ゲーミング
[プロフィール/上写真:左]
松田 泰明
株式会社ユニバーサルグラビティー代表兼ゲームニュートンオーナー
2002年に始まった複数タイトル格闘ゲーム合同全国大会『闘劇』の実行委員として立ち上げから携わる。近年では『ゲームデイトナ志木復活プロジェクト』の立ち上げや、『闘神祭』『EVO Japan』等の大規模イベント、『COOPERATION CUP』『MASTERCUP』等のユーザー主導の全国大会運営などますます精力的な活動を見せている。
[プロフィール/上写真:右]
松井 悠
株式会社グルーブシンク 代表取締役
『Red Bull 5G』、『World Cyber Games』、『International E-sports Festival』などの大規模イベントをはじめ、ゲームコミュニティの構築、プロモーション企画、ゲーム開発イベントの運営など、「ゲームを作ること以外はなんでもやる」チーム groovesync gaming を率いる。著書に『デジタルゲームの教科書』、『デジタルゲームの技術』がある。
なぜ、ゲームセンターの店長が闘劇を始めるに至り、そして闘劇後も今なお大会を支え続けるのか
松井 お互いに、いろんな方に間違えられるくらい、見た目も名前もやっていることも似ていて、でもクロスしないようなところにいますよね。あらためて、よろしくお願いします。
まずは松田さんがそもそもゲーセンを、そしてアーケードの格闘ゲーム大会をなぜやっているのかというところからお伺いしていければと思います。
松田 もともと、自分がゲームを大好きだっていうのもすごくあるんですけど。ゲーム大会を大昔からやっているうちに、プレイヤーの真剣にやっている姿が「本当にアスリートみたいだな」と思って。ゲーマーって割とオタクだったりアングラっぽいイメージが強かったじゃないですか。
普通に野球とかサッカーとかやってる人は評価されるのに、ゲームが上手くても何も評価されないっていうのはかわいそうだし、物凄くゲームセンターで一所懸命練習してるのも、学校終わった後部活で練習してるのも、僕にはあんまり変わんないと思って。そういう子達の活躍の場を作っていきたいと思いました。
それで2003年に、日本全国のゲームセンターで予選をやってから、代表同士の全国大会を実施する「闘劇」をみんなで立ち上げて。全国大会があれば、みんなが評価される場所を作ってあげられるなと思ったのが、きっかけですね。
松井 その前に、アーケード雑誌主催のゲーム大会で言えば、ゲーメスト杯がありましたよね。ああいう形式ではなく、闘劇のような形でやろうかなって思ったのはいつ頃だったんですか?
松田 ゲーメスト杯って抽選だったんですよね。だから、結局凄い強い子がみんな抽選で出らないにも関わらず「全国大会」という名前で行われて、「全国優勝者」という人が誕生してっていう風になってたんで。
松井 「あいつより強いヤツいるのにね」みたいな。
松田 そうですね、お店にいる強いお客さんでも「今年も外れちゃいました」とかそんな話をいっぱい聞いてるうちに、やっぱりみんなに公平平等な地区予選大会があって、決勝っていう流れの大会がすごい平等だし公平だなと。
松井 いわゆるオープントーナメントの形式ですね。
松田 そうですね。でも、もちろん、そんな流れを作るのは僕一人じゃ無理なので「そういうこと考えてるヤツいねーかな」と思って探してたら、5人くらいいたのでやろう! と決めました。
松井 でも、いくら格闘ゲームがアーケードで人気だとはいえ、いわゆる個人経営クラスのゲームセンターのオーナーや店長さんがそこまでの流れを作るのって結構大変だったんじゃないですか?
