Yu-ri
© Jason Halayko / Red Bull Content Pool
フリースタイル サッカー

Yu-riが目指すフリースタイルフットボールの未来、世界への覚悟と野望

日本屈指のトップフリースタイルフットボーラーが、その超絶テクニックの秘密や溢れ出す情熱、競技に対する想いについて語る。|インタビュー
Written by 舘入洋光(Estadio)
読み終わるまで:7分Published on
フリースタイルフットボーラー Yu-ri

フリースタイルフットボーラー Yu-ri

© Jason Halayko / Red Bull Content Pool

Yu-ri:2024年7月にフリースタイルフットボールにおいて、Tokuraに継ぐレッドブル・アスリートとなった。独自のスタイルを貫き、アジア1位に輝いた記録を持つ。
絶対に俺が世界王者にならないといけない!
そう語気を強めるフリースタイルフットボーラーのYu-ri。現在、アジア王者のタイトルを引っさげ国内外を問わずコンペティションシーンを中心に活躍している彼が、自身に向き合い今後の覚悟や野望について語ってくれた。
01

ーフリースタイルフットボールとの出会いは?

街中で見かけたストリートスタイルのボーラーでした
「中学2年生の頃、母親にサッカーの送迎をして貰っていた時に、街角で頭でボールをコントロールしている人を見かけて、話しかけに行ったのがちゃんとした出会いですね。
サッカーをやっている時もリフティングが本当に好きで、小学生の頃に1万回の記録を作るくらい頑張ってました。それで、リフティングが輝く競技があることを初めて知って、レッドブルを背負ってフリースタイルフットボールで輝くことが自分の夢になりました。
中学校の時は短冊にレッドブル・アスリートになるって書いてました(笑)。ずっと学校の発表とかで言ってたんですよ。その頃はみんなにめっちゃ笑われましたね」
Yu-ri | リフティングは集中力と忍耐力、それ以外は何も考えてない

Yu-ri | リフティングは集中力と忍耐力、それ以外は何も考えてない

© Jason Halayko / Red Bull Content Pool

ープロとしてやっていこうと思ったタイミングは?
「高校の時に、小さい規模だったんですけどハイスクールチャンピオンシップっていう大会に出場して、そこで優勝してから自分の中で意識が変わりましたね。この時から、『ここで戦っていかないといけないんだ』という覚悟になりました。でもやっぱり、現実はそんなに甘くなかったですね。実費で海外行かないといけなかったり、結構大変でした」
02

ーYu-riさんにとって『スタイル』とは?

自分の想いを表現して相手に伝えるもの
「ただ他人と違う技をやっていることが『スタイル』なのかって言われるとそれはわからないです。でも、自分のフリースタイルを見てもらったときに、自分の伝えたいものが相手に伝わったら、それはもう自分の『スタイル』だと思ってます」
ーぶっちゃけダサいスタイルってありますか?
「いっぱいあります。正直僕が一番ダサいなって思うのは、人の技を真似してそれを売り出してしまっている人ですね。もちろん最初は好きで真似して、それで上手になることはいいと思います。ただ、それだけでプロになっちゃったりすると、単なるコピーでその人の思っていることや意思が何も伝わってこない、面白くないなって感じます」
Yu-ri | フリースタイルはスキルだけじゃない

Yu-ri | フリースタイルはスキルだけじゃない

© Jason Halayko / Red Bull Content Pool

ー『Yu-ri ATW(※1)』はどうやってメイクされましたか?
「最初は『Yu-ri ATW』の超原型の技をめちゃくちゃ練習してました。初めて出た大会で、他はボロボロだったんですけどその技だけを決めて、会場は『え?こんな子もいるんだ」って驚いていたのを覚えています。その時に、自分はこの技に愛情を注げばいいんだなって気づきました。
1番最初は1回転からやってました。その1回転を始めて1年ぐらいの時は、まだ1000回チャレンジしても数回出来るぐらいで、ずっと練習してきました。今では1回もミスらないぐらいです。
ずっと突き詰めてきたものっていうのが、先ほどの話の続きで『スタイル』でもあると思います」
※1 Yu-ri ATWのリール動画
03

ー日本と世界のシーンを比べてみてどう感じていますか?

