ノースショア・パイプラインでサーフィンを楽しむコロヘ・アンディーノ
© Ryan Miller/Red Bull Content Pool
サーフィン

元CTサーファーの父を持つサラブレッド《コロヘ・アンディーノ》とは?

元CTサーファーのレジェンド、ディノ・アンディーノを父に持ち、聖地カリフォルニアのサンクレメンテで生まれ育った《コロヘ・アンディーノ》。本物のサラブレッドの軌跡を辿る。
Written by Daisuke Sato
読み終わるまで:8分Published on
Kolohe Andino portraied in Santa Cruz before the competition

コロヘ・アンディーノ

© Corey Wilson/Red Bull

Kolohe Andino

【PROFILE】
誕生日:1994年3月22日生まれ
出身地:アメリカ合衆国・カリフォルニア州
身長:180cm
体重:79kg
ホームポイント:サンクレメンテ・トラッセルズ
サーフボード:ロスト(メイヘム)
スタンス:レギュラースタンス
ウェットスーツ:ハーレー
※2019年3月6日現在
アメリカ合州国・カリフォルニア州・サンクレメンテ出身。元ASP WCT(現WSL CT)選手を父に持ち、2012シーズンからWSL CTに参戦を続けるアメリカを代表するサラブレッドサーファー。WSL CT参戦以降、着実に順位を上げ、虎視淡々とワールドタイトル獲得を狙っている。
▲コロヘ・アンディーノのプロフィール動画。幼い頃のコロヘも収録されている。

◆父親は一時代を築いた偉大なレジェンドサーファー◆

コロヘ・アンディーノの生い立ちを語る上で、彼の父である偉大なレジェンドサーファー「ディノ・アンディーノ」に触れないわけにはいかないだろう。
1990年代にASP WCT(現WSL CT)に参戦していた世界的なトッププロサーファーであり、また、マット・アーチボルトなどとサンクレメンテのサーフシーンの一時代を築いてきた偉人だ。ディノ・アンディーノやマット・アーチボルトらの活躍によって、サンクレメンテのサーフシーンが世界的に注目されたと言っても過言ではない。
▲左がコロヘで、右が父親のディノ。コロヘ・アンディーノのInstagramより。
そんな偉大な父のもとに生まれたコロヘ・アンディーノは、サーフィンの聖地と称されるカリフォルニア州・サンクレメンテという恵まれた環境のなかで、10歳の頃からサーフィンを始めた。
14歳当時のコロヘ・アンディーノ

14歳当時のコロヘ・アンディーノ

© Brian Bielmann/Red Bull Content Pool

◆NSSAのタイトルを9回獲得◆

父から受け継いだ類稀なる才能と、サーフィンの英才教育により、メキメキと頭角を現したコロヘは、コンペシーンで数々の偉業を積み上げていった。アマチュア時代には、NSSA(全米アマチュアサーフィン連盟)のコンテストにおいて、合計9個のタイトルを獲得している。
コロヘ・アンディーノと父であるディノ・アンディーノ

コロヘ・アンディーノと父であるディノ・アンディーノ

© Joli/Red Bull Content Pool

ちなみに、父のディノは選手としての現役を引退した後、オークリーのチームマネージャーとしてASP WCT(現WSL CT)に帯同することがあり、その際に幼い息子を連れていくこともあった。コロヘは幼いことから世界最高の波、世界最高峰のサーファーと触れる機会があり、その経験が彼のサーフィンに大きく影響したといわれている。

◆圧倒的な成績でASP WQSをトップ通過◆

2011シーズン、ASP WCT(現WSL CT)の予選リーグにあたる、ASP WQS(現WSL QS)に参戦し、圧倒的な成績を残し、トップ通過を果たす。2012シーズンから世界最高峰のエリートツアーASP WCT(現WSL CT)参戦へのプレミアムチケットを手にした。
バックドアのバレルを抜けるコロヘ・アンディーノ

バックドアのバレルを抜けるコロヘ・アンディーノ

© Zak Noyle/Red Bull Content Pool

また、2011シーズンは、ASP(現WSL)の6スターイベント「クイックシルバー・ブラジル・オープン・オブ・サーフィン」において、若干17歳という若さで優勝。さらに、「ヴァンズ・ピア・クラシック」でも優勝を果たしている。
▲2011シーズンに優勝した「ヴァンズ・ピア・クラシック」のハイライト動画。2:23からコロヘが登場。テイラー・ノックスやダミアン・ホブグッドなど、ベテランのライディングも収録されている。コロヘの優勝インタビューもあり。

◆2012シーズン、遂にASP WCT(現WSL CT)参戦◆

前シーズン、ASP WQS(現WSL QS)をトップ通過し、2012シーズンから世界最高峰のエリートリーグであるASP WCT(現WSL CT)に、若干18歳にして参戦を果たす。
American surfer Kolohe Andino in Round Two of the Quiksilver Pro France

2012年シーズンの「クイックシルバー・プロ・フランス」出場時のコロヘ・アンディーノ

© ASP/Kirstin

デビューシーズンでは、最高順位は第7戦「クイック・シルバー・プロ・フランス」の5位。年間総合ランキングを23位でフィニッシュした。
この結果は、コロヘにとって決して満足できる順位ではなかったかもしれないが、それでも10代にして世界で23位という成績は驚異的といえるだろう。
▲2012シーズン、第7戦「クイックシルバー・プロ・フランス」に参戦したコロヘのライディング動画。バレルからエアートリックまで、サラッとメイクするコロヘ。

