美しい自然に囲まれたトレイルに比べると、普段我々が慣れ親しんだ近所の道路はMTBらしいライディングを存分に楽しめる場所ではないかもしれない。とはいえ、トレイルライドの技術向上に役立つ練習は自宅周辺でも比較的簡単にできてしまうのだ。今回紹介する7つの方法を知れば、普段の退屈な通勤通学時間や自宅前の私道もMTBスキルを磨くための場に早変わりするはずだ。
(注意:本記事は決して公道での危険な自転車運転を推奨するものではありません。公共の一般道路でMTBに乗る場合は、トレイルでのライディング時と同様ヘルメットなどの安全装備を正しく身につけ、あくまでも自己と他者の安全を第一に心がけましょう)
1.スキニーズ
バイクを真っすぐに走らせることは一見簡単そうに思えるが、いざ実際にやってみるとそう簡単にはいかないことが分かる。取り立てて特筆すべきことではないかもしれないが、正確な操作はMTBでのライディングにおいてすべての基礎となる。あらためて練習しておいて損はないだろう。
丸太やリッジ(山頂の尾根)などの上でバランスを取りながら走ることをMTBではスキニーズと言うが、その際は走行ラインをコントロール下に置き、平衡を意識しなければならない。スキニーズの練習は、ほぼどこでも可能と言ってもよく、難易度をどれくらいに設定するかも自分自身で決められる。もしスキニーズに初めてトライするなら、平らな路面や歩道の縁石などを真っすぐに走れるように練習してみよう。段差の高いところで練習すれば、より上達すること請け合いだ。
2. トラックスタンド
トラックスタンドは聞き慣れない言葉だと思うが、これは静止状態のバイク上で立ったままの姿勢を維持することを指す。当然ながらMTBトリックのなかでは最も地味な部類に入る技術だ。とはいえ、このテクニックはブレーキ時の姿勢づくりやトラクションの必要なスタート時において必須の基礎技術で、バイク上のバランス感覚を全体的に向上させるために大いに役立つものだ。
ストリートでこのトラックスタンドを練習するには、信号待ちのタイミングこそ最適といえるだろう。とはいえ、人の目がどうしても気になって集中できないという人は、誰にも邪魔されないフラットな場所で練習してみてもよい。腕の力を抜き、重心を中央に意識しながらそのままの姿勢を維持してみよう。一度コツを掴んだら、実際のトレイルでのライディングでその練習の効果を実感できるはずだ。
3. マニュアル
マニュアルは一見ウィリーと非常に似ているが、ウィリーではフロントホイールを上へ浮かせた状態を維持するためにペダルを漕ぐ必要があるのに対し、マニュアルはライダーがバイク後部へ体重移動させることによってフロントを浮かせる技術を指す。マニュアルはトレイルで遭遇するラット(轍)を避けるために非常に効果的な技術で、トレイルの障害物をクリアする時にも役立つ。
このテクニックをしっかりと身につければ、この後に紹介する他のトリック(バニーホップを含む)を学ぶ際に大いに役立つことだろう。根気強く練習を重ねるだけの価値があるものだ。
4. バニーホップ
ダウンヒルトレイルをまたぐ丸太などに遭遇した際、わざわざスピードを落として回避するのはタイムロスに影響するためなるべく避けたい。そんな時に役立つテクニックがバニーホップだ。マニュアルを正しくマスターできていれば、バニーホップができるようになるまではあと一歩の努力で済むはずだ。マニュアルの状態がピークに達した際、重心を上方へ引き上げるようにすれば自然とバイクは空中へ浮く。
道路に引かれた白線は、バニーホップに必要な距離感を掴む基準点として有効だ。飛ぶ対象物の高さを少しずつ上げていけば、それに伴って自信も深まっていくはずだ。落車して怪我をするのが心配なら、公園の芝生の上で練習するのが良いだろう。
5. ウォールライド
壁に向かってのライディングは直観的に想像しにくいので、このウォールライドという技術は非常に捉えにくい。一方、バイクパークやトレイルセンターなどでウォールライド用のセクションが増えている昨今、このテクニックを身につけておけば周囲の注目を集めることができるだろう。ただし、トレイル以外の場所でウォールライドの練習をする際には、自宅私有地の壁で練習すること。決して他人の私有地にある壁などで練習しないように…。
6. ステップス
露出した木の根や岩はMTBトレイルの代表的な障害物で、これらを難なくクリアするためには十分な練習量が必要となってくる。階段を利用すれば、こうした木の根や岩の多いトレイルでのライディングを想定して楽しく学ぶことができるだろう。まずは、適切な階段がある場所を探してトライしてみよう。難なく階段を下りることができるようになったあとは、階段を下りる途中で前述のマニュアルを試してみよう。技術が更に高まるはずだ。
7. コーナリング
正しいコーナリングをマスターすれば、ダウンヒルトラックでの速さも目に見えて向上するので、時間をじっくりかけて自分のスタイルを確立し、正しく滑らかなコーナリングを練習する価値は十分にある。想像力を少し働かせれば、タイトな裏道や曲がりくねった路地がコーナリングのテクニック向上や鋭い切り返しの方法を学ぶための恰好の舞台へと早変わりするはずだ。高速ターンと低速ターン、そのどちらもバランスよく練習しておくと良いだろう。