近年、メンタルヘルスは重要なテーマとして扱われており、話題に取り上げられる機会も多い。これは当然の流れと言える。メンタルヘルスの問題は現代人全員に関係があり、すでに様々な形で表出しているからだ。
メンタル関連の問題を抱えた経験がある、または周囲にメンタルの問題を抱えている人がいる(本人が明かす / 明かしていないを問わず)人は多いはずだ。多様なストレスに囲まれている昨今、メンタルヘルスの問題を克服する方法を見出す重要性がこれまで以上に大きくなっている。
そこで役立つのがMTBだ。アドレナリンとアクション、サプライズに満ちたこのスポーツには、メンタルヘルスの問題に立ち向かうために必要な要素が全て揃っている。
なぜ、MTBがメンタルヘルスの改善に効果的なのか? その理由を7項目に分けて解説していこう。
1. エンドルフィンの分泌
MTBは突き詰めれば "運動" で、運動をするとエンドルフィンが分泌される。エンドルフィンとは、多幸感をもたらし、ストレスと不安を軽減する快楽ホルモンだ。また、運動は体内で増加するコルチゾール(ストレス系ホルモン物質)を抑える働きもする。
つまり、コルチゾールをコントロールすればストレスを軽減できるのだ。ある研究は、運動をすればうつ病発症のリスクを20%まで低減できることを示している。
2. 自然の偉大さ
幸運なことに、MTBには元々自然が重要な要素として含まれている。トレイルで過ごす時間は、自然との触れ合いをもたらし、日常生活のストレスから遠ざけてくれる。ただし、ジャンプの先にある木と仲良くなりすぎるのは禁物だ!
3. 大局観
頭だけで考えて堂々巡りになってしまうと、人生で何が本当に大事なのかという大局観を簡単に失ってしまう。
山や森、原野に出れば、世界の広さ、そして人生には野生動物や空気、自分たちの生命など、かけがえのないものが数多くあることを思い出せる上に、人間より大きな存在を意識することで、自己中心的な考えを抑えられる。地球が人間のために回ってはいないのを知るのは良いことだ。
4. 瞑想
瞑想は「ある意識や行動、物事に集中し、クリアな精神と落ち着いた感情を得ること」と定義できる。パブリックイメージとは異なり、毎回お香を焚いて座り込む必要はない。
バイクに乗って外に出て、体が命じるままにライディングし、雑念から自己を解放したり、心を解放したりするのも立派な瞑想なのだ。
多くの思考が入り乱れ、否定的なものに溢れる現代社会において、瞑想は心のノイズを減らすためのパーフェクトな手段だ。心を休ませ、何も考えないようにするのは重要だ。心を休ませれば、クリアでリフレッシュした自分と共に日常へ戻れる。
5. 達成感
不安と戦っている自分を想像してみよう:元気一杯でハッピーな数日間(あるいは数週間・数カ月間)を過ごしてきたのに、またしても突然の不安感に襲われ、心が打ちのめされ、恐怖で満たされる。間違いを犯したような気分、問題から永遠に抜け出せないような気分になってしまう。
何かに取り組めば、このような気分の落ち込みが改善し、最後には自信を取り戻せる。ジャンプを上手くメイクした時、難関ヒルクライムを乗り越えて頂上に辿り着いた時の素晴らしい気分を想像してみよう。
これらは自力でチャレンジを乗り越えた結果と言い換えられる。これらの小さな勝利は、何かに専心すれば何でも達成できることを思い出させてくれるだろう。
6. コミュニティ
メンタルのネガティブな問題を取り除く努力には、孤独や恐怖が付きまとうことがある。だからこそ、家族や友人の暖かいサポートの輪は非常に重要だ。家族や友人がそばにいてくれるだけでも、心からストレスが取り除かれ、何よりも自分を笑顔にしてくれる。むしろ、ほとんどの場合はこれだけで十分だ。
その意味で、MTBコミュニティは最高だ。インターネットでパワフルな存在感を放っており、世界各地に社交的なグループを持ち、成長の一途を辿るレース / イベントシーンも抱えている。このコミュニティには自分が参加できるものが必ずある。
大人数が苦手な人なら、同じ志を持つライダーとの交流や、少人数のライディングセッションが楽しめるFacebookページをチェックしてみよう。また、女性だけのグループも数多く存在する。
7. 喜び
メンタルヘルスの問題で最も厄介なのは、人生のあらゆる喜びを奪い去り、日々を暗くしてしまう可能性があることだ。よって、"何かを楽しみにしている状態" は絶大な効果を発揮する。
MTBのエンドルフィン、自由さ、コミュニティを知れば、きっと次のライディングが待ちきれなくなるはずだ。MTBは人生の喜びを呼び覚まし、未来への希望をもたらしてくれるだろう。