『リーグ・オブ・レジェンド』史上最強プレイヤー誕生の瞬間
Lee “Faker” Sang-hyeokがレジェンドプレイヤーへの道を歩むきっかけとなったLCK Spring 2013のデビュー戦を振り返っていく。
T1でミッドレーナーを担うLee “Faker” Sang-hyeokを「eスポーツシーンのレジェンド」と呼ぶのは過小評価だ。世界中のプレイヤーとファンから『リーグ・オブ・レジェンド』史上最強のレジェンドと考えられているこの韓国・ソウル出身のプレイヤーは、eスポーツ史に残る印象的なシーンをいくつも演出してきた。
最初のバイラルプレイノひとつは、誰もが認めるとおり、SK Telecom T1 2からのプロデビューとなった対CJ Entus Blaze戦だった。CJ Entus Blazeは当時韓国最強チームと評価されていた。
かつては “不死大魔王 / Unkillable Demon King” と呼ばれたこともあるFakerだが、この頃はまだSKTのロースターにまた新たに加わった才能溢れる若手プレイヤーのひとりに過ぎなかった。実際、当時のFakerはセカンドロースター(2軍)のプレイヤーだった。しかし、運命を変えた2013年のプロデビュー戦はシーン全員を椅子から立ち上がらせた。
当時、CJ Entus Blazeに所属していたミッドレーナーKang “Ambition” Chan-yongは、世界最強とは言わずとも、韓国最強プレイヤーと評価されていたため、彼とマッチアップしたまだ16歳のFakerには間違いなく大きなプレッシャーがかかっていたはずだった…。
01
鮮烈なデビュー
LCKのChampions Spring 2013・Week1。Fakerは意外なチャンピオン【ニダリー】をピックして珍しいポークコンビネーションを狙った。そして、AmbitionとFakerがレーン戦に突入するとこのギャンブルが奏功した。Ambitionがタワーを守り、ミニオンのファームを狙うと、Fakerが基本に忠実なプレイとQで攻撃を開始した。
そして槍をAmbitionに当てたあとFakerはWQEコンボを発動してAmbitionをキル。Ambitionが画面から消えたことでSKT 2はタワーダイブができるようになり、4対2の数的優位を活かしてすぐにタワーを手中に収めた。
そして、【フィドルスティックス】と【ジャーヴァンIV】を活かしながら、SKT 2はボトムレーンでも美しいタワーダイブを決めて勝利を確実にした。Fakerはこのデビューゲームをキル6・アシスト7・デス0という素晴らしいスタッツで終えた。
タワーダイブは、現在の『リーグ・オブ・レジェンド』では頻繁に使用されている戦術だが、2013年当時はまだ珍しかった。Fakerはこのゲームについて、チームとコーチ陣が2〜3ヶ月間かけて効果的な戦術を編み出そうとした努力の結果だと振り返っている。
CJ Entus BlazeはSKT 2が用意していた戦術にことごとく対応できず、攻撃をはねのけることができなかった。SKT 2はこの対戦を2-0で勝利し、最終的にグループA首位でレギュラーシーズンを終えると、プレイオフ3位を勝ち取った。
02
現在のFaker
10年近くが経った今、このデビュー戦はFakerにとって自分を深く振り返る機会になっている。
このときに対戦した他の多くのプレイヤーはすでにプロキャリアを終えているが、Fakerはまだeスポーツシーンを代表するトッププレイヤーのひとりとして活躍を続けている。この事実は、Fakerの実力の高さだけではなく、彼の自己分析力の高さも示している。
Fakerは今でもこの対戦がキャリアのターニングポイントになったと感じている一方、彼の家族はこの勝利の意味を今ひとつ理解できていないようで、本人は「家族は “今日は勝てて良かったね” 程度だったと思います(笑)」と説明している。しかし、『リーグ・オブ・レジェンド』シーンはこの勝利の意味を完全に理解している。
それは「レジェンドが誕生した瞬間」だ。
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