さらなる栄光を目指し続けるレッドブル・レーシング
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F1

通算勝率で決める歴代最強F1チーム ベスト6

70年以上に渡り幾多のチームが覇権を争ってきたF1の歴史において、最も成功を収めたチームとは? 勝率から歴代トップ6を選出した。
Written by Philipp Briel
読み終わるまで:8分公開日:
F1史上最も成功したチームはどのような基準によって測るべきだろう? コンストラクターズタイトルの通算獲得回数が最も多いチーム? それとも、史上最も多くのドライバーズタイトルを獲得したチーム?
今回はあえて出走回数に対する優勝回数の比率に基づいて歴代トップ6をリストアップすることにした。栄えある歴代1位はいったいどのチームだろうか?
※:通算成績は2022シーズン モナコGP終了時点・FIA公式スタッツサプライヤーMotorsportstats.comに準拠。

第6位:マクラーレン(勝率20.13%)

ニュージーランド出身のブルース・マクラーレンは1963年に自らの名を冠したチームを興すと、当初は北米で開催されていたCan-Amシリーズに参戦した(残念ながら、ブルースは1970年6月にグッドウッドでCan-Am用マシンだったマクラーレンM8Dのテスト走行中に事故死)。
マクラーレンは1966シーズンのモナコGPでF1初参戦を飾った。2022シーズンの参戦チームの中ではフェラーリに次いで2番目に歴史の古いチームとなっている。これまでに獲得してきたドライバーズおよびコンストラクターズタイトルの数で判断するなら、マクラーレンはF1史上最大の成功を収めたチームのひとつだ。
マクラーレンは史上屈指の歴史と実績を誇る名門

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1974シーズン、マクラーレンは初のコンストラクターズタイトルを獲得すると同時にブラジル出身のエマーソン・フィッティパルディがドライバーズチャンピオンにも輝き、歴史的なダブルタイトルを達成。さらに、1984シーズンと1985シーズンにはニキ・ラウダアラン・プロストという伝説のコンビを擁してコンストラクターズタイトルを連覇した。
マクラーレンでドライバーズチャンピオンに輝いたドライバーたちは多く、アイルトン・セナミカ・ハッキネンルイス・ハミルトンといった歴代最高クラスのレジェンドドライバーたちも含まれている。
コンストラクターズタイトル8回ドライバーズタイトル12回を誇るマクラーレンが史上最大の成功を収めたF1チームのひとつであることに疑いの余地はない。しかしながら、出走回数に対する優勝回数で勝率を算出する場合、マクラーレンは20.13%で歴代6位に留まる。
通算成績:出走909戦 183勝
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第5位:フェラーリ(勝率23.14%)

4位はF1世界選手権が始まった1950シーズンから現在まで参戦を続けている唯一のチーム、フェラーリだ。このマラネロの伝統的レーシングチームはF1最古の歴史を持つだけでなく、最も安定した成績を残してきたチームでもある。
2022シーズンの2強:レッドブル・レーシングとフェラーリの出自は対照的

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フェラーリの出走1,037戦・240勝は実に驚異的な数字だ。この数字だけを取り出せば、フェラーリに肩を並べられるチームは他に存在しない。フェラーリの出走回数と優勝回数は歴代最多となっている。
通算成績:出走1,037戦 240勝

第4位:レッドブル・レーシング(勝率24.1%)

2005シーズン開幕戦オーストラリアGPでF1初参戦を記録したレッドブル・レーシングは、参戦からの数シーズンでデビッド・クルサードクリスチャン・クリエンマーク・ウェバーなどと共に土台を築いたあと、2009シーズンに大きなブレイクスルーを果たす。
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そして、ブレイク後の2010シーズンから2013シーズンにかけてセバスチャン・ベッテルとマーク・ウェバーのコンビがコンストラクターズ4連覇をレッドブル・レーシングにもたらすと、以降、チームはすべてのシーズンをコンストラクターズ4位以内で終えてきた。出走332戦・80勝、勝率24.1%は歴代4位の記録となる。
通算成績:出走332戦 80勝
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第3位:ヴァンウォール(勝率32.14%)