松田 超大変でした。店長さんとかでやる気ある人はいっぱいいたんですけど、オーナーじゃないとどうしても無理なことってあるじゃないですか。例えばお店のゲーム機を全部持っていくとか。僕も最初は会社員でしたけど、オーナーを説き伏せて、オーナーの権利みたいなことができるようになって。他の人達も、割とそういう人達が何人も集まってきてくれて、できるようになったって感じですね。だから大変といえば超大変でした。
松井 当時は、いまよりもまだたくさんメーカー直営やチェーン展開をしているアーケード店舗がありました。ああいったお店に勤めている方たちっていわゆる個人事業主、というよりは被雇用者という立場の方が多いですから、そういったムーブメントを起こすのもやはり、大変だったんじゃないでしょうか。
松田 やっぱり温度差がものすごくありました。メーカーの直営店舗って、そもそも立地がいいところだったり、お客さんも勝手に来てくれるし、っていうところでそれほど必死に「全国大会をやろう!一緒に盛り上げましょう」みたいな人はものすごく少なかったですね……。そのわりには、僕らが闘劇を始めるとそういうお店に限って「闘劇前夜祭」なんて勝手にやり始めたりして(笑)。
松井 いっちょかみの人たちはいつの世もいるもんなんですね……。ちなみに、ここ数年、esports、プロゲーマーといったムーブメントが起きてきているわけですが、ゲームセンターとしてはどのような盛り上がり方になっているんでしょうか。
松田 うーん、やっぱり闘劇があったころは、本当にみんな元気で、メーカー直営ロケも個人経営店も中小も足並みを揃えて、「みんな頑張って予選から盛り上げよう!」って空気はあったんですけど……なくなった後はもう衰退の一途です。みんなどんどんいなくなっちゃうというか。僕の仲間も全員廃業しまして、僕以外は誰もいない感じになっちゃいました。
松井 他の方々が廃業されていく中で、松田さんがアーケードに残れた理由はなんだったんでしょうか?
松田 2012年に闘劇が終わっても、僕はずっとアーケードの格闘ゲームで全国大会をやり続けていたんです。その継続の結果、イベントの運営、つまりはゲームセンター経営とは別の仕事が増えてきて。それが本当に大きかった。だから、もしゲームセンター経営だけだったら、もう無理だったんじゃないかなと思います。
松井 自分がいま38歳なので、ゲームセンターがストリートファイターIIあたりで格闘ゲームブームがきてからのアーケードを、なんだかんだでつかず離れず見ていると、消費税のアップだったり、ネットワーク化にともなってのコスト増大だったり、いろいろあったとは思うんです。その中で、なんかこう……もっと当事者たちが自分たち以外の人たちのことを考えられるといいんじゃないかな、と思ったりもします。
「なんで俺はここでゲームができるんだろう」とか、「なぜアーケードゲーム機を作ることができるんだろう」とか……そこら辺もう少しみんなが、少しだけでも意識できると、何かが変わってくるのかなって気がするんです。
プレイヤーができることなんて、それこそプレイが終わったら椅子を戻すとか、灰皿はなるべく投げないとか、そんなところからでもいいんじゃないかな、と思いますけれど。お互いにサービスを受ける、提供することが、当たり前と思い続けてると、場所がどんどん減っていくよねっていうのは少し思いますね。
松田 いろんな理由はあったと思うんですけど……やっぱり震災であったり、消費税であったり、スマホゲームであったり、いろんな物があって、どんどん場所が減ってきちゃってるんです。でも、なんか抗いたいというか、全盛期を見てきた残党ってすごい数少ないんで、シーンを知ってる人間って数えるくらいしかいない。昔のことをちゃんとメディアに書ける人って、ウメハラもそうだし、ハメコ。もそうだし、ブンブン丸もそうだし、今でもコメンテーターやってくれたり、雑誌作ったりとかしてる人はいるけど、やっぱりゲームセンター側の人間で声を上げられる人ってほとんどいなくなっちゃいましたねぇ。
松井 レトロメイン、新作メイン、そしてこれからはVRの展開も含めて、ゲームセンターそれぞれが生存戦略を模索している中で、ビデオゲームメインのゲームセンターを始めてからもうそろそろ30年になる「ゲームニュートン」ですが、松田さんはこれからどういう風にしていこう、とお考えですか?
