Josh Bryceland on track during practice at the 2016 MTB World Championships in Val di Sole, Italy on September 9 2016
© Bartek Woliński
MTB

夏に向けてMTBをメンテしよう!

最高のシーズンの最高のトレイルを最高のバイクで楽しむための5つのヒントを紹介しよう。
Written by Ric McLaughlin
読み終わるまで:4分公開日:
夏が来る。窓を開けて外の空気の匂いをかいでみれば、夏の匂いがするはずだ。トレイルに向かって、グリップを失わないように岩を越えながら砂埃を巻き上げてターンするあのMTBシーズンがやってくるのだ。
しかし、最高のライディングシーズンを最大限楽しむために、冬のぬかるんだトレイルで走り込んでいたというライダーも多いだろう。冬は我々にもう二度と暖かい季節は来ないんじゃないだろうかと思わせると同時に、愛車に大きなダメージを与える厄介な季節だ。
そこで、今回は夏のライディングに向けたMTBメンテナンス方法を伝授しよう。以下の準備をしておけば、夏が来たその日からライディングに繰り出せるはずだ。

1:洗車

Manon Carpenter's MTB gets a wash down after practice in Val di Sole during the 2016 MTB World Championships

洗浄されるマノン・カーペンターのバイク

© Bartek Woliński

これは当然のアドバイスだが、軽く洗うだけでは不十分だ。まずは隅から隅まで水でしっかり洗い、くぼみや溝の中も綺麗にしよう。次に信頼できるメーカーのバイククリーナーを全体に塗布し、数分放置したあとでまた洗い流そう。
洗い流したあとは、バイクスタンドを使って愛車を固定し、工業用ペーパータオルなどでしっかりと拭き取ろう。オイルや泥がこびりついて普段使いができなくなってしまった古いTシャツで拭いたほうがコストは抑えられるが、ちゃんと “綺麗” にならなければ意味がない。拭き取りも念入りに行えば、泥が完全に取り除ける上に、愛車が更に美しくなる。また、使い古しの歯ブラシはカセットスプロケットの泥を取り除くのに最適で、ホイールを外して洗えばリアリンケージを細かく手入れできる。

2:分解 / オイル注入 / トルクレンチ

Un leggero accumulo di fango sulla bici alla World Cup DH di Lourdes nel 2016

泥まみれのライディングではサスペンションがダメージを受ける

© Nathan Hughes

愛車の全パーツを完全に取り外してバラバラにひとつずつ作業しても構わないが、それができるのは工具箱の中身がきちんと整理整頓されている人だけだろう。
というわけで、自分のバイクのパーツ類の中でオイルをしっかり塗布しておく必要があるパーツについて優先的に考えてみよう。ヘッドセット、アクスル、ボトムブラケット、ドロッパー / シートポストはどこも泥がこびりつきやすく湿気も帯びやすいので、ライディングを終えたら、仲間と一緒にゆっくりする前に一度しっかり洗い流してオイルを塗布しておこう。尚、良質なバイク用オイルほど長持ちする。また、トルクレンチを用意すればバイクがきしまなくなるだろう。

3:タイヤ、グリップ、チェーン、カセット、オイルの新調

The signature lock-on grips on Steve Peat's custom-painted Santa Cruz V-10

スティーブ・ピートのシグネチャーハンドルグリップ

© Bartek Woliński

毎週・毎日のようにトレイルでライディングが楽しめる夏のために、パーツ類を新調しておくのも良いだろう。チェーン、カセットスプロケット、インナーギアケーブルなどを交換すれば驚くような違いが生まれるので、しばらくの間は「新車」気分が味わえるはずだ。また、ハンドルグリップを交換すれば両手にフレッシュな感覚が得られ、トレイルを走り回って溝が小さくなったタイヤを新調すれば、バイクのグリップ力が大幅に増す。
コックピットの再調整も悪くないアイディアだ。ライディングポジションを多少調整するだけで、トレイル上のフィーリングが異なるはずだ。しかも、この調整にはお金が一切かからない。

4:シール用ルブ

Uno sguardo ravvicinato alla YT Tues di Aaron Gwin

アーロン・グウィンのサスペンションフォーク

© YT Mob

愛車のサスペンションのスタンシオンは、冬の間ずっとシールを境に上下に動き続けていた。そして上下運動1サイクルごとに、サスペンションは衝撃を吸収しつつ、ルブをスタンシオンにリフィルしてくれる。1サイクルごとに、だ。そんなハードワーカーなサスペンションには愛情を注いであげるべきではないだろうか?
そこで、布にフォーク用オイルを取り、スタンシオンとシールが接触する部分に塗布してみよう。次に、サスペンションフォークやリアショックをトラベル量一杯に何回か動かしながら、余ったオイルを拭き取っていこう。エアサスペンションの場合は、空気圧のチェックもしておきたい。

5:シリコンスプレー

Loïc Bruni's shiny Specialized

Loïc Bruni's shiny Specialized

© Bartek Woliński

誰だってピカピカなバイクに乗りたい。自分は違うという人はかなりの変わり者だ。シリコンスプレーは比較的安価だが、使えば「バイクショップに飾られているバイク」のような美しさが得られる便利なアイテムだ。バイクが汚れたら、シリコンスプレーを汚れていないペーパータオルに適度に吹きかけて、フレームやフォークなどを拭いてみよう。あっという間に工場から直送されたような輝きが得られるはずだ。ただし、ブレーキパッドやローター、グリップなどは拭かないようにしよう。