日本のフリースタイルを世界の基準に変えたい
「今の世界のシーンではコピーで溢れてるけど、それが強いような環境になってしまっているんですよ。日本ではお互いにそれぞれのスタイルがあって、対話するようなバトルができる環境で面白いです。実は国内の予選レベルは日本がダントツで1位って言われてて、みんなすごいスタイルを意識しているんです。なので、日本の方がリアリティのある対話を求められるので、簡単に勝てる環境ではないですね。
日本のフリースタイルを世界の基準に変えるっていうのも僕の中での一つの目標です」
Yu-ri | 日本の環境は面白い

Yu-ri | 日本の環境は面白い

© Jason Halayko / Red Bull Content Pool

04

ーYu-riさんが影響を受けた選手は?

見た瞬間にかっこいい!と思った
「『Kamalio』です。彼は雰囲気や立ち振る舞いからオーラが滲み出ていて、フリースタイルフットボールを始めた頃に見た中では唯一スタイルを持っていると感じました。その人を見た瞬間に世界がめっちゃ広がりました。スタイルを持ってる人はこんなにかっこいいんだと思って。
なんなら世界のランクとかは僕の方が上になったんですけど、まだ彼の領域には追いつけてないなっていうのは自分ではすごく感じてます。それってスキルとかの話だけじゃなくて、だから面白いんですよね。
上手くなってくると自分のマインドを鍛えないといけないので、人の動画とか見なくなってくるんですよ。でも、この人だけはもうプライドとか関係なく今でも見てます」
ーレッドブル・アスリートの先輩であるTokuraさんの技(※2)はやったことありますか?
「もちろん、実は僕も練習してコピーしました。それは『あの技凄かったよね』だけで終わらないために尊敬を込めて、という意味合いが大きいです。でも、もしかしたらいつか大会で急にやっちゃうかもしれませんね…(笑)」

26分

Finals Highlights

Previous world champions Anders 'Azun' Solum and Séan Garnier face a formidable opponent in Kotaro Tokuda.

※2 Tokura クラッチ(04:49付近)。Red Bull Street Style World Final 2012にて、奇しくもYu-riのアイドル『Kamalio』戦のしょっぱなでTokuraはこの大技を披露
05

ーこれからの目標は?

レッドブルを背負うからには一番を目指さないと
「世界大会優勝です。世界には何回もチャレンジしているんですけど、まだ優勝したことないんで。僕自身が負けず嫌いで一番にならないと気が済まない性格なので、何回負けても折れることはないですね。ずっと日本代表としてみんながっ僕を応援してくれている中で、『俺が絶対優勝して世の中を変えないと』みたいな、『最後の希望になるんじゃねえか』みたいな感覚です。レッドブルに所属してからは、さらに責任感や使命感を強く感じるようになりました。
フリースタイルフットボールって優勝するとその人の色になるんですよ。世界チャンピオンになって、そのシーンを自分の思っているものにごっそり持っていきたいですね。そうすればもっと世界として面白いフリースタイルや、まだ見たことのないフリースタイルとか出てくると思ってます」
Yu-ri | 世界チャンピオンを目指す

Yu-ri | 世界チャンピオンを目指す

© Jason Halayko / Red Bull Content Pool

ーレッドブル・アスリートとしての野望や、やってみたいことはありますか?
「めっちゃあって、フリースタイルフットボールに関わることは全部やりたいですね。レッドブルっぽいのだと……超簡単に言うと空でフリースタイルやってみたいです(笑)。空にフィールド用意するか頑張って吊るされるかのどっちかなんですけど。
実は、こういうところでできるための練習はもうしているんですよね。山の頂上にあるボックス型の場所とか、落ちたらすぐ下は海の崖とか。ちょっとずつ慣れてきて、準備はできてますね。マインドはずっと空に向かってます。レッドブルなら空飛びたいぐらいの願望でいいかなって(笑)」
ー他にも何かやってみたいことはありますか?
「僕はどっか行くのが好きなんで、ストリートパフォーマンスで全国制覇したいですね。やっぱり実際フットボールが好きで、フットボール自体も大きくなってほしいって思いがあるので、全国にフリースタイラーを作るっていうのが目標です。今の時代だとSNSで簡単にパフォーマンス動画見れちゃうんですけど、やっぱり目の前で魅せるフリースタイルも大事にしたいです」
Yu-ri | Red Bull Front Rown in Suzuka Circit

Yu-ri | Red Bull Front Rown in Suzuka Circit

© Kunihisa Kobayashi / Red Bull Content Pool

 
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Yu-ri自身がそうだったように、ストリートパフォーマンスやレッドブルイベントでフリースタイルフットボールに出会い、魅了される人も増えることだろう。彼の今後の活躍にも是非ご注目を!

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