松田 もう、「ビデオゲームメインのゲーセン最後の一店舗」になるまでやりたい。このスタイルが一番僕がガキの頃から育ててもらったスタイルだし、自分もそういうお客さん達とずっと一緒に歩んできたんでこのスタイルのまま。
「ゲームセンターは本当にオワコン」なんて言われていますけど、どういう結果になっても、やっぱり最後まで見届けたいな。それが僕の義務だと思ってます。
アーケードゲームの大会と、コンソールゲームの 大会を支えてきた二人のスタイル
松井 大会についてお伺いしていきます。いま関わってらっしゃる大会は。
松田 もう凄いたくさんありますね。鉄拳、バーチャ、ストIIX、ストIII、餓狼とか月華の剣士シリーズみたいな昔のSNKゲームの大会もやってます。100~200人のコミュニティのゲームも含めて、毎月何かやってるような感じではありますね。ユーザーコミュニティのやつだけで年間10本くらい……受託ものも合わせたら多分年間50くらいやってると思いますね。
松井 とんでもない数になってますよね……。しかも毎年増え続けていませんか?
松田 やっぱりコミュニティからお願いされると断れない体質なんで……トントンになるまでマネタイズを頑張って、参加費とかギリギリまで検討して決めて、ちょっと足出るくらいだと頑張っちゃいますね。
松井 松田さんはコミュニティの人たちを「本当に好き」なんですね。正直なところ、コミュニティイベントって企業イベントほどのお金が動かないわけですし……。
松田 そうですね、でも全部が全部こっちに丸投げってわけでもないんですよ。
ちゃんと各コミュニティにはある程度、陣頭指揮をとってくれる子がいて、できないことをこっちでやる。イベント会場を借りたり、協賛金を集めてきたり、それこそメーカーさんに許諾を頂いたり、個人だと難しい部分とかを全部僕が引き受けて。表の顔になるような部分はちゃんと他に人がいるんですよ。例えばバーチャファイターだったら山岸さんがいて、鉄拳だったらまさかり仁がいて、北斗の拳だったらK.I君がいたり、ストⅡだったらMつん(まっつん)、ヴァンパイアならさかもと君と。
各コミュニティにそれぞれ旗を振る人がいて、そのほかのちょっとめんどくさい部分を全部やってあげたりとかしているって感じなので、完全に僕一人で全部やってるってわけではないですね。
松井 僕と松田さんの一番の違いって、松田さんは常にいいコミュニティのあるゲームでイベントを続けてらっしゃる、一方で僕のやり方っていうのは、企業の依頼を受けて、パブリッシャーさんとプレイヤーさんとデベロッパーさんと、作る人と売る人と遊ぶ人っていうののこう、最大幸福……みたいなものを探している感じなんです。パブリッシャーさんからすると、絶対にその大会タイトルは新作であってほしい。プレイヤーさんは、大会が存在することが嬉しい。デベロッパーさんっていうのは、自分たちの作ったゲームを極限までやりこんだプレイが見られる。といいつつも、当然パブリッシャーがデベロッパーに発注しないとゲームが作られないことが多いので。まぁその辺はちょっとアレかもしれませんが。
松田 なるほど。基本は企業からの受託でイベントをやっているということですね。タイトルありきの方が難しそうだけどね。こっちはコミュニティがすでにあるものに対してイベントを作ってるので。
松井 僕がやってる大会って、まずは受託案件がメインで、誰かがやってほしいっていうのに対して「じゃあこういう形でどうですか」っていうのでやっていく。そういう意味では松田さんがやってるようなボトムアップスタイル、コミュニティがそもそも欲していて、そこからスタートするものではないっていう意味では、正直あんまりピュアなモノじゃないんです。まずは「やる」っていうのがありきで始まる話が多いので、その中でどういう風にやったらそのタイトルのプレイヤーが喜んでくれるかっていう思想なんです。
Red Bull Tower of Prideとアーケードカルチャー
松井 その中で今回は、ストリートファイターⅤを「Red Bull Tower of Pride」で選んで……。アレは独特なトーナメントが話題になっていますが、実は別途プレイエリアを用意していて、200人くらい入れる所にプレイステーションをずらっと並べて、ストリートファイターVを1日中遊んでもらえるようにしています。同じゲームを遊んでいる人と「フェイスtoフェイスで遊ぶのって楽しいよね」みたいなのをやってみようと思っています。そういえば、松田さんと僕の大会のやってることで共通してるのは、実は賞金をほぼ出してない、ってところにあるのかもしれないですね。
