ときど、ネモ

【一流の他薦No.02】“ときど”が語るRed Bull Kumite 2017出場選手の、こだわり

自分以外のプレイヤーについて語ってもらうインタビュー企画【一流の他薦】。第2回はときどが、Red Bull Kumite 2017の日本人出場選手について、さまざまな切り口で語る。

ときど
ときど© Red Bull Japan

“東大卒プロゲーマー”の肩書きで知られる、ときど。類まれな洞察力を武器にする彼は、5月にフランスで開催されるRed Bull Kumite 2017の招待選手としても名を連ねる。今回は、同じく日本から 出場するウメハラ、ボンちゃん、ガチくん、ネモの人物像について語ってもらった。

ウメハラ
ウメハラ© Red Bull Japan

人生の師匠は、マイペースな合理主義者 ~ウメハラ~

――それでは、ウメハラさんから聞いていきたいと思います。あえて最初は、ウメハラさんのここが変だぞ、と感じる部分について教えてください。

ときど もう(ウメハラさんに)インタビューしてます?

――いえ、これからです。

ときど たぶん、裸足にクロックスで(インタビューを受けに)来ると思うんです。上は、Hyper Xのシャツに、Twitchの紫色のパーカーで……そりゃ職質されますよね。

――職質されてしまうことってあまりないことのように思うんですが、ウメハラさんはされてしまう?

ときど そうらしいです(笑)。何年か前に、ウメさんのほうから珍しく「これからは、プロも見た目に気をつけなきゃいかん」と、アドバイスをくれたことがあったのにも関わらず。いつも背中で語る人なので、アドバイスをくれること自体あまりないことですけど。

――ご自身から、そのような発言があったのに。

ときど ここ1年くらいは、裸足にクロックスで来ておいて、「やべ、今日インタビューだ。靴貸してくれ」なんてことを、マゴ(※)に対して言っているのを見て、「ウメさん、それはないっすわ」と(笑)。確かに彼の、この業界に対する貢献度を考えれば本当に些細なことだけど、やっぱり、マイペースですねぇ。

※マゴ……“2D神”として知られる、日本の格闘プロゲーマー。

――マイペースな一面もあるウメハラさんですが、体調管理やメンタル面など、実生活で見習いたいと思うところがあったら教えてください。

ときど よく、ウメさんが「ゲームで負けても死なないんだから、好きにやればいいじゃん」と言うんですが、僕は知ってるんです。ウメさんがもし、この試合で負けて死ぬとしたら、自分はどう取り組むだろうと、本気で考えていた時期があったって。ふつうは考えないですよ、「ゲームで死ぬ」なんて。

――まるで、巌流島に臨む宮本武蔵のような。

ときど 僕はいま空手をやっていますが、あんまりやりすぎると体調不良にもなるし何より体が痛くなる(笑)。この前なんか、ダメージを受けすぎて風邪をひいたり。でも、(痛みを伴わない)ゲームでウメさんがそんなことまで考えてるのは、よっぽど思い詰めてゲームをやっていた時期があった。それが、強さにもつながっているんだと思いますね。

――本当に命を取られることはないけれど、そのくらいの覚悟を持って取り組んでいたことがあったと。

ときど そんな経験があったからこそ「死にゃあしない」発言が出てくることを、大多数の人は気付いていない。「お前らどうせ、“負けたら死ぬ”なんて考えながらやったことないでしょ」という裏返しなんですよ、あの言葉は。

――だから、「楽しんでやれよ、死なないから」と、言葉が出てくるということでしょうか。

ときど まさにそうです。あの人の過去は重いですよ。ゲームがまともな扱いを受けてなかった時代でも、逃げずに立ち向かっていったわけですから。僕は、学業に逃げたんです。

――それは、逃げなのでしょうか……。

ときど いま思えば、僕はゲームの本質が持つすばらしさに気付かず、「学業をちゃんとしてるんだから、ゲームやっててもいいでしょ」と考えちゃった。

――当時、学生だったときどさんは、ウメハラさんから多大な影響を受けたとお聞きしていますが。

ときど そうなんです。ただ、当時は学生だったので「よくわからないけど、この人の言うこと聞いていれば間違いないだろう」と思ってました。その後、同じ世界で背中を見ていて、すごく勉強になりましたね。ゲームの中のことだけじゃなくて。

――“人生の師匠”のような?