これは意外なランクインに思えるかもしれない。英国のレーシングチーム、ヴァンウォールは1954シーズンから1960シーズンにかけてF1へ参戦し、1958シーズンには初代コンストラクターズチャンピオン(当時の名称はインターナショナル・カップ・フォー・F1マニュファクチャラーズ)を獲得した。
サー・スターリング・モスはヴァンウォールで卓越したパフォーマンスを見せた

サー・スターリング・モスはヴァンウォールで卓越したパフォーマンスを見せた

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この1958シーズンにヴァンウォールのステアリングを握っていたのは、“ワールドチャンピオンになれなかった史上最高のドライバー” の異名を持つサー・スターリング・モスとのちにフェラーリでも活躍するトニー・ブルックス(惜しくも2022年5月3日に90歳で逝去)というレジェンドコンビだった。
ヴァンウォールがコンストラクターズタイトルを獲得したのはこの1958シーズン限りだったが、ヴァンウォールは28戦に出走して9勝を記録しており、勝率32.14%を誇っている。
通算成績:出走28戦 9勝

第2位:ブラウンGP(勝率47.06%)

2009シーズンのみF1に参戦したブラウンGPの出走回数は、ヴァンウォールよりもさらに少ない。ブラウンGPは、2008年暮れにホンダ・レーシング・F1チームの撤退を受けて誕生した。
たった1シーズンの参戦であらゆる成功を勝ち取ったブラウンGP

たった1シーズンの参戦であらゆる成功を勝ち取ったブラウンGP

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チーム代表のロス・ブラウンが主導した、メルセデス製エンジン搭載のイノベーティブなブラウンGP BGP 001はレギュレーションの抜け穴を突いたダブルディフューザーを採用して追加ダウンフォースを得ていた。このマシンは経験豊富なドライバーコンビ、ジェンソン・バトンルーベンス・バリチェッロにシーズンを制圧する力を与えることになった。
2009シーズンのブラウンGPは17戦8勝・表彰台15回・ポールポジション5回を記録。ドライバーコンビが稼ぎ出した172ポイントはコンストラクターズタイトル獲得に十分で、バトンはシーズン序盤の7戦で6勝を挙げるスタートダッシュを見せて、キャリア唯一のドライバーズタイトルを獲得した。
しかし、2009シーズンの終わりに大きな変化が訪れる。バトンはチームを離脱し、ルイス・ハミルトンの僚友としてマクラーレン・メルセデスへ移籍。ブラウンGP自体もメルセデスに買収され、メルセデスGPへ改称された。では、その後のチームの顛末は? 今回のランキングの最後の1チームがすべてを説明してくれる…。
通算成績:出走17戦 8勝

第1位:メルセデス(勝率48.44%)

2010シーズンにF1へ復帰して以来、メルセデスはF1史上最強チームであり続けている。
近年熾烈なライバル関係を展開してきたレッドブル・レーシングとメルセデス

近年熾烈なライバル関係を展開してきたレッドブル・レーシングとメルセデス

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2010シーズンの開幕に合わせてミハエル・シューマッハーが現役復帰し、当時急成長中だったニコ・ロズベルグがその僚友となって歴代最高のドイツ人F1ドライバー2人が揃った。
2013シーズンには、2度目の引退を決意したシューマッハーの後任としてルイス・ハミルトンがメルセデスに加入。同シーズンにメルセデスは360ポイントを獲得してコンストラクターズ選手権2位に入った(タイトルを手にしたのは596ポイントを獲得したレッドブル・レーシング)。
しかし、2014シーズンにハイブリッド時代が到来すると、メルセデスによる支配が始まる。2014シーズンからメルセデスはコンストラクターズタイトルを獲り続けており、2021シーズンまで8連覇を達成した。
そして実は、このチームの起源ははるか昔まで遡る。メルセデスは1954シーズンと1955シーズンもF1に参戦しており(当時のエントリー名はダイムラー・ベンツAG)、この2シーズンにかの名手ファン・マヌエル・ファンジオとドライバーズタイトル連覇を成し遂げている。
というわけで、これら2つの参戦期間を合わせれば、メルセデスは出走256戦124勝を挙げている計算になり、勝率48.63%は歴代1位の記録になる。
通算成績:出走256戦 124勝
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