Kettlebells: an underrated fitness tool
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フィットネス

ケトルベルの正しい使い方

簡単そうに見えて、意外と難しいケトルベルを使ったトレーニング。正しいやり方をエキスパートから学ぼう!
Written by Danielle Richardson
読み終わるまで:7分公開日:
   
ジムでケトルベルを見かけたことがあるだろう。あるいは、ケトルベルを試しに持ち上げて数回振り回してみたことさえあるかもしれない。しかし、身体全体を鍛え、スポーツに役立てるためのケトルベルの使い方についてはまだ見当がついていないのではないだろうか。
そこで、我々は “ケトルベル・キム” の異名を持つパーソナルトレーナー兼Level 2 CrossFit所属コーチ、キンバリー・クルスマンのもとを訪れて、ケトルベルを使った9つの効果的なトレーニング方法と、ケトルベルを使う理由について話してもらうことにした。

1. スイング

「スイングは腰を素早く前に押し出しながら両脚の間からケトルベルを前方に引き上げる、下半身強化に効果的なヒップヒンジ系ムーブメントです」とキンバリーは説明する。スイングは片手や両手、あるいは片方ずつ交互に行えるが、スタンスと基本的な動きは同じだ。「しっかりと立ち、ケトルベルの持ち手部分をしっかりと握り、両足のスタンスは肩幅に合わせます。体幹を引き締めることを意識しながら腰を押し出し、なるべく膝を曲げないように背中をまっすぐにします。そして、再び両脚の間にケトルベルを戻し、力いっぱい腰を前に突き出してスイングさせるのです」と彼女は続ける。
ケトルベルを使ったスイングの効果について、キンバリーは「背中側の脊柱起立筋群や殿筋群、ハムストリング(いわゆるポステリア・チェーン)などの強化に効果的で、デッドリフトやスクワットに役立ちます。また同様に、ランニングやジャンプなど、瞬発力を必要とするスポーツに欠かせない筋力アップにも効果的です」と説明している。

2. スクワット

「両手でケトルベルを持ち、胸のあたりで抱え、両足のスタンスは肩幅に合わせます。かかとを浮かさず、背中をまっすぐにして胸を張ったままの状態でしゃがみます。正しい姿勢を維持しながらできるだけ低めの位置からスクワットしましょう。ポイントは、両脇をしっかり締めた状態のまま太腿の間を通すことです。こうすることで肘と太腿がぶつからずに済みますし、肩の外側の筋肉疲労を抑えられます」

3. プッシュ

プッシュプレスは、ケトルベルを胸の前の位置に持ってくることから始める。「体幹を意識し、お尻の筋肉を引き締め、素早くダイナミックに(スクワットではなく)体を軽く沈ませて、脚とお尻の力を使ってケトルベルをまっすぐ持ち上げます。トップポジションでは、ケトルベルがちょうど頭の上の位置にくるようにします。腕・肘・肩・腰・膝・足首が一直線に揃うように意識して、上腕部は耳につけます」

4. クリーン

「クリーンは筋肉全体の強度と瞬発力を高めるパワー系エクササイズです。まっすぐな姿勢で立ち、ケトルベルの持ち手を掴み、両脚の間から引き上げます。そして、ケトルベルが腰のあたりまで来たら上向きに引き上げます。このムーブメントに使うパワーの多くは、腕ではなくお尻を使って生み出されるものです。腕力だけで肩の位置まで引き上げるわけではありません。正しく引き上げることができれば、ケトルベルは手の周りで回転するので、前腕に落ちて怪我をすることはありません」

5. プレス

「使用する道具がケトルベルというだけで、ダンベルやバーベルのフロアプレスと全く同じ要領です。床に仰向けになり、ケトルベルを身体にぴったりつけて置くようにしてください。背中とお尻、両肩をしっかりと床につけたまま、肩が床から離れないように意識しながら腕がまっすぐ伸びきるまでケトルベルを持ち上げます。それから、肘が床につくまでゆっくりと両腕を戻します。この時、肘の角度が90°になるように意識してください」
「このムーブメントを取り入れれば、水平方向へ押す力が増します。また、胸や肩・腕の筋力アップなどにも効果的です。可動範囲が限定されるので、フロアプレスは通常のベンチプレスよりも肩に負担が少ないと言う人もいます」

