スレッドプルに取り組むジェイク・ディアデン
© Baptiste Fauchille/Red Bull Content Pool

HYROX:世界王者が教えるトレーニングの内容・進め方・注意点

現在世界中で人気が高まりつつあるスポーツイベントHYROXの正しいトレーニング方法についてアスリート兼コーチとして活躍するジェイク・ディアデンが教えてくれた。
Written by Agnes Aneboda
読み終わるまで:7分Published on
HYROXを知らなかった人は、今すぐ興味を持つべきだ。2017年にドイツで始まったHYROXは、大腿四頭筋の強度からメンタルのスタミナまでの自分のすべてが試される世界最新の持久系スポーツイベントだ。そしてこのスポーツイベントのすべてを理解しているのが、アスリート兼コーチとして活躍しているジェイク・ディアデンだろう。
HYROXを完全にマスターしており、様々な記録も保持するディアデンが、HYROXの概要トレーニングメニュー避けるべき間違いなどについて語ってくれた。
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HYROXについて

「世界各地で開催されている全身ファンクショナル・フィットネスイベントです。最大の魅力は、適切なトレーニングを積んでいれば誰でも参加できる点です。とてもインクルーシブなのです」
「HYROXのイベントは、ランニング全身のストレングス・エクササイズで構成されています。その内訳はラン1kmスキーエルゴ1kmスレッドプッシュ50mスレッドプル50mバーピーブロードジャンプ80mローイング1kmファーマーズキャリー200mサンドバッグを抱えたウォーキングランジ100mウォールボール75回あるいは100回です」
「ラン以外のメニューはステーションで行い、ステーションとステーションの間にラン1kmを消化します。レースはラン1kmから始まるので、レース終了までにラン合計8kmを消化することになります。ソロでもペアでも最大4人のリレーでも参加できますが、どれでもタイムを競い合うことになります。かなりタフなレースで、大抵は1〜2時間かかります」
HYROXイベント

HYROXイベント

© Red Bull Content Pool

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HYROX用トレーニングプランが重要

「専用トレーニングを積めばフィットネスとストレングスを強化できる上に、すべての筋肉群をカバーできるので、イベント当日に必要な持久力もつきます。HYROXのエクササイズの中にはかなり高難度のものも含まれているので、好タイムを記録するためには、効率を高める必要があります」
「ですので、そのようなエクササイズを正しいフォームで練習することと、弱点をカバーしていて、イベント当日に役立つトレーニングメニューを組むことが重要です」
「スレッドプッシュなどのストレングス系エクササイズとインターバルランの両方が問題なくこなせるようになるバランス重視のトレーニングメニューを組んでください。また、自分のライフスタイルに合った現実的なトレーニングメニューを組むことも重要です」
「ラン用トレーニングとファンクショナル・フィットネス用トレーニングを消化する時間がなくて困ってしまう人もいますので、休息の時間も含まれている効果的なトレーニングメニューを組みましょう」
HYROX世界選手権に出場したジェイク・ディアデン

HYROX世界選手権に出場したジェイク・ディアデン

© Baptiste Fauchille/Red Bull Content Pool

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HYROX用トレーニングでは休息も重要

「適切な休息日を設けることで、トレーニングで適度に破損した筋肉を回復させると同時に強化できるようになります。一般的なジムトレーニングをイメージしてください。ジムトレーニングでも24〜72時間の休息が理想的です」
「ですので、完全に休むだけではなく、アクティブリカバリーにも取り組んでいきましょう。たとえば、スローペースのランニングやウォーキングです。身体は動かしていますが、負荷をかけすぎないことが重要になってきます。ハードにプッシュしたあとに休息を取らなければ、進捗が遅くなりますし、怪我のリスクも高まります。身体を痛めつけすぎてしまえば、逆にストレングスが失われてしまいます」
24〜72時間の休息が理想的なので、アクティブリカバリーにも取り組む必要があります
ジェイク・ディアデン
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基本のトレーニング期間は6〜12週間

「HYROXが世界的な成功を収めている理由のひとつが、インクルーシブネスです。HYROXはフィットネスレベルが非常に高い人たちだけのものではなく、全員のものなのです。尚、イベントで活躍したいなら、6〜12週間のトレーニングを積む必要があります。さらに好タイムを狙っていきたいなら、トレーニング量を増やすか、メニューを調整していく必要があります」
HYROXイベントでは全身の筋力・持久力が問われる

