一口で自分が飲み込まれてしまうような大きな口を持つ全長8m、体重4tの巨大な魚からわずか数センチの距離を泳ぐとしたら?
恐怖におののくことだろう。チャールズ・フッドはそのような目に何度も遭っている人物だが、本人はまったく気にしていないようだ。これまで100匹以上のウバザメに至近距離で出会ってきた彼に話を聞いた。
ウバザメはジンベエザメに次ぐ魚類で2番目に大きい種です。他のサメとは違い、巨大な歯はありません。口は大きいですが、その口を開けてプランクトンをろ過摂食しています。
数センチまで近づきましたよ。ヒレが動くと、水圧を感じることができました。ですが、怖くはなかったですね。とにかくじっとしていれば、彼らの方が近寄ってきます。
素晴らしかったですが、テクニックが必要でした。水中にいると、15mの距離にウバザメが近づいてきました。その時にウバザメが通るコースに近づいて、じっとしていました。かなり緊張しましたが、攻撃されないことは分かっていました。彼らは私たちの存在を水の動きで察知します。
水中で近づいて初めてその大きさが分かります。1.5mの巨大な口を持つ8mの魚がわずか数メートルまで近寄ってくると、ようやくその大きさが理解できるのです。
ないですね。ギリギリで避けていくのでウバザメの視力はほとんどないと思います。何回もニアミスはありました。その度に感動しますね。
大きな口でプランクトンをろ過摂食する© Charles Hood
確かに口は大きいですが、大きな固体を飲み込むようなことはありませんし、他に対して非常に臆病なので逃げていきます。泳ぎはゆっくりですが、必要があると感じた時は非常に速く泳ぎますし、海面に飛び出す時もあります。
一度も怖いと思ったことはありません。ウバザメは非常におとなしい魚です。ですが、2008年に約400匹のサメに囲まれた時は本当に圧倒されましたね。ありとあらゆる方向にサメのヒレが見えていました。
ないですね。彼らは哺乳類ではなく魚類なので、知能はほとんどありません。以前見かけたサメに出会う時もありますが、サメはこちらを憶えていません。
1980年代にダイビングをしていた時にボートから姿を見かけたのがきっかけです。その時に写真を撮ろうと思い、海に飛び込みました。彼らがプランクトンを補食しているのは知っていたので、問題ないと思ったのです。
ウバザメの撮影を希望するフォトグラファーやTV番組がありますから、ここ10年間は彼らのための撮影旅行をオーガナイズしています。
私が知っている限りありませんが、数人の死者の記録が残っています。ボートに突っ込まれて死者が出たという記録の他、1950年代に海軍がウバザメに爆弾をつけて爆破しようとした時に、そのウバザメが船の下に潜り込んで船ごと爆破してしまったという記録も残っています。
5月半ばから6月までは英国・コーンウォールで見られます。夏期はマン島、北アイルランド、スコットランドなどで見られます。狭いエリアに多く集まるという意味ではコーンウォールがベストですね。
チャールズ・フッドのウェブサイトは こちら(英文記事)。