福田 穣
© Keisuke Kato
ランニング

“面白そう”から始めてOK!! 福田 穣が語る『Wings for Life World Run』という特別な一日

世界最大のチャリティーラン『Wings for Life World Run』。世界王者・福田 穣が、初参加の思い出、走り続ける理由、そしてこのランニングイベントの魅力を語る。読めばきっと、“参加する理由”が見つかるはず!
Written by Daigo Sakazume
読み終わるまで:10分Published on

【Profile】福田 穣:

© Keisuke Kato

福岡県出身のプロランナー。2022年ゴールドコーストマラソンにて優勝。『Wings for Life World Run』では3度世界王者に輝く。2025年大会で記録した71.67kmは同大会の世界最高記録。
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◆ ここだけ読めばOK!!

  • 2022年に「面白そう」で初参加してまさかの初優勝。翌年は練習不足だったものの、“勝ちたい気持ち”で走り切り2連覇を達成
  • しかし2024年大会では、ライバルを意識しすぎて自分のペースを失い、初めて世界1位を逃す。
  • 2025年は原点に立ち返り“自分の走り”に集中。大会新記録で王座を奪還!
  • 『Wings for Life World Run』走り方も楽しみ方も人それぞれ。 エクササイズ気分でも、限界に挑んでもいい!
  • 先に捕まったランナーが、そのあと応援に回るのも魅力ひとつ。参加者同士の一体感が最高。
  • レース後の「面白かった!」というメッセージが達成感を何倍にもする。だから毎年走りたくなる。
  • 走ることが支援につながる。もっと参加者を増やしてイベントの認知度を上げていきたい!
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“面白そう”からまさかの世界1位!?

優勝したと分かった時は本当に驚きました!
──『Wings for Life World Run』初参加の時のことは覚えていますか?
福田: 覚えてます!
『ゴールが後ろから迫ってくる』っていうフォーマットを聞いて「オモシロそう〜」くらいの軽いノリでエントリーしました。
フルマラソンとは違って『鬼ごっこ』みたいなフォーマットなので、やっぱり自然と走る距離が長くなりますね。初参加の時の会場はアップダウンが多いコースだったので、50km付近で足が重くなっていったのを覚えてます。
── その時の優勝記録は約64kmですよね!?
福田: そうですね。だからその状態からプラス14kmくらい走ってますね(笑)
足が少し痛くなってきたタイミングで「そろそろやめようかなぁ〜」って思ったんですけど、ちょうどその時に周りの人が「いま世界トップの位置だよ!」って教えてくれたんです。
自分としては、ちょっとしたランニングイベントのつもりで来たのに、世界中継までされ始めちゃって「あれ、思ってたのと違うぞ…、雰囲気的にこれもう簡単にやめられないな...」って思いながら走ってました(笑)

© Keisuke Kato

福田: 途中で脚をほぐしたりして順位が8位まで後退した瞬間もあったんですが、アドレナリンが出て疲労感が麻痺したのか、後半必死で走り続けていたらゴール(キャッチャーカーに捕まる瞬間)の数分前になって逆転して、また世界1位に返り咲いたんです(笑)
途中でかなり止まっちゃったし、50km付近で「もう無理」と思った時点ではここまで走りきれるなんて想像もしてなかったので、優勝したと分かった時は本当に驚きました!

© Bambi Kawakubo Mami for Wings for Life World Run

── その翌年も見事優勝されましたが“秘訣”があったのでしょうか?
福田: とにかく「絶対に優勝して連覇するぞ!」という気持ちで練習量は増やしていましたが、日本縦断企画や別のチャレンジの中で足を痛めてしまいました。思うように練習できず不安もありましたが、「前回はほぼ練習なしでも勝てたし、今年も何とかなるだろう」と開き直って当日を迎えました(笑)
実際のレースでは、60kmを過ぎたあたりから一気にキツくなり、終盤には「連覇は難しいかも…」と感じる場面も。それでもラストスパートで逆転し、なんとか優勝できました。練習不足で厳しいレースでしたが、「どうしても勝ちたい」という気持ちで脚を動かし、最後まで走りきった感覚でした。

