薄い空気の中でジャンプの瞬間を迎えようとするロゾフ
© Nika Lebanidze/Red Bull Content Pool
ベースジャンプ
世界新記録! 標高7,696mからベースジャンプ!
ヴァレリー・ロゾフがヒマラヤからの史上最高度ベースジャンプに挑み、世界記録を更新した!
Written by Dominique Granger
読み終わるまで:4分Published on
1分Valery Rozov breaks a world record once moreValery Rozov broke the highest BASE jump record on Mount Cho Oyu at 7700m.
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自宅のリビングルームでくつろぐのが好きな人がいると思えば、じっとするのが苦手で、外の世界に飛び出して繰り返し世界記録を更新するのが好きな人もいる。スカイダイビング/ベースジャンプのレジェンド、ヴァレリー・ロゾフの場合は明らかに後者に当てはまる人物だ。

ロシアのベースジャンプ・レジェンドによる世界新記録

2016年10月5日、中国とネパールの国境地帯にまたがる世界で6番目に標高の高いチョ・オユー山での21日間の登山を経て、ロゾフは自らが選定した標高25,250フィート(約7,696m)の崖から極めて薄い空気の真っ只中に飛び立ち、2013年に彼自身が記録したそれまでの最高度ベースジャンプ世界記録を1,600フィート(約487.6m)上回るベースジャンプに挑んだ。
2016年10月5日、中国とネパールの国境地帯にまたがる世界で6番目に標高の高いチョ・オユー山での21日間の登山を経て、ロゾフは自らが選定した標高25,250フィート(約7,696m)の崖から極めて薄い空気の真っ只中に飛び立ち、2013年に彼自身が記録したそれまでの最高度ベースジャンプ世界記録を1,600フィート(約487.6m)上回るベースジャンプに挑んだ。
今回の挑戦は3年間思い続けてきた夢であり目標だった
ヴァレリー・ロゾフ
標高8,201mのチョ・オユー山南西壁からベースジャンプを試みることはもちろん、この山に登山すること自体が素晴らしい功績だが、この登山はクルーにとって簡単なものではなかった。
積もったばかりの新雪と、数日間続いた過酷な悪天候によってクルーは最初のアテンプトで離陸ポイントまでたどり着くことができなかった。その後、2度目のアテンプトに挑むまで、彼らは丸1週間もの待機を強いられた。しかし、天候が好転し、雪が解け始めるのを確認した彼らは、挑戦の時がやってきたことを理解した。
90秒間にもおよぶ純粋なフリーフォールを味わった後、ロゾフはパラシュートを展開。さらにそこから2分間の滞空を楽しんだあと、着陸地点に想定していた標高20,000フィート(約6,096m)地点の氷河の上へ無事に着陸した。

限界知らずの男、ヴァレリー・ロゾフ

このロシア人レジェンドにとって限界とは常にプッシュされるものであり、彼にとって不可能なチャレンジはもはや存在しないように見える。
登山とベースジャンプの両方で豊富な経験を有する現在51歳のアスリートは、これまでにも様々な世界記録を樹立してきた。2013年5月初旬、彼はエベレスト・マシフにあるチャングトスの標高23,680フィート(約7,217.6m)地点からのジャンプし、当時の世界記録となる最高度ベースジャンプを成功させている。

2013年のベースジャンプをチェック!

4分Altitude B.A.S.E. Jump - Valery RozovValery Rozov flew off the north face of Mount Everest – world’s highest BASE jump ever (7220 meters)
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ロゾフは高い標高地点からのベースジャンプ/スカイダイビングに関してはどのベースジャンパーよりも豊富な経験と実績を誇っている。しかし、彼はエベレスト山脈周辺だけではなく、世界各地の山々にも挑戦の場を広げており、このような超絶ジャンプは長年に渡る経験とトレーニングがなせるものだ。

2013年までにロゾフが世界各地で達成したベースジャンプ ベスト7

2013年までに記録されたロゾフのジャンプ
2013年までに記録されたロゾフのジャンプ© Khalil Jeremias Emede
2009年、ロゾフはロシア極東にあるカムチャッカ半島のムトノフスキー火山においてスカイダイビングを達成した世界で初めての人物となった。
2010年、ロゾフは南極大陸・ウルヴェタンナでスカイダイビングを成功させ、さらにはペンニネアルプスのマッターホルンから史上初のベースジャンプも成功させた。
2012年、彼はインディアン・ヒマラヤ山脈のシブリング山で標高21,000フィート(約6,400m)地点からスカイダイビングし、続けて2013年にはモンブラン・マシフのグランド・ジョラス南壁の標高13,000フィート(約3,962.4m)地点からのベースジャンプにも成功。世界で最も標高の高い地点からのベースジャンプ記録(当時)を更新してみせた。
また、今回のチョ・オユー山でのベースジャンプに先駆け、彼はタンザニアのキリマンジャロ山の標高17,900フィート(約5,455.9m)からのジャンプにも挑んでおり、キリマンジャロ初のベースジャンプを成功させていた。
「限界への挑戦に年齢は関係ない」のだ。
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