◆2013シーズン以降も安定した成績を維持◆

2013シーズン以降、2019シーズンが終了した現在まで、安定した結果を残し続け、WSL CT参戦を続けているコロヘ・アンディーノ。
年間総合ランキングも徐々に上昇しており、2016シーズンは総合ランキングを4位でフィニッシュするなど、ワールドタイトルまであと一歩のところまで到達している。2013シーズン以降のWSL CTでの成績は以下。

シーズン

総合ラインキング

2012

23位

2013

26位

2014

11位

2015

25位

2016

4位

2017

7位

2018

11位

2019

5位

2018シーズンの11位を除いて、2016シーズンからは総合ランキングトップ10入りをキープし続けている。

◆CT本戦で優勝経験のない無冠の帝王◆

また、2014シーズンの第4戦「ビラボン・リオ・プロ」2位表彰台を皮切りに、2015以外の毎シーズンで表彰台を獲得している。各シーズンの最高順位は以下。

シーズン

年間の最高順位

2012

5位

2013

9位

2014

2位

2015

9位(×2)

2016

2位

2017

2位

2018

3位

2019

2位(×2)

上記、成績を見ればわかるが、年間総合ラインキングの最高順位は4位、各戦の最高順位は2位を誇るコロヘだが、じつはいまだWSL CT本戦での優勝経験がない。
▲2017年に公開された、カリフォルニアでのフリーサーフィンの動画。オフシーズンのリラックスしたプライベートも収録されている。
多くの試合で表彰台争いを繰り広げてきたコロヘが、いまだWSL CTの優勝経験がないというのはなんとも不思議な話だ。なにか運命の糸に操られているとしか思えない。
▲コロヘ・アンディーノのインスタグラムより。
もしかすると2020シーズン、来日も決定しているコロヘに、神様からのビッグプレゼントがあるのかもしれない。
コロヘ・アンディーノのさらなる活躍に大いに期待したい。

◆シグネチャーフィルムの存在◆

メディアへの露出が少なく、あまり多くを語らないコロヘ。そんな彼の内面まで触れた貴重なシグネチャームービー『Brother』の存在をご存知だろうか。
2015年公開と少し前のフィルムではあるが、彼の育ったサンクレメンテのサーフシーンや世界最高峰の波でのキレッキレのライディングが収録されたフィルム。全23分と少々長めなので、時間のある際にぜひチェックしてみてほしい。
▲2015年に公開されたコロヘ・アンディーノの自伝的映画「Brother」。現在、レッドブルTVで無料配信中だ。
また、この映画『Brother』が撮影された経緯や内容についての詳細が記録された記事が以下。

◆長年付き合っていたガールフレンドと結婚◆

▲コロヘ・アンディーノのInstagramより。
2018年には、長年付き合っていたガールフレンドと結婚。上記、コロヘのInstagramには多数のウェディングフォトが公開されているが(スワイプでチェック)、まるでウェディングカタログのような美男美女ぶりに驚く。

◆2019年9月にISA出場のため宮崎県に来日◆

2020年9月には、WSL CTとは別の競技団体である「ISA(国際サーフィン連盟)が主催する『2019 ISA ワールドサーフィンゲームス』出場のために宮崎県に来日。
コロヘ・アンディーノ

コロヘ・アンディーノ

© Daisuke Sato

ちなみに、この『2019 ISA ワールドサーフィンゲームス』は、個人としての世界チャンピオン、また、国別の世界ランキングなどを決定するための世界選手権であり、世界55カ国から約240名の世界的なトップサーファーが出場した。
Professional surfer from Brazil Italo Ferreira celebrates at the Awards Ceremony of the 2019 ISA World Surfing Games in Miyazaki, Japan.

イタロ・フェレイラがゴールドメダルを獲得

© Ben Reed

この大会において、アメリカ代表の1人として出場したコロヘは、ファイナルまで勝ち上がり、ブラジル代表のイタロ・フェレイラに惜しくも敗れてしまったが、個人として2位を獲得し、シルバーメダルを手にした。
▲『2019 ISA ワールドサーフィンゲームス』のハイライト動画。
レッドブル・アスリートの五十嵐カノアジョーディ・スミスジュリアン・ウィルソンカリッサ・ムーアキャロライン・マークスも出場した『2019 ISA ワールドサーフィンゲームス』観戦記は以下からチェックできる。

◆スムースなライディング◆

ターン、エアー、バレルのメイクなど、コロヘ・アンディーノは、まるでそれらがまったく難しくないことのように、じつにスムースにこなしてしまう。

3分

コロヘ・アンディーノ: RAW

Filmer Jacob Vanderwork brings us his best Kolohe Andino clips from their work together over the 2017/18 winter season.

英語

▲2017年に公開されたフリーサーフィンの動画。
スムースすぎて、その凄さが逆に伝わりにくいのではないかと心配になるほどだ。
多くを語らない控えめな人柄のコロヘ・アンディーノ。
今後は、彼が描く、燻銀であり、最先端である、スムースで美しいサーフィンにこそ注目して、じっくりと観察してみてほしい。サーファーであれば、きっと心打たれるはずだ。
(了)
◆Information
レッドブル・アスリートの人物像を紐解く記事を公開中>>レッドブル・サーファー名鑑(大会観戦や動画鑑賞のお供に!!)
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