© Suguru Saito for Wings for Life World Run

── ちなみにそのレース前に、レッドブルは飲まれましたか?
福田: はい、レッドブルは絶対飲んでます!
これはもう本当に習慣なんですが、スタート前に一本飲まないと体がシャキッと目覚めない感じがしていて。練習前や、集中して作業するときなんかもレッドブル派ですね。炭酸が好きっていうのもあるし、とにかく自分にとってはスイッチを入れる大事な一杯なんです。
もちろん"レース中"は水などですが、走る前と走り終わった後のレッドブルは欠かせないルーティンになっています。

© Keisuke Kato

『自分のペースでいかに走り続けられるか』が重要
── そして見事連覇を達成された翌年、絶対王者としてオーストリアでの参加となりましたが、心境はいかがでしたか?
福田: アプリは使わずに、本物のキャッチャーカーに追われる『フラッグシップレース』形式での参加でした。
いま振り返ると、周囲からの期待やプレッシャーで、少し冷静さを欠いてしまった大会だったなと思います。
── と、言うと...?
福田: オーストリアでは目の前に競り合う相手がいる状況だったので、自分の走りに集中することができなかったんです。
本来『Wings for Life World Run』って、『自分のペースでいかに走り続けられるか』が重要だと思っているんですよ。自分との戦いに徹して、機械的に淡々と走らなくちゃいけないのに、その時は相手選手を意識しすぎて、マラソンの時と同じように『駆け引き』をしてしまったんです。強敵がいるということも聞いていたので、前半から無駄にペースを上げたり下げたりしちゃいましたね。
結果的に初めて世界1位の座を逃してしまって「ああ、1位じゃないのってこんなに悔しいものなんだ...」と痛感しました。

© Keisuke Kato

次は絶対勝つ!
── しかし次戦は見事に王座を奪還し、世界新記録も樹立されました!手応えはいかがでしたか?
福田: 今年 (2025年) はレース前からかなり自信はありましたね。練習もしっかり積んで臨みましたし、正直「今回は間違いなく誰にも負けないだろう」と。
実際走ってみても狙い通り順調に距離を伸ばせて、早い段階から「去年の世界記録も絶対塗り替えられる」という手応えがありました。

© Hiromitsu Rikimaru for Wings for Life World Run

──前回大会と同じようなプレッシャーは感じていましたか?
福田: 2025年はもう周りのことは気にせず「絶対勝つ!世界記録も塗り替える!!」という強い覚悟で臨みました。
実は100kmのウルトラマラソンの世界記録に挑戦するプロジェクトの一環として『Wings for Life World Run』を位置づけていて、ウルトラマラソンで記録を出すペースで走れることができれば、『Wings for Life World Run』でも大会記録は必ず更新できるし、おそらく誰にも負けないだろう、という想定だったんです。
具体的には1kmあたり3分34秒のペースをずっと維持できれば、70km以上走って大会新記録が出る計算でしたね。

© Hiromitsu Rikimaru for Wings for Life World Run

──戦略面もかなり盤石だったということですね。
福田: レース終盤、世界中で自分以外全員がキャッチャーカーに捕まって『残るは福田穣ただ一人』という状況になったと聞いた時は「あとは自分との戦いだ、どこまで記録を伸ばせるかやってやろう!」という気持ちで走っていました。
最終的に71.67kmまで逃げ切って世界1位を獲れて、自分でも納得の大会新記録を出せました!ただ、実は途中で1回だけトイレに寄ったんで、そのロスタイムがなければもうちょい走れたかなと思ってます(笑)
──トイレに寄っても世界1位獲れちゃうんですね!?
福田: 実は過去のレースは全部トイレ休憩に行ってるんですよ。2022年に東京で走った時も実は2~3回行ってて。オーストリアで走った時も結構色んな人に「信じられない…」って驚かれましたね(笑)
次回はできればトイレ休憩ゼロで『72km超え』の記録に挑みたいです!

