オランダGPでの初表彰台をはじめ、ビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズで素晴らしいF1デビューシーズンを送ったアイザック・ハジャーは、2026シーズンからオラクル・レッドブル・レーシングへ移籍し、マックス・フェルスタッペンとコンビを組むことになった。
オラクル・レッドブル・レーシングとビザ・キャッシュアップ・レーシングブルズを所有しているレッドブルはF1合計4シートを保持しているため、2チーム間でのドライバー交代を積極的に行っており、今回のハジャー昇格もその一環となる。
レギュレーションとマシンの大幅な変更が行われ、レッドブル・フォード・パワートレインズによるRB22がデビューを飾る2026シーズンは、新時代の幕開けとなるが、ハジャーはこのタイミングでフレッシュなスタートを切ることになる。
01
フェルスタッペンの歴代チームメイト
マックス・フェルスタッペンがこれまでコンビを組んできたドライバーたちをあらためて紹介しよう!
02
角田裕毅
- チーム:レッドブル・レーシング
- レース数:21(すべてフェルスタッペンとのコンビ)
- 最高グリッド:6
- 最高順位:6
- 獲得ポイント:33
角田裕毅はイタリア・ファエンツァに拠点を置くレーシングブルズ(およびスクーデリア・アルファタウリ)での4シーズンを通じて大きな成長を遂げた。
9歳からカートを始めた角田は、ホンダから高評価を得てHonda Formula Dream Projectへ参加してF4日本選手権連覇を達成すると、レッドブル・ジュニアチームに引き抜かれ、F3とF2を戦った。
2020シーズン、F2で優勝3回・表彰台7回を記録して総合2位でフィニッシュした角田はF1へ昇格し、2021シーズンにスクーデリア・アルファタウリからF1デビューを飾ると、同シーズンのアブダビGPでキャリアハイとなる4位フィニッシュを記録した。
2025シーズンにはオーストラリアGP予選5位、中国GPスプリント6位を記録したことが評価されて第3戦からレッドブル・レーシングへ昇格。しかしながら、昇格後は本領を発揮できず、2026シーズンはテスト / リザーブドライバーとしてチームに帯同することになった。
直接対決
角田裕毅
マックス・フェルスタッペン
予選
1
20
レース
1
20
ポール
0
7
表彰台
0
14
優勝
0
7
03
リアム・ローソン
- チーム:レッドブル・レーシング
- レース数:2(すべてフェルスタッペンとのコンビ)
- 最高グリッド:19
- 最高順位:12
- 獲得ポイント:0
ニュージーランド出身のリアム・ローソンは、2024シーズン終盤のレーシングブルズでの活躍が評価されて、2025シーズン開幕からフェルスタッペンのパートナーを務めることになったが、開幕2戦で新マシンRB21の扱いに苦しみ、角田裕毅と入れ替わってレーシングブルズへ戻った。
元チームプリンシパルのクリスチャン・ホーナーはこの決定について次のように説明した。「リアムが開幕2戦でRB21の扱いに苦しんでいるのを見るのは辛かった。結果的に、チームとして早期交代を決定した。これは100%スポーツ上の決定だ」
難しいスタートを切ったものの、ローソンには素晴らしい実力が備わっている。2024シーズン終盤にダニエル・リカルドの後任としてF1デビューを飾ったローソンは、同シーズンのレッドブル・レーシングでのワンオフ・テストで持ち前のスピードを発揮し、セルジオ・ペレスの後任として自分を昇格させることをチームに決定させた。
しかし、出走わずか11戦でレッドブル・レーシングに昇格したローソンは、ロバート・ドーンボス以来の「最も経験が少ないレッドブル・レーシング正ドライバー」だった。
直接対決
リアム・ローソン
マックス・フェルスタッペン
予選
0
2
レース
0
2
04
カルロス・サインツ
- チーム:スクーデリア・トロ・ロッソ
- レース数:56(フェルスタッペンとは23)
- 最高グリッド:5(1回)
- 最高順位:4(1回)
- 獲得ポイント:112
カルロス・サインツとマックス・フェルスタッペンのライバル関係は最初から熾烈だった。F1 2015シーズンのオーストラリアGPでスクーデリア・トロ・ロッソから揃ってF1デビューを飾った2人は、お互いがレッドブル・レーシングのシートを狙っていることを理解していた。