6. ローイング

「上半身をまっすぐにして片手でケトルベルを持ち、その反対側の脚を前に出し、ケトルベルを持っている側の脚を後ろにして前後に開きます。お尻は前側に出ている脚の方へ向けます。前側の足に手を乗せて前傾し、背中をまっすぐにして体幹を引き締めるよう意識します。ケトルベルをお尻の方へ向けて引き上げつつ、できるだけ高く肘を上げるようにしましょう。そして、ケトルベルをゆっくりと床に向けて引き下げます。引き上げ時・引き下げ時の両方のムーブメントによって筋力を鍛えられます」
背筋・上腕二頭筋・体幹・ハムストリング・大臀筋がしっかり動いている感覚が得られるように行いたい。

7. ランジ

普段のランジに負荷を追加したい時にケトルベルは最適だ。しかも、様々な方法がある。「両手で1個のケトルベルを持って胸のあたりでホールドする “ゴブレット・ローディッド”、両手に1個ずつケトルベルを持って腕を伸ばしたままキープする “ファーマーズ・ホールド”、2個のケトルベルをラックポジション(肘を曲げて抱え込んだ姿勢)でホールドする “ダブルフロント・ラック” などがケトルベルを使ったランジとしては最も一般的ですね」とキンバリーは説明する。前後方向のランジを組み合わせたり、前に出す脚を交互に入れ替えながらランジを繰り返したりするのも良いだろう。このエクササイズには様々な選択肢があるのだ。
しかし、そのためにはまず正しいランジを身に付けておく必要がある。「自分に合った負荷を選び、脚を前後に大きく広げ、胸を張って体幹を引き締めるように意識します。後側の膝が床に軽く触れたら、前側のかかとから力を入れて立ち上がります。フルランジの状態で前後の膝が90°の角度になっているのが理想的ですね」とキンバリーは続ける。「ケトルベルを使ったランジは両脚の筋力をアップさせつつ、体幹とお尻の筋肉にも刺激が入ります」

8. スナッチ

「スナッチは1個、または2個のケトルベルを使い、1回のスムーズな動きで頭上まで引き上げる瞬発的なムーブメントです。ケトルベルを下から前方に向けて振り上げるまではスイングと似ていますが、スナッチでは腰を落とさず直立姿勢のまま、肩を使ってケトルベルを天井に向けてパンチするイメージで振り上げます。頭上まで引き上げたら、元の位置まで引き下げて再び同じ動作を繰り返します。お尻の筋肉を使いつつ、肩と腕を使ってムーブメントを最後までやり切ることがポイントです」

9. ターキッシュ・ゲットアップ

先に注意しておくが、ターキッシュ・ゲットアップは習得までにいくつものステップを踏む必要があり、さらには集中力と筋肉の協調性も求められるため、マスターが難しいムーブメントだ。しかし、続ければ身体全体の筋力と安定性の向上が見込まれるとキンバリーは説明する。
ターキッシュ・ゲットアップの方法については上の映像で確認できるが、キンバリーは「ケトルベルから目を離さず、左脚をしっかりと後ろ側に移動させ、左の膝をしっかりと床につけてお尻の位置をできるだけ前方でキープすること」がカギになるとしている。
また、キンバリーは、負荷は各ステップを全て快適にこなせるようになってから少しずつ増やすべきで、腕を常にしっかりと伸ばしておくことも重要だと続けている。腕を一定にキープできないのは、負荷が重すぎる証拠だ。
最後にケトルベルを使った効果的なトレーニング方法をもう一度まとめておこう:
  • スイング
  • スクワット
  • プッシュ
  • クリーン
  • プレス
  • ローイング
  • ランジ
  • スナッチ
  • ターキッシュ・ゲットアップ