HYROXイベントでは全身の筋力・持久力が問われる

© Baptiste Fauchille/Red Bull Content Pool

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イベントに向けたトレーニングメニュー

「トレーニングはかなりキツいです。まず、衝撃が大きい・ウエイトが重いハードなエクササイズがあります。ここにはランニングも含まれます。また、スレッドプッシュやファーマーズキャリーのような高負荷のストレングスエクササイズもこなしていきます。ですので、かなりの負荷と圧を身体にかけていくことになります」
「私がコーチとして誰かのためにメニューを組むなら、1週間のトレーニングメニューをひとつのブロックとして組みます。休息日は週1日です。理想的な1週間は次のような内容になります」
HYROX世界王者のジェイク・ディアデン

HYROX世界王者のジェイク・ディアデン

© Markus Rohrbacher / Red Bull Content Pool

下半身のストレングスセッション x 1回

「下半身のストレングスセッションを1日用意して、両脚を最大限まで稼働させます。フロントおよびバックスクワット片脚ずつ交代で行うストレングスメニュー、次にサイドランジのような内転筋・外転筋を含む側面を鍛えるメニューですね。そして高負荷のスレッドメニューボックスステップアップで締め括ります」

コンディショニングセッション x 2回

「次にコンディショニングセッションを2日間行います。バーピーブロードジャンプスレッドプッシュスレッドプルのようなエクササイズが中心になります。この2回のセッションでは代謝のコンディショニング心拍数の上昇が目標です。休息を適度に挟んだ高強度インターバルトレーニングになります」

ランニングセッション x 2〜3回(うち1回はロングラン)

「あとはロングラン1回を含む2〜3回のランニングセッションです。理想的には、ロングランではHYROXのイベントを完了するまでにかかりそうな時間を設定してください(約90分)。うち1回はスピード強化のランニングセッションを組み込んでください。たとえば、トラックで休息2〜3分の1km x 8のインターバルトレーニングなどが良いでしょう」
「そして1回は疲労した状態でのランニングにも取り組んでください。つまり、坂道でのランニングスクワットやランジなどのストレングスメニューと組み合わたランニングです。こうすることで負荷がかかった状態でのランニングや乳酸の扱い方に身体を慣らすことができます」

通し練習

「コース全体の通し練習は2〜3週間ごとに行っています。ステーションからラン、ランからステーションのトランジションに慣れつつ、イベントに向けた全体的なストレングスの強化を進めています」
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イベント直前1週間のトレーニング

Jake suggests training six days a week, combining Hyrox-specific exercises like farmer's carries with running to get prepped for the course

イベント開催週まで週6日のトレーニングを積んでいるジェイク・ディアデン

© Joerg Mitter/Red Bull Content Pool

「HYROXイベントの大半は週末開催ですので、そこまでの1週間はエフォートレベルを80%まで下げます。イベント開催直前の1週間でストレングスを強化する意味はないので、月曜日と火曜日はテクニックとトランジションにフォーカスしてください。ムーブメントの精度を高めれば、タイムを削ることができます」
「水曜日はスローペースの5kmランに取り組み、木曜日と金曜日は完全休息してください。イベント当日にハードにトレーニングを積んできたという自信とすべてのステーションメニューをマスターしているという自信を得ていることが重要です」
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HYROXのトレーニングで見られがちな間違い

スキーエルゴはステーションメニューのひとつ

スキーエルゴはステーションメニューのひとつ

© Baptiste Fauchille/Red Bull Content Pool

「いくつかあります。ひとつ目は “不得意なエクササイズだけ取り組む” です。多くの人がスレッド系を苦手としていますが、これをマスターすることだけに集中してしまうのはNGです。このような人たちは、たとえば、バーピーブロードジャンプを “ただのバーピー” として軽視しています。実際は非常に難しいのですが、正しく行うために必要なスキルを軽視しているのです」
「2つ目は、“楽しくないという理由で特定のエクササイズをスキップする” です。多くの人がスキップしてしまうのがランニングです。イベントでは合計8kmを走る必要があることを忘れてはいけません。1回あたり1kmですので、大したことはないと思うかもしれませんが、ランニングが上達すればそれだけタイムが短縮できます
「そして3つ目は “HYROXのルールを学ばない” です。すべてのエクササイズのルールやテクニックを学ばなければ、ペナルティを科せられたり、スピードが落ちたりしてしまいます。たとえば、ウォーキングランジはランジからランジまでの間にしっかりと立つ必要がありますが、焦ってしまうと中途半端な姿勢を取ってしまいます」
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