そして同時に、そのシートに座っていたダニール・クビアトは、ダニエル・リカルドと一緒にレッドブル・レーシングのガレージに残るためには結果を出さなければならないことを理解していた。この4人全員がレッドブル・ジュニアチーム出身であり、お互いを熟知していた。
このシーズンのサインツとフェルスタッペンは、それぞれ49ポイント(4位2回を含む)、18ポイントをファエンツァに持ち帰って貢献した。そして、この成績を踏まえ、2016シーズンのロシアGPでクビアトが苦戦したあと、フェルスタッペンがスペインGPからレッドブル・レーシングに昇格し、さらには昇格デビュー戦優勝という快挙を成し遂げたのだった。
直接対決
カルロス・サインツ
マックス・フェルスタッペン
予選
11
12
レース
9
12
05
ダニエル・リカルド
- チーム:スクーデリア・トロ・ロッソ
- レース数:39
- 最高グリッド:5(1回)
- 最高順位:7(2回)
- 獲得ポイント:30
- チーム:レッドブル・レーシング
- 出走数:100(フェルスタッペンとは58)
- 最高グリッド:1(3回)
- 最高順位:1(7回)
- 獲得ポイント:956
明るい性格で人気の高いダニエル・リカルドは、フェルスタッペンのライバルというよりは兄的な存在で、ティーンエイジャーだったフェルスタッペンをF1に慣れさせる役割を担った。
2016シーズンから2018シーズンまで組んだ2人はお互いに刺激を与え合った。リカルドはフェルスタッペンの歴代チームメイトの中で唯一フェルスタッペンを総合順位で上回ったことがあるドライバーで、2016シーズンには総合3位に入っている。
しかし、2018シーズンに入ると、フェルスタッペンが大きくレベルアップしてリカルドからリードを奪うようになり、シーズンで表彰台11回を獲得し、2回のリカルドを大きく上回った。
残留すればナンバー2に降格する可能性があることを理解したリカルドは、同シーズン終了後にサインツの後任としてルノーへ移籍。マクラーレンを経て2023シーズンにスクーデリア・アルファタウリへ移籍し、久々にレッドブル・ファミリーへ戻った。
直接対決
ダニエル・リカルド
マックス・フェルスタッペン
予選
25
33
レース
24
32
ポール
3
0
表彰台
19
22
優勝
4
5
06
ピエール・ガスリー
- チーム:トロ・ロッソ / アルファタウリ
- レース数:96
- 最高グリッド:2(1回)
- 最高順位:1(1回)
- 獲得ポイント:268
- チーム:レッドブル・レーシング
- レース数:12
- 最高グリッド:4(1回)
- 最高順位:4位(1回)
- 獲得ポイント:64
ピエール・ガスリーはレッドブル・ジュニアチーム時代に下位カテゴリーで同チーム最高成績を収めて好印象を残し、F1昇格の権利を手にすると、トロ・ロッソでもそのスピードを遺憾なく発揮した。
しかし、2019シーズンにレッドブル・レーシングへ昇格したあとは一貫してポイントを稼ぐことが求められるようになり、与えられたRB15のコントロールに苦しむようになった。
豪放な性格と精緻なスキルをバランス良く持ち合わせているリカルドの後任を務めるのは簡単ではなく、またメルセデスが両タイトルで独走していたため、レッドブル・レーシングは上位に食い込んで大量ポイントを獲得できるドライバーをフェルスタッペンと組ませる必要があった。
結果、レッドブル・レーシングはガスリーがチームに順応するまで待つことを諦め、第12戦終了後にガスリーをファエンツァへ戻すことを決定。
このようなシーズン途中での降格は、多くのドライバーに悪影響を与える可能性が高いが、このポジティブなフランス人ドライバーは自分を見直すチャンスとして捉え、自分の持ち味を再発見すると、シーズン後半戦のブラジルGPではフェルスタッペンに次ぐ2位フィニッシュを記録した。
そして翌2020シーズンのイタリアGPでは見事にF1初優勝を記録し、ファエンツァに2回目のグランプリ優勝を届けた(スクーデリア・アルファタウリ体制では唯一)。こうして、再び自分の才能を世界に示したガスリーは、2023シーズンからアルピーヌに移籍して活躍を続けている。
直接対決