ときど まさにそんな感じです。彼のお陰で、すごく成長できた。いてくれて本当によかった存在です。

――ウメハラさんのどんなところが、ときどさんの成長に結びついたのでしょうか。

ときど ウメさんは、他人には真似できないプレイで、強い。僕がいちばん印象に残ってる試合があります。一度だけ、ウメさんが本当に仕上がっている状態で対戦してもらったことがあったんです。

――いつごろの出来事でしょうか?

ときど 2013年のMad Catz Unveiled JAPANで、ウメハラ対Infiltration(※以下、インフィル)で行われた、すごい組み合わせのエキシビションマッチのちょうど2日前くらいです。

※Infiltration……Team Razerに所属する、韓国のプロゲーマー。

――その前哨戦、といった形でしょうか?

ときど 僕はインフィルと同じキャラクターを使っていたので、ウメさんに「お前ちょっとスパーで、やるぞ」と(練習試合に)誘われて。僕は「あ、いいっすよ」と軽い気持ちで対戦したら、手も足も出ずにボコボコにされちゃって。「チョット待て。これ、人間のプレイじゃないぞ。何かインチキしてるでしょ」って思ったくらい。

――まさに、目を疑うような。

ときど そのときに、人ってこんなに強くなれるんだとうれしくなった半面、これがプロゲーマーとして生きていくために求められる水準だとしたら、そりゃキツイとも考えました。

――ボンちゃんは、マルチ格闘ゲーマーとして活躍していたときどさんを見て、「こんなに(複数のゲームを)やらなきゃいけないなら、俺はプロにはなれない」と思ったそうですが。

ときど 僕だったら、ひとつのゲームをこんなに極めることはできないです。当時は7つのゲームを並行して、そのすべてで80点、85点を取る、というやりかたをしていた。けれど、やっぱり人が見たいのは、7つも8つも85点を出せるプレイヤーより、ひとつのゲームに対して120点のことができるプレイヤーどうしの対戦だと、そのときに感じました。

――理屈じゃ説明できない部分ですよね。

ときど 僕は、見ている人に感動を与えることができなかったら、(プロとして格闘ゲームを)やる意味がないと思っています。だって勝つだけだったら、メーカーに言って自分のキャラを強くしてもらえばいいですし。

――究極的にはそうですよね。

ときど ウメさんは、僕に考えるきっかけを与えてくれました。

――ほかにも、ウメハラさんがすごいと感じる部分はありますか?

ときど “他人に流されない”のはすごいですよ。僕は、「他人の期待に応えていればいいじゃん」と考えていた。でも彼は、他人(ファン)自身が気付いていないような、無意識に持っている欲求を満たしてこそのプロだと行動している。いい意味で期待を裏切るのがプロの仕事だと考えているのが、やっぱりすごいですね。

――期待に応えるだけでも大変なのに、「それだけじゃ稼げないよ」と。

ときど (ウメハラさんは)ある意味で合理主義者だと思います。「期待に応えているだけだったら、結局大したことはできないんだぞ」と自分でわかっているんでしょう。だから失敗を恐れず、期待を裏切っていく。

――この前、ボンちゃん にインタビューしたときは「ウメさんは、考えかたがコロコロ変わる」とおっしゃってました。

ときど そのとおりです。だって、「ガイルで勝っても、俺の中にそれは違うっていう自分がいるんで、俺はリュウ使って全員なぎ倒します」と言った一週間後には、使用キャラクターをガイルに変えましたから。

――ウメハラさんは変化を恐れない。

ときど 自分の中で、すごく思考を重ねているんでしょう。だから、考えかたがコロコロ変わる。変わらないほうが、ある意味怖いですよ。それって”考えること”自体をしていないわけだから。

――他人の意見を鵜呑みにするのは、楽な道ですよね。

ときど もちろん、彼に振り回される周囲の人間は大変です(笑)。ウメさんを模範とする人は特に。僕なんかはキツかったですよ。「この前まで、こう言ってたのに、なんで急に変わっちゃうの!?」と最初の頃は驚いたし。おかげさまで、もう慣れましたが……。

――ウメハラさんに驚かされたことは多かった?

