ボルダリング

【原田海インタビュー・後編】SNS世代の旗手、世界と闘う新世代クライマー

© Suguru Saito
トップクライマーにして、YouTuber? “アスリートの新しいあり方”を実践する《原田海》。そんな彼の止まらぬ勢いと“今”の活動に迫る!
Written by Daisuke Sato公開日:
【原田海インタビュー・前編】では、世界イチのクライマーとして、競技との向き合い方やその想いを語ってもらったが、一方で彼はこうも考えている。
SNSでの発信もアスリートとして重要な活動だと思う
原田海
原田 海
クライミング
原田海
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その証拠に、原田は2020年に入り、自身のYouTubeチャンネルを開設した。3月28日には記念すべき初動画を公開。開設の理由は、より多くの人にクライミングを知ってもらうためだ。以下の初動画ではチャンネル開設の理由が語られている。
そんな彼にYouTubeでは語られていない疑問を中心に、Q&A方式で質問をぶつけてみると、21歳の等身大の《原田海》を垣間見ることができた。
ー 自分自身がカメラの前に立つことに抵抗はなかった?
原田 全然抵抗なかったですね。ボクは普通にYouTubeを観てきた人なので、自分が出演することに対しても全く抵抗はありませんでした。
原田海
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ー 配信頻度は?
原田 週に1度か2度は配信できるようにしています。
ー 撮影の頻度は?
原田 最低2週間に1回は撮影するようにしています。撮影日に何本かまとめ撮りをします。
ー チームを組んでの制作?
原田 そうですね。主要メンバーが4人いて、他にお願いする場合もあります。
原田海
原田海
ー 構成・脚本・編集にも関わっている?
原田 基本的に編集はお任せしていますが、どういった内容にするかなどはチーム内で意見を出し合い決めています。もちろんボクも意見を出します。
ー 始めてみた印象は?
原田 カメラに向かって話すということに抵抗はなかったのですが、慣れてはいないのでかなり難しいです。逆にYouTuberの方のスゴさを改めて感じています。一見ラクそうに見えるじゃないですか、でも実際は本当に大変だしスゴいんだなって感動しました。
ー 周囲の反響は?
原田 仲の良いクライマーたちからも「よく観ているよ!」って言われます。だから、じゃあコラボしようよって誘います(笑)。
原田海
原田海
ー すでに登場しているクライマーはいる?
原田 今公開している動画では、土肥ケイ(土肥圭太選手)に出てもらっています。他の人にも声はかけています。
ー 今後コラボ動画も期待できる?
原田 そうですね。いずれは(野中)生萌さんにもお願いできればと思っています。いや、出てもらいます。てかもう、出させます(笑)。お楽しみに!
ー 視聴者、登録者の傾向は?
原田 クライミングやっている方が多いとは思いますが、やっていない方からもコメントをいただいているので、結構バランスは取れているんじゃないかと思っています。
▲原田海のインスタ(公式Instagram)より。
ー 数字のチェックはしている?
原田 たまに確認はしますが、男女比率とかまでは現状あまり気にしていないです。
ー 英語字幕がありますね、コメント欄にも英語など多言語が目立ちます。
原田 そうですね。ボクのインスタ(Instagram)でも日本人より外国人の方が多くて。おそらくワールドカップや世界選手権とかで知ってくれて、興味を持ってくれているのだと思います。そういった意味でも英語字幕をつけるようにしました。
ー 海外ファン向けの企画は?
原田 英語字幕をつけていただいている翻訳者が、海外在住の女性で、その方のクライマーであるパートナーからの質問に答えていくという動画を公開しています。
原田海
原田海
ー 今後YouTubeでやってみたい企画は?
原田 やってみたいのはクライミング大会の開催。企画の段階から大会までを密着で撮れたら面白いだろうなって思います。あとは外岩の岩場。海外だったら行くまでの道中をVlog形式で撮っても楽しそうですよね。そういうこともやっていきたいと思っています。もっと岩場の魅力も知ってほしいし、伝えられればと思っています。
ー クライマー以外でコラボしてみたい人は?
原田 他の競技のスポーツ選手でも今はYouTubeやられている方が多いと思うので、そういった方ともコラボしてみたいですね。お互いの競技に挑戦するとか。そういえば、レッドブル・アスリート(eスポーツ部門)に「けんつめし」さんがいらっしゃるじゃないですか。ボク、めっちゃ「けんつめし」さんのYouTubeチャンネルを観てまして、「けんつめし」さんには単純に会いたいです(笑)。
ー トレーニングとの両立が大変なのでは?
原田 そうですね。忙しくなってくると配信頻度が減ってしまうかもしれません。でも集中して練習時間を短く済ませれば時間も作れるので楽しみながらやっていきたいと思います。
ー YouTuberとしての意識ってありますか?
原田 今はないですけど、もっと登録者が増えてくれたらYouTuberを名乗りたいと思います(笑)。
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YouTubeに関してもまったく抵抗なし。逆にやる気を前面に出している風でもなく、《原田海》らしく、どこまでも自然体で楽しんでいる様子が印象的だった。きっとYouTubeに取り組むプロセスからも、しっかりと何かを学び取り、クライミングや自身の成長の糧にしていくのだろう。プロクライマーとしてだけではなく、YouTuberとしての《原田海》にも注目していきたい。
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◆改めてプロフィール(略歴)紹介◆

