G2 Esportsは『League of Legends』Mid Season Invitational 2019を初めて制したヨーロッパチームとなり、このゲームの歴史にその名を刻みつけた。そして今、リフレッシュした彼らはシーズン中盤戦のLEC Summer Splitに挑んでいる。
MISのグランドファイナルはG2にとっていとも簡単なゲームだったのかもしれない(事実、MSI史上最速のグランドファイナルとなった)が、そこまでの道のりは簡単ではなく、サポートのMihael “Mikyx” Mehleにとっては特に厳しかった。
なぜなら、Spring Splitで手首を痛めてしまっていたことから、後半戦はプレイ時間が減ってしまい、さらにはLEC Spring Playoffへの参加に黄信号が灯るというトラブルに見舞われていたからだ。
現在20歳のMikyxは最悪のシナリオを覚悟していたと振り返る。
「正直に言って、あとどれだけプレイを続けられるのかと心配になりました」
「ああいう怪我はキャリア全体に影響を及ぼします。ですので、状態が悪化しないようにできる限り手を使わないようにしました」
Mikyxの怪我を受けて、G2は控えのサポートHampus “Promisq” Abrahamssonをスクリムの大半で起用するようになり、MSIへの準備としてチームがブートキャンプを張っている間も、Mikyxはヨーロッパと韓国でソロキューを多少プレイするだけに留まっていた。
しかし、Mikyxはそこから華麗なる復活を遂げ、LEC Spring PlayoffとMSIの全ゲームで見事なプレイを披露した。どうやらその大活躍の原因は「他のプレイヤーの観察」にあったようだ。
Mikyxが説明する。
「他のプレイヤーのソロキューをできるだけ観戦するようにしました。彼らのスクリムをチェックしたり、対戦相手の動画を観たりして研究を重ねていきました」
「飽きてしまうので、このようなチェックだけを続けることはできませんでしたが、チームメイトが支えてくれました」
「映画を観たり、食事に行ったりとチームアクティビティも色々あったので助かりました。結局、参加したスクリムは全体の約半分で、残り半分は観ているだけでしたね。韓国で治療などをしなければならなかったからです」
「ですが、幸運なことにMSI開幕の2日前からスクリムに戻れました。スクリムではマッチアップのテストをしました。なぜなら、数ヶ月間ノーチラスをプレイしていなかったからです」
「ノーチラスがやや新しくなっていたので、マッチアップを試しながら、他のプレイヤーに意見を求めました。PerkzからどこがOP(オーバーパワー)なのかを教えてもらったあと対策を練りました。準備はそれくらいでした」
現在、Mikyxの手首からは痛みがほとんど消えている。本人はファンからTwitter経由で教えてもらった本が復帰に役立ったと振り返っている。
「正直に言うと、眉唾ものだと思っていましたが、あの時はわらをも掴みたかったので、騙されたと思ってその本を読んでみることにしました」
「簡単に言えば、ストレスや感情がフィジカルな痛みの原因だという内容なのですが、僕はその内容に自分を当てはめることができました」
「また、特定の性格の人間がそうなりやすいということも書いてあったのですが、その性格にも自分を当てはめることができました」
「また、その本には毎晩・毎朝のルーティンを用意することが解決策になると書いてありました。自分の感情をネガティブに変え、そのあともそのことについて話すチャンスがなかった経験や出来事を振り返るのです」
「このルーティンを繰り返していくと自分が楽になっていきました。なぜそうなるのかは分かりませんが、人間の脳は複雑だという話なんだと思います。今はほとんど痛みを感じていませんし、コンディションはかなり良いですよ」
痛みから解放されたMikyxはMSIのベストサポートに選ばれたが、本人はWorlds 2016でのボトムレーンに比べれば MSI 2019のボトムレーンは物足りなかったと振り返っている。
しかし彼は、この感想には自分の成長が関わっていることも理解している。
「2016年の僕は本当に下手でしたからね。キャリア初のSummer Splitを経てWordsへ進みました。Uzi、Mata、Deft、Meiko、PraY、Gorillaなどと一緒にボトムレーンをプレイしました。彼らからは多くを学びました」
「Gorillaとブートキャンプで話をする機会に恵まれたのですが、彼は本当に賢かったですね」
「当時の僕はマッチアップについてほとんど知識がありませんでしたが、彼がすべてを教えてくれました。ナミやカルマの立ち回りを僕はまったく理解していませんでした」
「今年は、Promisqがプレイしているスクリムを観戦していたのですが、PromisqとPerkzがスマーフしているような感じでした。彼らが対戦したあらゆるボトムレーンは、こちらが何やっているんだと思ってしまうほど酷かったですね」
「スクリムはあくまでスクリムなので、本番になればもっと良いプレイをするのだろうと思っていましたが、とにかくスクリムではどのチームも良いプレイをしているとは思えませんでした」
「Baolanはスクリムより本番の方が良かったと思いますが、それでもセミファイナルでのTeam Liquid戦はスクリムレベルのパフォーマンスだったと思います」
「正直に言えば、CoreJJのプレイにはがっかりしました。MVP候補だと言われていましたし、IG戦ではスマーフしていましたが、僕たちとの対戦では評価ほどのパフォーマンスはできていなかったと思います」
「Mataにもがっかりしましたね。2016年に対戦した彼とUziのコンビは本当に素晴らしかったですが、今振り返るとあれはUziのおかげだったのかもしれません。Mataは腕が落ちたと思います。迫力に欠けていましたね」
「Worldsが楽しみです。Griffinや中国のチームのボトムレーンと対戦してみたいです。僕はUziとMingを高く評価しているので、是非とも対戦したいですね。彼らは本当に素晴らしいプレイヤーだと思います」
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