ときど そういえばウメさんは以前、海外遠征のときに美容グッズや肌ケア用品を持っていましたね。あとは加湿器とか、パックのようなのも。多分、いまはやってないと思いますが。

――先ほどの“裸足にクロックス”のエピソードとは、別人のようです(笑)。

ときど やるときはとことん集中的にやる人なんですよ。当時は自分でも、「OLなんかより、絶対に俺のほうが(美容に)気を遣っている」と言っていましたから。海外まで持って行くほどなので、ふだんからやっていたことなんでしょう。

ボンちゃん
ボンちゃん© Maruo Kono

こだわりは強いが意外にサラリーマン気質 ~ボンちゃん~

――続いては、ボンちゃん について聞いていきたいと思います。初めて出会ったのは、ゲームセンターだったそうですね。

ときど 当時ボンは雀荘で働いていて、店のシャツを着てゲームセンターにいました。僕はボンのことを、ウメさんの知り合いだと聞いていたので、絶対、『ストリートファイターII』勢だと思い込んでました。

――ふつう、そう連想しますよね(笑)。

ときど 『ストII』勢だとすると、僕に比べて年配の方ですから、32、3歳くらいの方だろうと勝手に思っていて。でも後々、どうやら僕より年下らしいと聞きました。当時、ボンは体重100キロくらいで、すごく貫禄があったし。

――今のボンちゃんからは想像できないです。

ときど ボン自身は「100キロはない」って言ってました。でも銭湯に行ったときに、僕の目の前で測ってもらったら102キロあって。ボンが「じゃあしょうがねえ」って言いながら持ってたタオルを手から離して……、それでも、101.5キロありました(笑)。

――そんなことが(笑)。人間としてのボンちゃん には、どんな印象をお持ちですか?

ときど 人間的には、すごく芯があります。

――芯と言うと?

ときど ボンは、自分の哲学をしっかり持っていて、それを通すためだったら多少の批判や意見は「全然聞かなくていいでしょ?」ってスタンスなので、かっこいいですよね。

――人間としてかっこいいと。

ときど なかなか、ボンみたいな人はいないです。とくに、この情報化社会においては。ちょっと調べれば何でも情報が出てくるから、あまり自分で考える必要がない。そのなかで自分のやりたいこと、通したいことを、ちゃんと持っているのはかっこいいし、人気にもつながっていると思います。

――では、そんなボンちゃんのここが変だ、と感じるところはありますか?

ときど “こだわりを出す”ことがこの世界で絶対に必要だと思うんですが、その中でもボンを見ていると「自分のこだわりをそんなに出していいの?」と感じます。ボンにとって2016年は、結果だけ見れば全然ダメな年だったのではないでしょうか。でも、彼のスキルをもってすれば、結果を取りにいくことは可能だったはず。ただ、そこで安易に結果を求めるようなことはしなかった。

――すごいと思う反面、自分とは考えかたが違うと思う部分でもある?

ときど 先程のウメさんの話ともつながりますが、ボンがこだわりを貫くことを、ファンは喜んでいる。勝敗は大切だけど、あのプレイで勝ってこそ。ファンのいちばんわかりやすい期待である「とにかく勝ってくれ」という想いから遠ざかっているように見えても、真の意味で期待に応えることができている。いい意味で期待を裏切るということが。この業界には、彼のようなプレイヤーが必要なんです。

――では、ボンちゃんのここがうらやましい、という部分があったら教えてください。

ときど 以前から、ボンは反射神経の持続力があると感じていました。もっとすごいな、うらやましいなと思うのは、メンタル面です。彼は、長年雀荘で働いていて、日々勝負の世界に身を置いていたハングリー精神があるから、ここイチバンの場面で、崩れない。

――ボンちゃんは、勝負強いと。

ときど ここは手がすくんで、対空の昇竜拳を出せないのでは? と思ってしまう場面でも、ふつうに出してくる。Red Bull Kumite 2015グランドファイナルの敗因はそこだったと。あれは、メンタルの差が出てました。

――Red Bull Kumiteの話題があがりましたが、海外遠征の際にボンちゃんのここが変だな、と思ったところがあれば教えてください。

ときど ボンは、毎回重い荷物をよく持ってます。慣れているはずなのに、荷物が一向に減らない。短期間の滞在でも、練習用のPCをちゃんと持っていきますし。僕はありがたいんですけど(笑)。意外とサラリーマン気質なんですよね。

――サラリーマン気質というと?