松田 メーカーさんの仕事では何度かやったことありますが、自分達のイベントは絶対ないですね。
松井 今回のRed Bull Tower of Prideも賞金一切なし、持ってくるのはプライドだけ持ってきてねっていうスタイルにしています。
この大会の企画も「そもそも僕らってなんの為にゲームやってるんだろう」みたいな所から始まって。もちろんお金って貰えたら嬉しいけど、初めてゲーセンで100円とか50円入れた時って、「これで金を稼ごう」ではないはずなんですよね。で、初めて、対戦して、誰かに勝ったり負けたりして、それでもまたやって……「俺はお前より強えんだ」みたいな、根っこってそこなんじゃないかなって僕は思っていて。
松田 そこは結構分かります。最近はゲームセンターのプレイヤーたちがプロにバンバンなったりしていますけれど、自分たちが育った環境とかは忘れないで欲しいなっていうのはありますね。
松井 「賞金が出ないからあの大会には行かない」的なことが公言され始めると、ちょっと寂しいなって。
松田 昔ちょっとだけありましたよね。あの時に「何言ってんだこいつ」って僕はちょっと思っちゃいましたけど(笑)。
松井 僕たちの大会にもあったんですよ。「賞金でないんですか?じゃあ出ません」、「そんな大会リスクしかないから」とか。出るのはプレイヤーだし、自分のプロデュースするのは自分ですから、それはそれでそうだねって思いますけれど。今、ゲームに対しての情熱を、自分の人生にフルでぶっ込むっていうやり方も、それはそれでリスペクトしつつ、趣味の延長線上にある幸せの形っていうのをちょっと模索したいなとも思っています。総プレイヤーが日本に二人しかいないゲームでも、めっちゃいい試合が観られるんじゃないかとか……。
松田 僕らは賞金を出すどころかエントリーフィー取ってますからね、お客さんから(笑)。
松井 Red Bull Tower of Prideのゲートキーパーの誰々を倒すって指名してこの大会に参加できるシステム、あの8つのゲートって僕にとってはゲーセンなんですよ。あの店にあいつ倒しに行こうぜっていう遠征カルチャー的な。
松田 バーチャとか鉄拳はそれが深くありましたね。特に、鉄拳はオンラインにつながる前はいろんな子がいろんなゲーセンに行っていましたね。
松井 それから、ちょっと少年マンガ的な展開で、「あいつを倒すなら俺を倒してから行ってもらおうか」っていうのもやってみたかった。チャレンジの中でゲートキーパーの入れ替え戦があって、代表としてトーナメントに上がっていくのって、いわばそのゲーセン代表プレイヤーになって、そのゲーセンで切磋琢磨してた人のなかから一人が全国大会に出るみたいな……あいつ、俺を倒していったんだから頑張って欲しいなっていう。
第一階層がコイン争奪のバトルロワイヤル、第2階層が1on1のゲートキーパーマッチ、最後がファイルトーナメントになっていますが、でも実はこれ、バラしたらレッドブルさんに怒られるかもしれないですけど……カツアゲ、タイマン、全国制覇っていうゲーセンヤンキー的裏設定もあったりします(笑)。
松田 面白いですね。結構考えられてる(笑)。いまのストリートファイターVのプロツアーはちょっと日本の選手にとっては厳しい条件ですよね。それに、ゲームの環境もあって、昔だったら気軽にゲームセンターに行くだけで対戦できた人たちと、なかなかプレイもできないですし。
松井 そうなんですよね。だから、なるべくたくさん試合ができるようにいろいろと考えてみました。ただ、本当に普通のトーナメントを希望してる人からすると「いいから賞金出せよ」、「こんなタワー作る金あるならもっと金くれよ」って言われる所ではあると思いつつ……。カプコンプロツアーに参戦しているプレイヤーも、なかなかタフなスケジュールで海外回っているわけですし、ちょっと息抜きになるといいかな、と。
“オフライン”のカルチャーだからこそ体験できるもの
松井 松田さんのイベントに、実は僕の会社のスタッフがお手伝いをさせてもらったことがあるんです。彼らも家庭用ゲームから、オンラインゲームからこのシーンに入ってきているので、アーケードの熱量にあてられて……「向かいに人がいるのに煽るのって凄いっすね」みたいな(笑)。
松田 あれはもうオフライン特有の文化。体育会系ですからね、3D対戦格闘ゲームは特に。でもあれがいいと思います。あれはやっぱり配信だとあんまり伝わらないかな……現場で見ている人の異様な熱気は。
松井 オフラインといえば、2018年はアーケードゲーマーからすると大注目のEVO Japanがあるわけですが、松田さんの中ではどんなことをやろうとされていますか?
