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マルク・マルケスの復活
7回目のMotoGP総合優勝と9回目の世界選手権制覇を目指すマルク・マルケスは、2024シーズンにグレシーニへ移籍したがスムーズに適応し、彼を悩ませ続けていた怪我からの復活を遂げた。シーズンを通じて2023 ドゥカティ・デスモセディチを駆ったマルケスは、総合3位でフィニッシュした。
アラゴンGPではポール獲得、スプリントレース優勝、ファステストラップ獲得の記録したあと決勝でも優勝するという見事な復活劇を見せたマルケスは、2025シーズンからファクトリーチームのドゥカティ・コルセへ移籍することも決めた。
デュカティでは、同じくタイトル奪還を目指すフランチェスコ・バニャイヤとコンビを組むことになる。
02
ホルヘ・マルティンの初戴冠
ホルヘ・マルティンが2024シーズンのMotoGP総合優勝を手にし、史上初のプライベーター所属ワールドチャンピオンになった。ドゥカティのサテライトチームとして参戦していたプラマックでドゥカティ GP24を駆ったこのスペイン出身ライダーは、合計7勝を挙げたスプリントレースでの強さを決勝レースでも活かし、3勝を含む表彰台16回を記録してタイトルを手にした。
このタイトル獲得にはマルティンのメンタルの強さも大きく寄与しており、シーズン最終3連勝で猛追したフランチェスコ・バニャイヤからのプレッシャーをはねのけての戴冠だった。
晴れて初タイトルを手にしたマルティンは、2025シーズンからはアプリリア・レーシングへ移籍し、2023シーズン総合3位の実績を持つマルコ・ベッツェッキとコンビを組むことになる。2025シーズンと2026シーズンのタイトルを狙っているアプリリアにとって、マルティン獲得は大きな後押しになるはずだ。
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その他の移籍
2025シーズンに向けて移籍したライダーの中でマルケスとマルティン以外に注目を集めているのが、2024シーズンにドゥカティ以外のマシンで優勝を記録したただひとりのライダー、マーベリック・ビニャーレスだ。この優勝により、ビニャーレスは近代MotoGPにおいて3つの異なるマニュファクチャラー(スズキ / ヤマハ / アプリリア)で優勝した唯一のライダーにもなった。
ビニャーレスは2025シーズンから4つ目のマニュファクチャラーとなるレッドブルKTMテック3へ移籍してエネア・バスティアニーニとコンビを組む。2024シーズンに揃って優勝を記録しているこのコンビは経験と野心を組み合わせてテック3に勝利をもたらす予定だ。
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レッドブルKTMにアコスタが加入
ブラッド・ビンダーはレッドブルKTMファクトリー・レーシングに残留し、安定した成績を残して長期契約に報いる予定だ。南アフリカ出身のビンダーは、ドゥカティ以外を駆るライダーの中での最高位となる総合5位で2024シーズンをフィニッシュした。
2025シーズンにビンダーとコンビを組むのが、2024シーズンにレッドブル・ガスガスからMotoGPデビューを飾り、日本GPでのポール獲得と表彰台5回を記録したペドロ・アコスタだ。ビンダーとアコスタはファクトリーチームで強烈なコンビネーションを見せるだろう。
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ルーキーライダー
マルク・マルケスが使っていたグレシーニのガレージに入るのがフェルミン・アルデゲルで、2019シーズンのMoto2ワールドチャンピオンのアレックス・マルケスとコンビを組むことになる。現在19歳のアルデゲルは、2023シーズンの最終6戦で優勝4回・表彰台2回を記録してMotoGPのパドックから注目を集めるようになった。
また、2024シーズンのMoto2で総合優勝を記録し、15年ぶりの日本人ワールドチャンピオンとなった小椋藍が、アプリリアのサテライトチーム、トラックハウス・レーシングからMotoGPデビューを飾る。トラックハウスを率いるダビデ・ブリビオは、近年のスズキ復活とバレンティーノ・ロッシのヤマハ黄金時代を支えた人物として知られており、小椋もその薫陶を受けることになる。
LCRホンダに目を向けると、2025シーズンはMotoGP史上初のタイ出身ライダーとなるソムキアット・チャントラが中上貴晶の代わりを務める。
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MotoGP 2025シーズン チーム&ライダー
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注目のコンストラクター
2024シーズンは1戦を除く全戦でドゥカティを駆るライダーが優勝したため、2025シーズンのドゥカティはこの勢いを維持しようとするはずだ。ドゥカティは2024シーズンに6回目のコンストラクターズタイトルを手にし、デスモセディチを採用する3チームが表彰台を独占した。
ドゥカティのコンストラクターズタイトル獲得は素晴らしい功績だが、ワールドチャンピオンとなったホルヘ・マルティンはファクトリーライダーではなく、彼が所属していたプラマックはドゥカティ傘下からヤマハ傘下になることが批判の対象になっていた。しかし、マルケスが2025シーズンのファクトリーライダーになるため、疑念の声は沈静化する可能性が高い。
コンストラクターズ2位は2シーズン連続でKTMが手にした。2025シーズンは2チーム揃って総合順位を上げてステータスを確実にしたいはずだ。KTMの2チームはアプリリアとの厳しい戦いに晒されるはずだが、KTMの優れたエンジンがアドバンテージをもたらすだろう。
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プラマックがヤマハ傘下に
プライベーターのプラマック・レーシングは20年に渡ってドゥカティ傘下だったが、2024シーズンでこの関係が終わり、プラマックは2025シーズンから7シーズンに渡りヤマハ傘下になる。
ヤマハはサテライトチームなしで2シーズンを送っており、この結果、総合順位を4位まで落としたが、出走台数と入手できるパフォーマンスデータが2倍になるため、再び好成績を収められるようになるはずだ。
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2025シーズンの新ルール
MotoGPは2027シーズンに大規模なレギュレーション変更を行うため、2025シーズンはルールがわずかに変更されるだけに留まる。
2025シーズンから2026シーズンにかけてエンジン開発が凍結されるため、トップチームは同一エンジンを使用する必要がある。このエンジン開発の凍結から大きな恩恵を受けるのは、ヤマハとホンダだ。
この日本の2マニュファクチャラーは過去数シーズンをかけててこ入れを進めてきたが、エンジン開発の凍結対象から外れている。注目すべきは、2027シーズンにはかなりの時代遅れになるはずのマシンの改良に彼らがどれだけのリソースを割くつもりがあるのかということだ。
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2027シーズンの変化
2027シーズンのMotoGPはレギュレーションが一新される。主な変更点には、空力(エアロダイナミクス)の減少やライドハイトデバイスの禁止などが挙げられる。エンジンは小型化され、燃料も少なくなるが、最低重量は157kgから153kgに減量される。
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2025シーズン レースカレンダー
2025シーズンは史上最多となる22戦が開催される。チェコGPが2020シーズン以来に復活する他、ハンガリーGPも新サーキットのバラトン・パーク・サーキットで1992シーズン以来の復活を果たす。開幕戦はタイGPで、これまで長年開幕戦を担ってきたカタールGPはラマダンに合わせて第4戦に移動した。
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