An image of OG on stage at TI9 in 2019.
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MidOne インタビュー:『Dota 2』OG 2020シーズン新ロースター
東南アジアのスタープレイヤーがTI3連覇を狙う史上最強チームに加入した。慣れ親しんだポジションを離れ、2020シーズンのOGでポジション3を担うマレーシア人プレイヤーを紹介する。
Written by Ben Sillis
読み終わるまで:6分Published on
Yeik “MidOne” Nai Zhengは『Dota 2』プロシーンでレアな存在だ。2015年からプロプレイヤーとしてトップレベルで活躍を続けているが、これまでに所属したのは2チームだけだ。
Fnaticでビッグブレイクを果たしたあと2016年にTeam Secretへ移籍し、The International 9終了後のロースターシャッフルまで同チームに所属していたMidOneはプロキャリアを通じて毎年The Internationalに参戦(4位フィニッシュを2回記録)してきた他、数々のメジャーも制している。
『Dota 2』のトップレベルに残り続けている” という視点から言えば、MidOneほどの安定性を誇るプレイヤーはごく少数だ。
MidOneはスキル的にもレアで、トップレベルのスキルを備えている数少ないプレイヤーのひとりだ。東南アジアサーバー初の8,000MMR超えを記録したプレイヤーとして知られる彼は、Ember SpiritInvokerのようなヒーローをメインに据えている。
また、MidOneが担うロールはゲームに勝利をもたらした直後に完敗を喫してしまうプレイヤーが多いが、MidOneはブレることなくハイレベルなプレイを長時間維持できるユニークな能力を備えている。
同じチームでシーズン最大のトーナメントの頂点を何回も逃したMidOneは、2019シーズン終了後にキャリアに変化を加えることを決意。そしてTeam Secretのアクティブロースターから外れてしばらく自分を見つめ直したMidOneは、同じチームへ戻る代わりにThe International 3連覇を狙うOGSumaiLSaksaと共に加入した。
「Team Secretを離れた理由は疲れ切っていたからさ。チームには4ヶ月休みたいと伝えたんだけど、彼らにとってそれは長すぎた。だから、OGに加入することになったんだ」
Johan “N0tail” Sundsteinから一緒にプレイしないかと誘われたんだ。僕はN0tail、Topias Miikka “Topson” TaavitsainenSébastien “Ceb” Debsと一緒にプレイしたいと思った。また、東南アジアや他のリージョンでOGよりも優れたチームを作ることもできなかった」
Team Secretから離れ、『Dota 2』のトップレベルから一歩引いて自分をリフレッシュしたMidOneは、新チームでプレイを再開させることに興奮を覚えている。新生OGはまだトレーニングを本格化させていないが、新ロースターが世界最強ロースターのひとつになることは確実だ。
N0tailとTopson にTI優勝経験を持つSyed Sumail “SumaiL” HassanとTI準優勝経験を持つMartin “Saksa” Sazdov、そしてMidOneを加えて構成された新ロースターは他の多くのロースターよりもタレント揃いで、元ライバル同士ながらすでに上手く機能している。
「チームメイト全員が素晴らしいし、全員と良好な関係を築けているよ。元ライバルと一緒にプレイすることには何の違和感も感じていない。このロースターが僕がこれまでプレイしてきたロースターより強いのかどうかはまだ何とも言えないけれど、最強ロースターのひとつであることに間違いはないね」
しかし、OGの現ロースターは理論上では少し奇妙に思えるかもしれない。
OGではTI8直前からTopsonがミッドを担当しており、TI連覇の大きな原動力となってきた。一方、SumaiLは世界最強ミッドのひとりとして長年高く評価されており、今も成長を続けている。そして、MidOneもゲーマータグに “ミッド” を使用していることからも分かる通り、ミッドを得意としている。現ロースターにはミッドが3人いるのだ。
そして残念なことに、このワールドクラスのミッドトリオを同時起用することはできない。
そこで、新加入のミッド2人は新しい挑戦を始めているのだが、その結果は上々だ。MidOneは次のように語っている。
「僕はOGではポジション3を担当している。SumaiLがキャリーでTopsonがミッドだ。でも、僕は必要に応じて他のポジションもプレイできる。『Dota 2』はそういうゲームなんだ」
北米と東南アジアのプレイヤーがヨーロッパのプレイヤーを軸にしてきたロースターに加わったことで、OGはこれまで以上にインターナショナルなチームになった。
しかし、多国籍ロースターで3シーズンプレイしてきたMidOneはそこが問題になることはないとしており、むしろ2020シーズンを大きな成功を収める最大のチャンスとして捉えている。
他の多くのトッププレイヤーと同じように、出身リージョンへ戻っていちから自分のチームを作り上げるのはナイスアイディアだ。しかし、それではMidOneがTI制覇最大のチャンスを得ることはできない。彼がTI制覇の夢を叶えるためにはOGに加入する必要があった。
「現時点ではヨーロッパは他のリージョンよりも優れていると思うし、東南アジアでチームを組むというアイディアは非現実的だ。というのも、東南アジアのプレイヤーは経験が足りないから、TI出場には数年かかると思うからさ」
他のすべての『Dota 2』プレイヤーと同じく、MidOneの究極の目標もTIであの “Aegis of Champions” を頭上に掲げることだ。MidOneには惜しいチャンスが2回あった。どちらも最終日まで残りながらグランドファイナルまで残れなかった。
すでにDota 2 Pro Circuit 2019-20シーズンの半分近くが過ぎていることを踏まえると、OGのTI 3連覇は難しくなっているように思えるが、MidOneはTI10出場権を獲得できれば、そこから先は何が起きるか分からないと考えている。
「僕たちがTI10で優勝できるかどうかは分からない。僕が分かっているのは、TI10でキャリアベストのプレイをしたいということだけだ」
新生OGの5人全員がTI10でキャリアベストのプレイをすれば、間違いなく彼らはチャンピオンになれるだろう。新ロースターは他のチームのロースターよりも経験が豊かで、全員が引退後には殿堂入りを果たすはずだ。
もちろん、『Dota 2』シーンではスーパースターチームが機能しない時もある。しかし、このロースターが数ヶ月後にシーズンフィナーレで優勝を逃している姿をイメージするのは難しい。
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