松田 EVO Japanはちょうど今、サイドトーナメントの応募がすごいたくさん来ていて、それの審査、会場のキャパシティ含め、どこまで受け入れられるかの調整をしています。そっちもなかなか面白いタイトルの応募もいっぱいあって。後はもう年間、毎回絶対やらなきゃいけないイベントっていうのがもう決まってるので、合間に頂いた仕事をこなしていくって感じですね。スマホゲームの大会も、最近はやらせてもらっています。
松井 そういえば、スマホゲームがメインで、ゲームセンターに来たことのない子達に「ゲームセンターの良さ」ってどう伝えればいいんでしょうね。ゲーセンはヤニ臭いし、一回ゲームするたびに金払わないといけない、多分昔僕らが中学生の時に、親や学校から「ゲームセンターに行っちゃいけません」って言われてたのとはまた違う理由で彼らは来ないと思うんですよ。
松田 これは教えることができないというか……少なくなっちゃったじゃないですか、そもそもそのシーンを知っている人も、場所も。だから、もうわかってる人が受け継いでいくしかなくて。
「なんで負けるたびに50円玉、100円玉無くなっちゃうの? 5000円でソフト買えば一生遊べんのに、なんで毎回100円玉入れんの?」って言う人いるんですよ。ゲームをまったくやったことない人が。
僕はもう、そういう子と話す時は「かわいそうだな~」と思って終わりですね。あのドキドキ感をどうやって教えようかなっていうよりは、かわいそうだなって思っちゃいますね。
松井 ゲーセンのゲームで勝っても何の足しにもならないけど、そこにリスペクトとか、その場にいる人たちからの賞賛、羨望っていう、定量化できないものが得られる、「この中で一番強いんだ俺は」みたいなものを求める、そういうのなんですよね、きっと。
松田 だからやっぱり、最終的には全国大会みたいなのは必要なんですよ。ゲームセンターと連動しているというか、一心同体というか、やっぱり練習している人達の披露の場を作ってあげなければいけないから。だから、格闘ゲームに限らず、いろんなゲームの全国大会をやっていきたい。
松井 今、『New みんなのGOLF』の大会で、日本中をまわっているんですけれど、北海道、福岡、大阪と、本当に年齢層が広くて。「すごくいいな」って思ったんです。Red Bull 5Gでも『みんなのGOLF 6』を使わせてもらったときに、本当に老若男女問わず、っていう感じがあって「ああ、こういうシーンってとてもいいなぁ」って。
もちろん、若いときにしかできないゲーム、強くなれないゲームっていうのもあって、それはそれでもちろんいいわけで、すけれど、「誰もがみんなガチで楽しめるゲーム」っていうのが一個出てくるっていうのも、それはそれですごい面白い。
松田 それこそやっぱ音ゲーとかもそうです。格ゲーとは全然違うジャンルだし、年齢層も若い人から年配の人までやってるし。そういったゲームが大会を通じてどんどんクロスオーバーしていけば、「若者もまたゲーセンに」とまではいかないですけど、ゲームの世界に呼びこむことはできるんじゃないかなって思います。
松井 松田さん、基本的にポジティブですよね。たとえば「風営法のせいでこれができない」とか、ああいう世の中のシステムに対して、あるいは現状に対しての不満をほとんど口に出さない。
松田 僕はできないこと考えるのがキライなんで、僕だったらできることしか考えないようにしているんですよね。無理なもんは無理だから、法律とかも誰かが変えてくれんだろうって待ってるわけにもいかないんで、今できる最大限のことをやって、それでいいかなって。いま、esportsに関する団体が統合して上手くいくという流れになったら、いろんな仕事とかが増えそうだなっていうのもありますし(笑)。
松田店長がやってみたいこと
松井 今、いろいろなイベントをやられている中で、「松田さんの下で働きたいっす!」みたいな子は結構いるんじゃないですか?
