ゲーム
『レミングス』の25周年を記念して、この伝説のパズルゲームが遺した遺産を振り返ってみよう。
パズルゲームの傑作『レミングス』が25周年を迎えた。1991年に英国・ダンディーにある小さなスタジオ、DMA Design(Rockstar Northの前身)が開発したこのゲームは、当時最も売れたゲームのひとつとなり、20以上のプラットフォームで計2000万本以上を売り上げた。
1990年代初期以降にリリースされたゲームの多くはこの『レミングス』の影響を何かしら受けている。今回は『レミングス』のゲームプレイを進化させた作品、またはDMA Designがこのゲームを開発していなければ、この世に存在しなかったはずのゲームなどを取り上げているが、いずれも『レミングス』の要素を少なからず含んでいる。
『グランド・セフト・オート』
まずは一番重要な作品から紹介しよう。Rockstar Northが開発した『グランド・セフト・オート』は2000年代以降、最も成功しているシリーズだが、『レミングス』が成功していなければ生まれていなかったはずだ。DMA Designは『レミングス』がヒットしていなくても、『GTA』のようなゲームを開発したのだろうか?
『レッド・デッド・リデンプション』
当然ながら、『グランド・セフト・オート』の成功はその後のRockstarの素晴らしい作品群に繋がった。『BULLY』、『L.A.ノワール』、そしてその中でもベストと言えるのが『レッド・デッド・リデンプション』だ。John Marstonとして銃を引っさげて西部を放浪できない世の中なんて想像できない。Rockstarによるカウボーイ叙事詩であるこの作品はXbox Oneの下位互換リリースが予定されているので、『レミングス』への賛辞として、このゲームの成功によって生まれた秀作のひとつをプレイするのはどうだろうか?
『コマンド&コンカー』
Westwood Studioが開発したリアルタイムシミュレーション(RTS)のアイコンであるこのゲームは、一見したところコメディパズルゲームの『レミングス』とはかけ離れているように思える。しかし『レミングス』はRTSのジャンルの精神的祖先に当たり、間接操作という概念を初めて用いた作品のひとつだ。各レミングに指示(橋を架ける、壁をパンチして進む、など)を出すと、プレイヤーが別の作業をしていても、その指示を自動的にこなすという概念はRTSの大きな特徴のひとつだ。『コマンド&コンカー』でも、『スタークラフト2』でも、プレイヤーは常にユニットを選択して指示を与えなければならない。
『Worms』
Team17が開発したこのストラテジーゲームは、英国で開発されたAmiga用ゲーム、破壊可能なステージ、大ヒットを記録など、『レミングス』と共通する部分が多い。しかし、『レミングス』の影響が一番良く表れているのは、小さなスプライトで描かれたメインキャラクターだろう。DMA Designは『レミングス』で細部まで描ける大きなスプライトを使わずとも魅力的なキャラクターが表現できることを証明したが、Team 17はそれを上手く利用して、個性的な小さなヒーローたちが登場する『Worms』を生み出した。
『Plants vs Zombies』
すべてのタワーディフェンス系ゲームは『レミングス』に影響を受けているので、今回はその中で最も有名な『Plant vs. Zombies』を取り上げる。一見しただけでは、まったく違うタイプのゲームに感じるかも知れないが、タワーディフェンスというジャンルはリソースマネジメントのゲームであり、各スキルの数を確認し、そのスキルを正しいタイミングで各ユニットやキャラクターに振り分け、あとはそのユニットやキャラクターがなんとか耐え抜いてくれることを祈るというシステムは、『レミングス』と同じだ。
『マリオvs.ドンキーコング』シリーズ
『レミングス』にインスパイアされたゲームの中で最もポピュラーな作品が、任天堂の『マリオvs.ドンキーコング』だろう。オリジナルの『マリオvs.ドンキーコング』はアクションゲームだったが、2作目の『マリオvs.ドンキーコング2 ミニミニ大行進!』は、ロボットマリオが敵を避けたり障害物やトラップを乗り越えたりしながら、無事出口に辿り着けるようにタッチペンを使って誘導する『レミングス』のDS版と呼べる内容になっている。この後にリリースされた4作は様々なアイディアが混ざったゲームになっているが、マリオを出口まで誘導するという部分は同じだ。
『パタポン』
自分のチームを危険なステージの出口まで無事に導いていく、これが『レミングス』にハマる大きな理由のひとつだが、SonyのPSPの『パタポン』でもそのフィーリングをしっかりと感じ取れる。このゲームはリズミカルなドラムビートに合わせて、敵に埋め尽くされたステージを進軍するという内容だ。ビートごとに違った指示が出され、ステージとステージの間では兵士たちに新しい武器を与えることもできる。言ってしまえば、『レミングス』のミリタリーバージョンだ。
『チューチューロケット!』
『レミングス』で間違った指示を出してしまった時ほど、取り返しのつかない瞬間はない。間違った指示を出せば、キュートなネズミの長い隊列が喜び勇んで奈落へ向かって行進してしまうのだ。そして、SEGAのドリームキャストでリリースされた『チューチューロケット!』も同じで、一手ミスをすれば、ネズミの隊列が喜び勇んで死へと向かっていく。『レミングス』はスキルを割り当てる、『チューチューロケット!』では方向タイルを設置していくというゲームプレイの違いはあれど、いずれもネズミの大量死の責任の所在について教えてくれるゲームだ。