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DJ必読! ロングセット成功の秘訣
ロングセットを成功させるには? ハウスミュージックシーンを代表するDJ、Mark Knightがアドバイスを送る。
Written by Louis Pattison
読み終わるまで:5分Published on
 
 © Press
Toolroom Recordsの創始者Mark Knightは、2017年4月から世界各地の主要クラブで6時間以上のロングセットを披露する計15日間のツアーに出ている。また、Knightは、このツアーに合わせてRoger SanchezやDanny TenagliaなどのスーパースターDJと共にロングセットの美学について語り合うショートフィルム『Odyssey』をリリースした。
持ち時間が6~8時間あれば、音楽的によりクリエイティブになれる
Mark Knight
Mark Knightはロングセットの魅力について「ヘッドライナーとしてプレイする時は、ありとあらゆる派手なプレイを強いられる。俺たちはその数時間でオーディエンスを興奮させ、彼らに大きなインパクトを与えるためにギャラをもらっているわけだからね。でも、自分の枠が6~8時間あると、音楽的によりクリエイティブになれるのさ。疲れるし、毎週は無理だけど、正しいヴェニューなら、スペシャルな体験になる」と説明している。
ショートフィルム『Odyssey』をチェックしたあとは、ロングセットに関するMark Knightからのアドバイスを読み進めよう。

1. エキスパートから学ぶ

Danny Tenagliaのセットは、今まで聴いた中で最高のロングセットの中に入る。彼は他のDJから高い評価を得ていて、マイアミのWMCで24時間セットを披露することもあった。俺も月曜早朝のフライトで帰らないといけないのに、日曜の夜遅くまでダンスフロアで踊っていたよ。
そういうロングセットから学んだことが、今の自分の一部になっている。フロアとのコミュニケーション方法を学んだよ。Princeの曲など、誰も予想できない意外な曲を突然プレイするんだ。「予想外の選曲だけど、フロアを完全にロックしている」って思ったね。俺は今でも参考にしているよ。

2. 時間帯に分けてトラックを準備しておく

ロングセットに向けて準備する時は、膨大なトラックを時間帯で区切るようにしている。23時から24時、24時から3時、3時から6時と、一晩を数時間単位で区切って、それぞれのプレイリストを用意する。ピークタイムが来れば、その手のトラックをプレイするけれど、3~4の時間帯に分けて、プレイリストを用意しておくのさ。そのプレイリストやトラックがどういう順序でプレイされるかは蓋を開けてみないと分からないけれど、各トラックに時間帯のイメージを付けておくことが助けになる。

3. つなぎ役のトラックを把握しておく

ロングセットは、異なるテンポやムードを自由自在に変えつつ、流れを切らないプレイをする必要がある。だから、変化をつけたい時に上手く機能するトラックを把握しておくことはとても重要だ。「この曲とあの曲をつなげるにはどうすべきか」という点を常に意識しておく必要がある。このアプローチはアートそのものだ。DJはオーディエンスを旅に連れ出す存在だから、その旅をシームレスに感じさせることが重要なんだ。

4. フロアを読む

事前にいくら綿密なセットを組んでおいても、現場でその通りにプレイをすることは不可能だ。DJの美学とはフロアを読むこと、「機能すると思ったトラックがはまらなかった。プランBとプランCを試してみよう」と考えることだ。だから、目の前の状況にフレキシブルに対応できるような、幅広いトラックを用意しておく必要があるね。
Danny TenagliaはマイアミのWMCで24時間セットをプレイしていた
Mark Knight

5. 飛ばしすぎず楽しくプレイする

厳しい現実を言えば、DJはオーディエンスとコミュニケーションが取れていないとダメだ。フロアのムードを読み取り、そのムードやバイブスに自分をリンクさせる必要がある。俺の場合は酒なしでそれをするのは不可能だけど、飛ばしすぎないようにしているよ。フロアと自分をリンクさせようとする中で、酒に飲まれるのはナシだ。それではアーティストとして成立できない。

6. ヴェニューは慎重に選ぶ

ロングセットの際は、正しいヴェニューを選ぶ必要がある。ヴェニュー選びを失敗すれば、自分のプレイが上手く伝わらない。世の中には、2時間のプレイなのにずっとプレイしているように感じてしまうヴェニューがある。でも、逆に「もう8時間も経ってしまったのか?」と感じるような快適なヴェニューもあるんだ。
俺にとって、マイアミのクラブ、Spaceはパーフェクトなヴェニューだ。あそこでは数人のDJが最低10時間以上のプレイを披露している。10~11時頃になると、どんな選曲もはまる魔法のような時間が生まれるんだ。チューバのソロを1時間プレイしても問題ない。俺の中では、Spaceはロングセットに適した世界一のクラブだね。

7. ヴァイナルプレイには不向き

ヴァイナルを使ったロングセットは輸送面で実現不可能なんじゃないかと思っているんだ。ヴァイナルを使ったロングセットでちゃんと利益を出せるのは、大量のヴァイナルを運ぶ航空会社だけだろうね。
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