松田 そうですね……。ただ、僕がやってるイベントチームって、ほとんどゲームセンターの店長や店員、元店員など50人くらいで構成されているんです。闘劇の時に作らせてもらったチームメンバーで今もいろんなイベントをやっています。本業をしっかり月曜日から金曜日までやっていて、土日に僕がイベントやる時一緒に集まる形です。ユーザーイベントもそのメンバーで、大きいメーカーさんの案件なんかもそのメンバーでやれてるんで。なかなか新人を育てる余裕はないんですよね……。
松井 現役メジャーリーガーで構成された草野球チームみたいな感じですね。
松田 多分そんな感じじゃないですかね。どこよりもゲームに精通してると思うので、派遣でスタッフにいろんな場所に行ってもらった時はクライアントからはとても喜ばれます。ちゃんとイベントを回してもらえるし、 筐体の修理も実況も出来ちゃうのね。みたいな。彼らのおかげで今のシーンが守られてるのかなって思います。
松井 唐突ですが、この25年間で、この仕事を辞めようって思ったことあります?
松田 一回もないですね。でも、入院とかしちゃったらどうしようとかはあります。特に大型イベントの本番前とかは凄いありますね。2012年の5月くらいに僕一回ヘルニアになっちゃって。それで8月に本番で闘劇があって。ああいうのが今あったらやべぇなっていうのはあります。そういう変な心配はありますね、今は1年間やることがビッシリなので。
松井 最近はイベントやりたいぞって勢いがいい若い子たちが出てきていますし。そういう子たちにまた上手くバトンを渡していくのも仕事の一つになりそうですね。
松田 そうですよね、だから僕にしかできないことっていうのはなるべく減らして、うちのスタッフにも決定権を持たせて、「ゲーム機とか持って行きたかったら持ってっていいよ」、「トラックはこの業者に頼めや」とか、それで全部できるようになればそれが一番いいんですけどね。まだちょっとそこまではいってないんで。
松井 早いとこ松田さんにゲーミング天下りの名誉ポストを用意するべきですね(笑)。ちなみに、予算や実現性は置いといて、アーケードシーンでやってみたいことってありますか? 例えばゲームニュートンを大阪でもやってみたい、とか。
松田 全国大会……大昔のお話ですけれど、「全国大会とか言って東京でばかりやってんじゃねーよ」みたいなプレイヤーがいっぱいいたんですよ。特に関西方面の人が、「全国大会名乗んなよ、俺ら出ねーんだからよ」みたいな。やっぱり向こうでも年一で大きいのとかあってもいいかなって思っています。あとは、宿泊交通費を全部免除してあげる大会をやりたいです。
松井 日本中の熱い人達を呼んで、日本一を決めたい?
松田 そうですね。闘劇でもその案は何回か出たんですけど、ものすごい金額になっちゃうんで。300人とか招待ですからね……。でも、お金がいっぱいあるなら、全国大会で渡航費全額免除をやってみたい……。
松井 基本的に松田さんのやりたいことって、自分の欲望をかなえるというよりは、ゲーマーみんなのためにやりたいことがほとんどですよね。
松田 昔は、できないことばっかりだったのが、ちょっとずつできるようになってきた、例えばですけど、スタッフの弁当を、毎日2食出してあげられるとか……。今までだったら「3000円のカプセルホテルに泊まってくれ」って頭下げてた奴らに、1万円のホテルで寝てもらえるとか。細かいことなんですけど、そういうマネタイズが出来るようになってきて、やっぱ嬉しいですね。
松井 松田さんに、多くの格闘ゲーマーが惚れこんでいる理由の一端がわかったような気がします。くれぐれもご自愛いただきながら、これからも最高のイベントをやりまくってください!! 今日はありがとうございました。
■Information
松井悠氏がプロデュースする『ストリートファイターV』の大会イベント「Red Bull Tower of Pride」が11月23日に開催される。大会の模様はTwitchで10時より全試合の模様をライブ配信する。ファイナルトーナメントは19時から開始予定。視聴はこちら>>
松田泰明氏が主催する『ストリートファイターIII 3rd STRIKE』の大規模5on5大会「第16回Cooperation Cup」が1月7日に、前夜祭である同キャラ5on5大会「2018 pre-Cooperation Cup」が1月6日に開催される。大会の模様はTwitchでライブ配信予定。視聴はこちら>>