優里
© Ryo Kuzuma
ミュージック

バズを生み続ける男 “優里” のクリエイティビティを探る!

純粋に楽しんでいるだけなのか? 綿密に練られたセルフブランディングなのか? 令和のヒットメイカー優里の脳内を知ることで、壁にぶち当たっているクリエイター&ビジネスマンも仕事へのヒントが見つかるかも?
Written by alex shu nissen / Edited by Hisanori Kato
読み終わるまで:9分最終更新日:
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◆ Information ◆

Red Bull Jukeboxのライブの全貌が遂に公開!
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【仕事の流儀】 逆を行け!誰もやらないからやる

――今日はバズを生み続ける優里さんのクリエイティビティに迫りたいと思っています。早速ですが、自分は本能タイプか計算タイプかで言うと、どっちだと思います?
優里「計算というか、今の状況は全く想像してませんでしたね(笑)。SNSで拡散され始めたのも、誰かが路上ライブの動画をあげてくれたのがきっかけでしたから。むしろ、自分自身はそんなにSNSを見る方ではなくて当時はよく分かってなかったです
――SNSで言うと、現在はYoutubeでも積極的に発信をしていますが、ここまでユーチューバーらしい動画って、第一線で活躍するアーティストだと結構珍しくないですか?
優里「アーティストで本格的にYoutubeをやってる人があまり居なかったからこそ、やってみたら絶対面白いだろうなって思ったんですよ。ミュージシャンってミステリアスだったりアーティスティックだから、かっこいいってのは、すごく分かります。でも僕的には、ミュージシャンって実際どんな感じなんだろう? ってすごく気になってました。それに動画でふざけてても、音楽は全く別物だから、ちゃんと真剣にやっていれば聴いてくれる人は減らないだろうと思って。現に減らなかったので、間違ってなかったなと思います
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© Ryo Kuzuma

――確かに! ファンとしては、むしろパーソナルな部分が見えるのは嬉しいですよね。少し前だったら、有名アーティスト=手の届かない存在というイメージだったぐらいなので。
優里「普通なら自分の曲の歌い方解説動画(※1)なんて、わざわざアーティストがやらないと思いますよ(笑)。でも僕は、歌手を目指してる子の参考になったら嬉しいって想いもあります。音楽を始めたばかりの自分は、良い歌を歌えてる自信はあったけど、聴いてもらう為に何をしたらいいか分からなかった。歌は上手だけど曲が作れないって子もいるだろうし、今はYoutubeがあるからこそ、そういう子たちを見つけてきて、100万人ぐらいに宣伝できるチャンネルを持っているのは、すごくいいなって。仲間というか、音楽やってる人たちが好きなので、そういう才能をどんどん見つけていきたいと思ってます
  • (※1)優里自ら歌が上手くなる方法を教えるコンテンツ。歌手志望のクリエイターにとってこの上なくためになる内容 👇
――そうか! 需要はあるけど、数少ない貴重な情報だから自ずと人は集まりますよね。
優里「でも、最初は苦労しましたよ。増やす為に必死でいろんなことやりました。逆立ちしながら『ドライフラワー』歌ったり、すごいくだらない事も(笑)。まぁ10分ぐらいの動画なんで、仕事終わりにクスクス笑ってくれたり、もしスベってたらそれも話のネタにしてくれればいいし(笑)。人生一度きりなんで、自分にしかできないことをやりたい。今だから話せるけど、本当はYoutubeもすごくやりたかったけど、やらない方がいいのかと、悩んだ時期もありました。でも、やってダメならやめればいいし、後悔したくなかったんです。とりあえず全部やってみるのが僕の流儀。やってて良かったですね
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【成功の条件】 バズる秘訣は自分らしさの中に

――ヒット曲はもちろんのこと、Youtubeでも人気企画をたくさん産み出していますよね。ちょっとした製作秘話を聞いちゃってもいいですか?
優里「例えば格闘技イベントのパロデイ『YURIN』(※2)ですかね。もともと優里チャンネルは友だち4人のメンバーとやってたんですけど、みんな格闘技が好きで、いつもみんなで年末見に行ってたんですよね。だから『YURIN』って名前でなんかやりたくない? って。最初は格闘技をしようと思ったんです(笑)。でも、それだと意味分かんないから、歌手だし歌でバトルしようということに。ただ、カラオケバトルに出てくれる歌手ってなかなか居なくて最初は難航しました。誰もが自分をさらけ出せるわけではないので。そんな中でも出てくれる人と戦うと盛り上がるし、初対面でも一緒に歌うことで、すごく仲良くなれるから、シリーズとして続けられるようになっていきました
  • (※2)ゲスト歌手とカラオケの点数で対決する企画。あの格闘技大会をイメージし、煽りVTRまで気合いが入っている 👇
ーー好きな物にヒントがあると。そして実現が難しい企画こそ、当たればリターンも大きかったんですね。
優里「斎藤さん(アプリ)で一般の方と絡むの企画(※3)も、ミュージシャンで、知名度調査やる人なんて居ないだろうから面白くなるだろうという発想でした。企画はいつも好奇心の延長ですね。むしろ、もっとちゃんとやらなきゃなって思うぐらいのユルさもあります。最近はレッドブルさんの協力ですごい大掛かりな変装企画(※4)ができましたけど、普段はネットで買ったヅラでバレバレなドッキリをやってたので(笑)
  • (※3)通話アプリを使って見ず知らずの人に歌を聴かせるシリーズ。本人とバレるまで~、ファンを見つけまで~、泣かせるまで~など様々な回が 👇
  • (※4)変装企画だけじゃありません! ナント、優里とRed Bullが企むワンマン音楽ライブ の開催が決定! 気になる方はこちら
Red Bull Jukebox Japan 2023 - KV