© Keisuke Kato

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走り方も、楽しみ方も、人それぞれ

──実際に参加してみて感じたイベントの魅力を教えてください!
福田: ゴールが見えないからこそ自分次第でいくらでも挑戦の幅を広げられるところですね。
楽しく走りたい人はホントに楽しく走れば良いし、自分の中で「今日は○km走る」っていう目標を立てた人はそれをひとつのゴールにして、達成できたらあとはゆっくり散歩気分で終わっても良いし。もしくは自分みたいにエクストリームに限界まで自分を追い込んで、どこまで行けるかチャレンジしてみても良いし。
人それぞれのレベルでいろんな楽しみ方ができるのが『Wings for Life World Run』の一番の魅力だなって思います!
Wings for Life World Run 2025

Wings for Life World Run 2025

© Suguru Saito for Wings for Life World Run

福田: あと、大人数でスタートしてから徐々にランナーが減っていって、最後には自分一人だけで走るっていうは不思議な感覚ですね。あまり普通のマラソンイベントには無い体験ですね。
前半は、いつも後輩が「ランナーが通りまーす!」「避けてくれると助かりまーす!」って周りの人に声をかけて誘導してくれるんです。東京の会場で走った時とかは、レッドブル・アスリートの上田瑠偉くんが「自分がリードしますね!」って言ってくれて、スゴくありがたかったですね。
──ランナー同士で助け合えるのも魅力のひとつですね!
福田: そうだと思います!先に捕まったライバルや参加者の方々が、そのあと応援側に回ってくれるっていうのは面白い魅力のひとつですね!
「世界記録出せるよー!」って声をかけてくれたり、給水のタイミングの時にちょこちょこっと横で一緒に走ってくれたり、たくさんの人が最後まで応援してくれるので、いつも本当に力になります。
こういう参加者同士の一体感は『Wings for Life World Run』ならではだと思います。
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毎年走りたくなる“理由”と“意義”

大会の認知度をもっと上げていきたい
──福田さんが『Wings for Life World Run』に参加し続ける理由をお聞きしたいです!
福田: ゴールし終わった瞬間に世界中の人からたくさんメッセージを貰えるのがスゴく嬉しいんです。特に車椅子ユーザーの人たちから「すごい面白くてエキサイティングなレースだった」って言って貰えたりするのが本当に嬉しくて、“達成感”が倍増するんですよね。
正直最初は「レッドブルの面白いイベントだ〜」っていうノリで参加したんですけど、初優勝した後、今まで経験したことがないくらい本当に沢山の人から応援や労いの言葉をもらえたことに凄く感動して、これは仮にプロランナーを引退したり、運営母体が変わったとしても、大会自体があり続ける限りは絶対に毎年参加しよう、と思いましたね。

© Keisuke Kato

──福田さんがきっかけで参加する人も増えると思います!
福田: ありがたいことに、そういうケースが結構増えてきてて。
初参加の時の福岡の会場は人が少なくて寂しかったんですけど、去年は福岡の会場に何百人も集まってくれて「俺こんなに沢山の人と一緒に走れるんだ!」って感動しました。ここ数年で参加ランナーが増えたことがすごく嬉しいです。
もっともっと大会の認知度を上げて、参加人数を増やすことが自分の中のひとつの課題だと思っていて、そのために出来得る限りのことをやっていきたいなと思っています!

© Keisuke Kato

──最後に、世界中のライバルや今後参加するランナーたちへメッセージをお願いします!
福田: 世界中のトップランナーには、ぜひ"毎年"この大会に参加し続けてほしいですね。そしてお互い本気で競り合って盛り上げていきましょう!
僕自身、記録はどんどん更新してもらって構わないと思っていますし、もちろん自分も負けないよう全力を尽くします。その切磋琢磨が結果的に大会の注目度を高めて、イベントが大いに盛り上がると思うので。
「次は誰が世界一になるのか...!?」というエキサイティングな展開を世界中の人に届けながら、少しでも多くの支援と勇気を一緒に生み出せていければ嬉しいです!
福田 穣

福田 穣

© Keisuke Kato

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