彼が手にした世界王者の称号がいかに偉業か、この紹介を通してより伝われば嬉しい。
原田海
原田海

原田海

大阪府出身。1999年3月10日生まれの21歳。身長は168cm。
幼少期からスポーツが好きで、サッカー、水泳、テニスなどにも挑戦してきた。クライミングとの出会いは10歳の時。たまたま自宅近くにクライミングジムがあったため、遊び感覚で通うようになったのがきっかけ。中学に入学してから一旦、陸上部に入部するが、その間も遊び感覚でクライミングは続けた。
高校生になって、スポーツクライミングに大会があることを知り、ジムの人の勧めで初めて出場した大会が国体の大阪予選だった。この初めて出場した国体大阪予選でいきなりの優勝。全国大会でもトップ5入るという成績を収める。そしてスポーツクライミングに様々な大会があることを知り、出場を続け、着実に結果を残していった。
高校期間中に、なんとIFSC世界ユース選手権2015“ボルダリング部門”にも出場、2位という輝かしい結果を残した。また、IFSCクライミング・アジアユース選手権2015にも出場し、“ボルダリング部門”“リード部門”の両方で2位に輝くなど、一躍世界に知られるクライマーとなった。
▲原田海のインスタ(公式Instagram)より。
高校を卒業後は神奈川大学に進学し、山岳部クライミング部門に所属。大阪を離れてひとり暮らしを始めた。大学進学後には、さらにワールドカップや世界選手権を転戦。1年の大半を海外遠征に費やす日々が続き、学業とクライミングの両立に悩み、2019年11月に神奈川大学を中退。よりいっそうクライミングに集中できる環境に自分を追い込んだ。
ユースやジュニア時代の戦歴を書き始めるとキリがないが、以上が駆け足で紹介する《原田海》のプロフィールだ。
▲原田海のインスタ(公式Instagram)より。
そして、スポーツクライミングファン以外の人にも《原田海》のプロクライマーとしての実力、スゴさを知ってもらうために、簡単に2018年に彼が世界王者に輝いた大会がどれほど格式ある大会なのかを説明したい。
スポーツクライミングの国際的な大会としては、IFSC(International Federation of Sport Climbing)が主催し、毎年開催されているクライミング・ワールドカップが有名だ。このワールドカップには、リード、ボルダリング、スピードという競技があり、1年を通して、それぞれの競技で7〜10戦が世界各地で開催される。
このクライミング・ワールドカップの2018シーズンに、ボルダリング部門において、年間王者獲得という快挙を達成したのは他ならぬレッドブル・アスリートの《野中生萌》。年間王者獲得当時のインタビュー記事が以下でチェックできる。
その他も、多くの日本人クライマーが優勝し、結果を残してきたのがIFSCクライミング・ワールドカップである。そして、このワールドカップとは異なる、もう1つの世界的な大会がある。それが「IFSCクライミング・世界選手権」だ。
ワールドカップは年間7〜10戦が開催されるのに比べ、世界選手権は各競技、2年に1度しか開催されない。
だから、2年間にたった1度しか手に入れるチャンスのない“世界選手権王者”の称号を得るために、世界中の強豪たちがこの1戦に集結するのだ。
この世界の強豪ひしめくIFSCクライミング・世界選手権2018“ボルダリング部門”において、当時まだ19歳(大学生)だった《原田海》が、世界の強豪を抑えて王者に輝いた。10歳でクライミングを始めて、わずか9年という急ぎ足で世界の頂点まで登り詰めた。
原田海
原田海
その他も国際的な大会で好成績を収め、2020年には、第15回ボルダリング・ジャパンカップでも初優勝を成し遂げている。
現在、日本代表として活躍を続ける《原田海》の今後の活躍にも大いに期待したい。
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(了)
※世界イチのクライマーとして、競技との向き合い方やその想いを語ってもらった記事はこちらで公開中 >> 【原田海インタビュー・前編】SNS世代の旗手、世界と闘う新世代クライマー
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◆Information
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