Red Bull Jukebox Japan 2023 - KV

© Red Bull Japan

――毎日投稿を続けてきて、バズる秘訣みたいなものって何か分かりましたか?
優里「正直、今でもバズる法則みたいなことは分かってません(笑)。でもYoutubeは、音楽と違って評価がすぐ分かる。僕らは19時に動画をアップするから、24時の再生数で、良かったか悪かったか、だいたい分かるんですよ。その分、失敗しても対策を立ててすぐに挽回できる。三日スベったら四日目で当てたらいいやって気持ちでやってます。僕らは楽しいことやってれば伸びるさ! という気持ちでやってます(笑)。そこが友だちと楽しくできてるコツかもしれません
――シンプルですが、試行回数を増やすのってどんな仕事においても大事ですよね。そうやって、成功する人の条件ってなんだと思います?
優里「いろいろ経験して、自分の武器を分かってる人が成功するんじゃないかな。音楽もそうだと思います。例えばテレビに出るとかもすごく大事だと思いますけど、歌が良くてテレビで歌うから意味がある。一曲、一曲の中で細かい部分まで気にして、歌い方や魅力の伝え方が考えられていて、そういう人が最終的に売れるんだろうなって思います
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【セルフブランディング】 ありのままで真っ向勝負する

――ミュージシャンもユーチューバーも数がどんどん増えてるじゃないですか。そんな時代における差別化やセルフブランディングについてはどう考えてますか?
優里「僕は完璧な人間じゃないし、失敗もします。だから自分を見せる時に、完璧に取り繕うよりも、常に等身大の自分を出す方が、曲を聴いてる人もすんなり入ってくるだろうなって。かっこつけすぎないのも大事だと思いますよ。考えすぎると疲れちゃう。歌もたくさん出すし、毎日動画も出すから、僕はそのままの自分でいきます。後で辛くならないようにってのもありますね
――タトゥーを入れに行く動画であったり、リアルを届けているのが伝わります。
優里「あの動画も、嫌だとか、ダサいとか、言ってくる人もいますが、何を言われても、自分の人生だから別にいいじゃんって思って気にしてません。いろんな動画で僕の素を見て嫌になっちゃう人もいると思う。それはそれでしょうがない。この人には合わないんだなってだけなんで
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© Ryo Kuzuma

――リスクがあるようで、熱量の高いファンを作る為には効果的なアプローチかもしれませんね。
優里「でも、これで他が中途半端だったらダメだと思います。僕は歌を届けたい人になりたかったから歌手になっているので、最終的には自分の作る音楽と声さえ届けばいい。矛盾するようですが、やりたいことはなんでもやりつつも、歌さえ真剣にやってたら、一度離れた人たちが、音楽を聴いて戻って来てくれることもあると思ってやっています
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【未来予想図】 ずっと”好き”を忘れないこと

ーーさまざまな分野に柔軟に挑戦できる人が強い時代。優里さんはこの先どうなっていきたいですか?
優里「いまの状況も全く想像ついてなかったので、これからどうなるかも分からない。実は、夢とかもなくて、目標とかもあまり決めてないんですよね
ーーそうなんですね?! いろんなことにチャレンジされているので、意外な回答でした。
優里「自分の中でいちばん大切なのは、歌がすごく好きってことなんです。好きなことを仕事にすると好きじゃなくなるっていう人がいるけど、そんなわけないって僕は思ってて。歌を嫌いになったことは一度もありません。いつか好きではいられなくなるって、ずっと言われてきたけど、歌だけはこれからも好きでいたい。それが自分にとっての目標ですね
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© Ryo Kuzuma

ーー初心を忘れるべからず、なんてよく言われますが、こればっかりは、成功を収めることよりも、何よりいちばん難しいことかもしれませんね。では最後の質問は、これからどんなステージに立ちたいかを教えてください!
優里「ゆくゆくは、年をとってからも自分の代表曲だけでディナーショーができるようなアーティストになりたいですね。あまり考えずに楽しく音楽を作って、歌って。最終的にそういう風になれたらいいなって思ってます
(了)
一夜限り、セトリや演出をみんなで一緒になって創り上げた(優里自身)最大規模のワンマン音楽ライブ

『Red Bull Jukebox 2023』

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