ピエール・ガスリー
マックス・フェルスタッペン
予選
1
11
レース
1
11
ポール
0
1
表彰台
0
5
優勝
0
2
07
アレックス・アルボン
- チーム:スクーデリア・トロ・ロッソ
- レース数:12
- 最高グリッド:9(1回)
- 最高順位:6(1回)
- 獲得ポイント:16
- チーム:レッドブル・レーシング
- レース数:26
- 最高グリッド:4(4回)
- 最高順位:3位(2回)
- 獲得ポイント:197
アレックス・アルボンとマックス・フェルスタッペンはカート時代からお互いを知る旧知の仲だ。2010年のKF3ワールドカップでは、アルボンがフェルスタッペンを上回った(ガスリーが4位)が、WSKユーロシリーズではフェルスタッペンがアルボンを上回り、WSKワールドシリーズも制している。
アルボンは2019シーズンにレッドブル・ジュニアチームからF1(スクーデリア・トロ・ロッソ)へ昇格して1954シーズンのプリンス・ビラ以来となるタイ国籍F1ドライバーになると、第12戦終了後にガスリーの後任としてレッドブル・レーシングへ昇格。ハードワークと謙虚な性格で知られるアルボンは、定期的にポイントを獲得してフェルスタッペンに貢献し続けた。
問題があったとするなら、それは表彰台の回数が少なかったことで、アルボンはレッドブル・レーシング時代の26戦でわずか2回しか立つことができず、右肩上がりで成長を続けるフェルスタッペンとの差は広がる一方となってしまった。
結果、レッドブル・レーシングはワンツーフィニッシュや優勝でフェルスタッペンのタイトル獲得をアシストできるセカンドドライバーを探すようになり、2021シーズンにセルジオ・ペレスを加入させた。アルボンはリザーブ兼テストドライバーとしてチームに残留してシミュレーションで重要な仕事をこなし、マシン開発と戦略立案の両面でフェルスタッペンの初タイトル獲得をアシストした。
その後も角田裕毅のメンターを担ったり、DTMでリアム・ローソンと組んだりと舞台裏での貢献を続けたアルボンは、2022シーズンからウィリアムズのドライバーとしてサーキットへ復帰した。
直接対決
アレックス・アルボン
マックス・フェルスタッペン
予選
1
25
レース
9
17
ポール
0
2
表彰台
2
15
優勝
0
3
08
セルジオ・ペレス
- チーム:レッドブル・レーシング
- レース数:90
- 最高グリッド:1(3回)
- 最高順位:1(5回)
- 獲得ポイント:932
2021シーズンを通じて若手ドライバー2人をフェルスタッペンのパートナー候補としてテストしたレッドブル・レーシングは新しいアプローチを採用し、ベテランドライバーを加入させることにした。
そして選ばれたのが、F1ですでに10シーズンを過ごしていたセルジオ・ペレスで、彼は優勝1回を含む表彰台11回と、チームリーダーとしてフォース・インディアをレーシング・ポイント(現アストンマーティン)へ導いた実績を持ち合わせていた。
期待に応えたペレスは、レッドブル・レーシングでの最初の3シーズンで総合4位・3位・2位を記録。2023シーズンにはF1史上最高・最強の成績を収めたチームを強力にバックアップした。
しかし、4年目の2024シーズンはRB20のコントロールに苦しみ総合8位でフィニッシュ。チームがコンストラクターズタイトルを逃す一因となってしまい、フェルスタッペンのチームメイト歴代1位のレース数と成績と共に同シーズン限りで後進に道を譲った。
直接対決
セルジオ・ペレス
マックス・フェルスタッペン
予選
11
79
レース
11
79
ポール
3
47
表彰台
18
53
優勝
5
53
09
フェルスタッペン通算成績(2024シーズン終了時)
- レース数:209
- 最高グリッド:1(40回)
- 最高順位:1(63回)
- チーム:スクーデリア・トロ・ロッソ
- レース数:23
- 最高グリッド:5(1回)
- 最高順位:4(2回)
- チーム:レッドブル・レーシング
- レース数:186
- 最高グリッド:1(40回)
- 最高順位:1(63回)
- ドライバーズタイトル:4
- コンストラクターズタイトル:2
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