ときど 「お願いされたり、命じられれば、ちゃんとやります」という部分があります。いままでの話からすると、意外ですよね。あえて縛られたがるような側面があるので。だから、変だなぁといつも思うんです。選んだのがプロゲーマーという特殊な道なのに、意外と安定思考な側面があると言うか……、真面目ですよね。

ガチくん
ガチくん© Red Bull Japan

10年間変わらない美学を貫く、若きチャレンジャー ~ガチくん~

――ガチくんとの出会いや、そのときの印象について教えてください。

ときど 初めて会ったのは、オーストラリアですね。

――日本ではなく海外ですか。

ときど 確か、オーストラリアの大会に参加したときでした。面倒だからウィークリーマンションを共同でひとつ借りて、日本人プレイヤー6人くらいで滞在したときに、一緒でした。当時、彼は16歳の高校生で、印象は礼儀正しい子。“ふつうの子”に見えたんですよね、僕らからしてみると。昔は格闘ゲームをやってた人って、ふつうじゃない人が本当に多くて。閉ざされた世界だったし、オタクの極みみたいな。

――オタクというか、アングラな世界ですよね。

ときど そう、アングラ感がありました。でも、ガチくんくらいの世代になると「育ってきた環境が違うな」と。いまどきゲームをやってる若い子たちって、アングラ感が全然ないです。

――いま現在の、ガチくんの印象はいかがですか。

ときど やっぱり礼儀正しいですね。地方のプレイヤーだったので、大会で上京するときなんかに、お土産を持ってきてくれたりして。ゲーマー的にはちょっと考えられない(笑)。あとは、いいプレイをするようになったのはわかりやすいですね。

――プレイのどのようなところに成長が表れていますか?

ときど ガチくんには、「こうやって勝つ」と、彼なりの美学がある。最近よく思うのが、格闘ゲームはやはり、メーカーがお金儲けのために作っているものなので、作り手の意図に乗っかって勝つのは簡単で。ただ、作り手の「こういうゲーム性ですよ、こうしてくださいね」のような意図に乗っかるだけのプレイで勝つことを、僕はおもしろいと思わなくなってしまった。見ている側もつまらないだろうなと気付いたんです。

―― なるほど。

ときど だからこそ、美学を持っているプレイヤーが輝いて見える。ガチくんのプレイからは、相手をコントロールして勝つ姿勢が、明確に見て取れます。

――相手をコントロールして勝つとは、具体的には?

ときど 『ストV』って、リリース当初は攻める側が強いゲームだろうと言われていて、僕らの中でもそんな先入観や固定観念が強かった。なかなか守り切るスタイルが難しくて。それにも関わらず、彼は守りながら、相手を動かして、そこに対してカウンターを準備しておいて……、それで勝つんだ! と驚きました。流れに乗りませんでしたよね。

――若手らしいピュアな心で、常識を疑ったと。

ときど そのスタイルを貫く理由まではわかりませんが、「俺はこうプレイがしたい」と意図が伝わってきます。それは、10年前から変わっていません。

――10年前からですか。

ときど もちろんプレイの質はどんどん向上していますが、その背景にある彼の美学は変わってないです。

――そんなガチくんですが、5月から地元を離れ、東京で格闘ゲームに取り組んでいくそうですね。

ときど やっぱり、若いプレイヤーがチャレンジしたいので、上京する決意したことは、素直に応援したくなりますよね。

――人生の大決断ですよね。それも若くして。

ときど もっと、ガチくんのようにチャレンジする若いプレイヤーがいてもいい。僕が当時、そんな感じだったんじゃないかな。よくわからない世界に入って、たまたま、いままでうまくいってるんですけど。

ときど、ネモ
ときど、ネモ© Jason Halayko

サディスティック&スタイリッシュな社会人プロ ~ネモ~

――ネモさんのプレイヤーとしての印象や、ここがすごいなと思う部分を教えてください。

ときど プレイに関して言うなら、僕にはないものが、明確にあります。

――それは、どんなものでしょうか?

