The Divergent 3D Blade
テクノロジー

2019年 最新3Dプリンティング自動車 5選

© Divergent 3D
世界初の3Dプリンティング自動車が公開されたのは昨日の出来事のように思えるが、今や実に多彩な種類が存在する。Ctrl+Pで生み出された最新の3Dプリンティング自動車を見ていこう。
Written by Phil Barker公開日:
自動車製造にとって3Dプリンティングは究極の理想だ。
コンピューター上のデザインを簡単に具現化でき、最終的には巨大で高価なライン生産用ロボットや工作機械が不要になるので、消費者はより安価で自動車を購入できるようになる。さらには、消費者が自分で交換用パーツを出力できるようになる可能性も考えられる。
しかし、3Dプリンティング自動車の可能性はそれだけだろうか?
大手自動車メーカー群がこのテクノロジーの大々的な導入にまだ及び腰だが、数年前にLocal Motorsが世界初の3Dプリンティング自動車を公開したのをきっかけに、イノベーティブなモデルが数多く登場している。
今回紹介する3Dプリンティング自動車5台が革新に弾みをつけてくれることに期待したい。

Shell Project M

Shell Project Mのルックスは奇抜だが、この小型シティカーは優れた血統を持つ。
この車はかつてBrabhamやMcLarenで数々の名マシンを手がけた元F1デザイナー、ゴードン・マレーが設計したシャシープラットフォームをベースに、自動車製造コストのさらなる引き下げを念頭に置いてデザインされている。
マレーが手がけたiStreamストラクチャーは93個の3Dプリンティングコンポーネントで構成されており、車体重量約550kgを実現している。これはかつてマレーがデザインしたF1マシン群に匹敵する軽さだ(編注:マレーが1988年にデザインしたワールドチャンピオンマシンMcLaren MP4/4は540kg)。
この軽量性は実に多くのメリットをもたらし、たとえば、コンポーネントの耐久性とパフォーマンスが向上する。また、1ガロンあたり107マイル(1ℓあたり45.5km)を誇る高い燃費性能のおかげで燃料コストも削減される。
もちろん、このプロジェクトは世界最大級の石油企業のShellが実用化を進めるのが大前提だ。

XEV LSEV

XEVとPolymakerの共同開発で生まれたLSEV
XEVとPolymakerの共同開発で生まれたLSEV
イタリアのスタートアップ企業XEVは、3Dプリント業界大手のPolymaker世界初の量産3DプリンティングEVを共同開発した。
XEVはこのプロジェクトについて次のように説明している。
「従来の自動車生産は大型で複雑なモールドや工作機械を必要としていましたが、これらは高価なだけでなく、用途が限定されます」
「我々の3Dプリンティング生産ラインは、このような限定的・資源集約的な工作機械の必要性を事実上排除し、フレキシブルで効率的な製造プロセスを実現しています」
このプロセスから生まれた2人乗りコンパクトカーLSEVは、ドア / バンパー / ボディをはじめとするインテリアパーツの多くが3Dプリントで生産されている。
このイノベーティブな生産プロセスのおかげで、2019年後半からの市販を予定しているLSEVの販売価格は9,260ドル(約102万円)前後が予想されている。これは現在人気のTeslaより大幅に安い価格だ。

Divergent 3D Blade

ペトロールヘッズたちが3Dプリンティングのコンセプトに落胆するのはもっともだ。
結局のところ、多くのメーカーが自社のイノベーションを喧伝する際に引き合いに出しているのはコストの低さだけだ。また、FerrariからSmart的なコンパクトカーに乗り換えたがるドライバーはいない。
それでも、3Dプリンティングを見放すのはまだ早い。Divergent 3D Blade(ページ最上部)はどこからどう見てもスーパーカーそのものだが、その中核を担う “スケルトン” チュブラーシャシーには3Dプリンティングが用いられている。
素材のイノベーティブな活用によって3D Bladeの車体重量はわずか629kg(公称値)で、Ford Focusの半分以下を実現している。そこに720馬力(Ford Focusの6倍)を発生するエンジンを搭載する3DBladeは強烈なパフォーマンスを発揮することが予想されている。

Local Motors Olli

ラージスケール3Dプリンティング技術の可能性を示したプロトタイプ車両Local Motors Stratiのポテンシャルには大いに驚かされたが、このプロジェクトはそのあとどうなったのだろうか?
Local MotorsはどうやらStratiの開発を打ち切った模様で、ビーチバギー的オモチャを求めていた我々には残念な結末となった。その代わり、Local Motorsはこれまでに培った知見と経験を完全自動運転のドライバーレス・シャトルOlliに注いでいる。
Olliの大柄なボディはまるでガラス製のようだが、実は3Dプリンティングで製作されている。尚、Local Motorsはすでに衝突試験映像を公開し、この3Dプリンティング車両の堅牢性を証明している。

Toyota uBox

シャシーの生産方式が従来通りのToyota uBoxは、多くの点において今回紹介している他の自動車ほどイノベーティブではない。
それでも、この日本を代表する大手自動車メーカーは3Dプリンティングを効果的に活用している。実は、自動車業界での3Dプリンティングにオープンソースのアプローチが採用されたのはこの自動車が初めてなのだ。
uBoxはToyota North Americaとクレムソン大学(米国ミシガン州)の共同開発の一貫として誕生した自動車で、注目はそのインテリアだ。
uBoxではダッシュボードやインテリアトリムに3Dプリンティング技術を応用しているため、内部を自由にカスタマイズできる。また、オーナーたちはオンラインコミュニティ経由でデザインのアイディアを共有できる。
冒頭で述べた「ユーザーが低コストで手軽に自分だけのパーツを製作できる」未来が現実になるのだ。
Toyota uBoxはオンライン上でユーザーが愛車をカスタマイズする未来像を提示
Toyota uBoxはオンライン上でユーザーが愛車をカスタマイズする未来像を提示