ときど 僕は、勝ちを意識するとテンパってしまうんです。フィニッシュを意識するあまり、動きが固くなったり。たとえば3試合先取の形式で、2-0とリードしたときなんかは要注意。僕は「あれ?ちょっとうまくいきすぎてないか?」と思ってしまう。逆にネモさんの場合は、2-0でリードするとそのままストレート勝ちする確率が高い。「もう2-0なんだから、どうなるかわかってんだろうな?」と、 感じさせるようなプレイ。

――まるで王様のようなプレイ、といった感じでしょうか。

ときど 「もう後がないよ?どうするの?この動きキツイでしょ?」と試合できることは、うらやましいですね。

――それは、テクニックやスキルといった側面ではなく、ネモさんのメンタルによるものだと。

ときど メンタルというよりも、性格によるものだと思います。ボンが追い込まれても冷静なのは、メンタルが強いから。ネモさんがリーチをかけたときの、あのプレイは、性格によるものですね。

――ネモさんは、どんな性格だと思いますか?

ときど 彼は、SかMかで言ったら、ゲームにおいては“ドS”なんですよね。

――‟ドS”ですか(笑)。ほかにも、プレイヤーとして考えかたが違うと感じる部分があったら教えてください。

ときど (自分と)違いすぎて、逆にわからないです。僕の感覚では、彼は勝とうと思ったらどんなゲームでも勝てるはず。実際、彼はシーズン2(※)で強いし、かなり勝っている。でも、シーズン1(※)では成績がよくなかった。僕からすると、「キャラクター次第では絶対勝てていたでしょう」と、思ってしまいます。

※シーズン2……『ストリートファイターV』の2017年調整版。

※シーズン1……『ストリートファイターV』の2016年版。

――どうして強いキャラクターを使わないのだろう? と。

ときど 彼は根本的には勝ちにこだわる人間なので、絶対強いキャラクターを使うだろう、と考えていたけど、使わなかった。それでも彼は、自分がいちばん勝てると思うキャラクターを使っていると言っていた。それがとにかく理解できない。僕からすると変なんですよ。

――確かに、ときどさんからしてみれば、違和感ありますよね。

ときど いつも勝っているのになんでシーズン1でだけ、一般的に強いと言われていなかったキャラクターを使っていたんだろうって。「(ネモさんなら)何でもできるんじゃないの?」と、僕が一方的に思っているだけなんですけどね。

――では、人物として見たネモさんのここが変だ、ここがすごいという部分はありますか?

ときど 変と言うと違うかもしれないですが、社会人と兼業でプロをやっていて、努力している。もちろん、規則正しい生活を送っているでしょうし。それと、あの体型を維持しているのはやっぱりすごい。身長も高くてかっこいいですもん。おしゃれにも気を遣っているし。マラソンもやっているらしくて。

――それは、ランニングといったことでしょうか?

ときど いえ、ハーフマラソンに出場するとかで。定期的に、練習している時期があるみたいです。

――コンディション調整といった部分ではいかかでしょう。

ときど そういった部分には人一倍、気を遣っていると思います。社会人なので、体調も崩せないだろうし。あの年代になると、太りやすくなったりとかもすると思いますが、いつもシュッとしているから、やっぱり、かっこいいですよね。

ときど
ときど© Red Bull Japan

栄冠の先にある“勝者の権利”を目指して

――では最後に、間近に迫ったRed Bull Kumite 2017の話題を。まず、大会としての印象はいかがでしょうか。

ときど プレイヤーに対して、かなり焦点を当ててくれる大会だなと、すごく感じます。(本選出場者が)少数精鋭ですし。Red Bull Kumiteは毎回、ホスピタリティがすばらしい。

――“おもてなしの精神”があると。

ときど いちばんですね。

――続いて、海外の注目選手を教えてください。

ときど やっぱりインフィルでしょうか。海外にも数多くの強豪プレイヤーがいますけど、いちばん最初に目立ったプレイをしてくれたのは、 インフィルだった。彼は、ずっとひとりで練習してきたはず。もし僕が同じ環境に置かれていたら、すぐに抜かされていたと思います。

――そんなインフィルさんですが、2017年は海外大会の参加に積極的ではないようですね。

ときど 2016年では大会を総なめにしていたのに、2017年に入ってからは大会に全然出てない。どのキャラクターを使うのかもわからないし。

――注目選手でもあり、当たるのが怖い相手でもあると。

ときど 何をしてくるかわかりませんから。とにかく、まずは彼のプレイを見たい。後は、欧米のプレイヤーで言えば、Phenom(※)でしょうか。

※Phenom……BX3 ESPORTS CLUB所属、ノルウェーのプロゲーマー。

――Phenomさんを挙げた理由は、なんでしょうか。

ときど 若いプレイヤーで、これだけしっかりプレイできるのは怖いですよね。彼とは、かなり長い時間話す機会がありましたが、過去に格闘技をやっていたそうです。僕は絶対に、格闘ゲームと格闘技には関連性があると思っているので、そういった意味でも、注目しています。

――そんな背景も含めて注目しているんですね。

ときど ブルース・リー好きな彼の、「流れる水がごとく、相手に対応する」モットーにも注目しています。そんな視点で、彼のプレイをよく観るようになりました。

――では、大会に向けての意気込みを聞かせてください。

ときど 個人的な話になってしまいますが、2年連続で2位を取っていて、まあ悪い成績ではないのですが、いつも最後に悔しい思いをしています。ただ、自信はけっこうあります。去年よりも、今年のほうがあるんです。

――その理由は、どんなところにあるのでしょうか。

ときど 「僕が本当に使いたいキャラクターを選んで、使っている」、それだけで本当に自信になるんですよね。自分の中のこだわりを、ちゃんと貫けています。

――それは、確かに自信につながりますよね。結果以外に、これだけは残していきたい、表現したいものはありますか?

ときど 結果は、僕にとって過程なんです。少なくとも、それがすべてではないと思ってますし。結果だけでいいほど、この競技は成熟していないので。結果を出して初めて、“主張する権利”がもらえるんですよね。

――“主張する権利”ですか。

ときど だって結果を出さないと、「お前の言ってることは自己満足に過ぎないじゃん」と言われてしまって、全体には響かない。身内ならわかってくれると思うんですけど、それだけでは十分じゃないので。

――ここで優勝すれば、それだけの説得力を得ることができると。

ときど 本音は、「自分の哲学を通すため、主張をするために、まずは勝ちます」ですね。Red Bull Kumiteは、十分、それだけの価値があるビッグイベントですから。

トッププレイヤーたちの知られざる一面は、ゲームが持つ本質のすばらしさを追い求めてきたときどにこそ、語ることができるものばかりだった。

5月27日にパリで開催されるRed Bull Kumite 2017では、一流のプレイヤーによる激闘がくり広げられるだろう。残る日本人出場選手である、ボンちゃん、ウメハラ、ガチくん、ネモのインタビューも順次お届けする。

■Red Bull Kumite 2017

日時:2017年5月27日(予選:18時〜)・28日(決勝:21時15分〜)

予選スケジュール配信予定時刻(JST)
プールA〜H18時〜20時30分
プールI〜P20時30分〜23時
TOP32〜TOP1623時15分〜01時
TOP16〜予選終了01時〜06時
決勝スケジュール配信予定時刻(JST)
オープニングセレモニー21時15分〜21時35分
TOP16〜TOP1221時35分〜00時30分
コンボコンテスト00時30分〜00時50分
TOP12〜TOP400時50分〜03時
TOP4〜グランドファイナル03時〜05時
アフターショウ05時〜
Written by 高城暁、山本雄太郎