RedBull.com asks racing drivers which corner at the Nordschleife they find the scariest.
© Aston Martin
Motoring

ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェの最恐コーナーは?

"緑の地獄" として知られる世界最難関サーキット、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェ。全長約20kmのこのロングサーキットに潜む冷や汗ものの最恐コーナーを、耐久系トップドライバー6人が選出した。
Written by James Newbold
読み終わるまで:6分公開日:
かのジャッキー・スチュワートニュルブルクリンク・ノルドシュライフェに「緑の地獄(The Green Hell)」という悪名を名付けたのには相応の理由がある。
ドイツ北西部の深い森に抱かれ、合計154ものコーナーと高速で激しいアップダウンを有する全長20.6kmのこのサーキットは、世界屈指の難関コースなのだ。
この難コースを完全攻略したドライバーには "リンクマイスター" という称号が与えられるが、今回RedBull.comは6人のリンクマイスターにノルドシュライフェ最恐セクションを選んでもらった。

ベルクヴェルク(Bergwerk)

選出者:レネ・ラスト(2014年ニュルブルクリンク24時間レース優勝)
ノルドシュライフェは世界屈指のチャレンジングなサーキットだね。F1で使用されるサーキットのようにワイドに走れるランオフエリアがたくさんあるわけじゃないから、肝っ玉のデカさが必要なのさ!
中でも、ベルクヴェルクは最も恐怖を感じるコーナーだ。なぜなら、あそこに辿り着くまで路面コンディションが分からないからさ。木々の影が覆っていたり、雨が降ったりすると、路面の状態が見えにくくなるんだ。
通常だと、ベルクヴェルクの直前のコーナーは全開で抜けるから、エントリー速度は高く、極めてギリギリのブレーキングを強いられる。とても危険なセクションだよ!

ムットクルフェ(Mutkurve)

選出者:イェルマー・ブールマン(2013年ニュルブルクリンク24時間レース2位)
私の脳裏にまず浮かぶのは、カルッセルKarussell)の数コーナー手前に位置するムットクルフェですね。250km/hの高速で飛び込むコーナーなのでとても恐ろしいです。タイヤのグリップレベルによって、少しアクセルを離すかダウンシフトするかのどちらかになります。
基本的には、ムットクルフェはダブルエイペックスの左コーナーです。1個目のエイペックスはややタイトで、ここ自体は特に問題はないのですが、コース右側に少しでも膨らみすぎてしまうと、2個目のエイペックスはクリアできません。
走るたびに「もっと速く攻められたはず」と思わせるタイプのコーナーですが、少しでも高過ぎる速度で進入してしまえば、"トゥーマッチ" になってしまいます。
だからこのコーナーはムットクルフェ(Mutkurve)と呼ばれているんです。「勇気のカーブ」という意味なんですよ。 

プランツガルテン II(Pflanzgarten II)

選出者:ステファン・ミュッケ(FIA世界耐久選手権 LMGTE-Proクラス通算6勝)
ノルドシュライフェはすごく特別なんだ。F1などで使用されるGPサーキットから分岐して左へ曲がると、まるで異世界にやってきたような気分になる。
強烈にうねったフックスレーレFuchsröhre)のように、マシンを信頼しなければならない恐ろしいコーナーがいくつも存在する。フックスレーレは全開で抜けて行くんだけど、マシンは何度もハードに底打ちするから、全て問題ないことを信じながら走る必要がある。
それでも、僕が最も恐怖を感じるセクションは、おそらくプランツガルテン IIだ。
ここは事実上最後のジャンプスポットで、クレスト(坂の頂点)から全開で飛び出して、そのままダウンヒルを下るんだ。正確にクリアする必要がある。内側の縁石にタッチしてしまえば、その瞬間にマシンが宙を舞ってしまうからね。
そのあとは右〜左のクイックな切り返しがあるけれど、タイヤが良ければ全開でいける。単独で走っていても怖いけれど、200台以上のマシンが一緒に走っている時の緊張感は凄いよ!
ノルドシュライフェの1ラップは本当に素晴らしいから、2ラップもコースを独り占めできるスーパーポールの予選は最高だよ!

シュヴェーデンクロイツ(Schwedenkreuz)

選出者:ケビン・エストレ(2014年ニュルブルクリンク24時間レース予選ポールポジション)
最も恐ろしいコーナーは、アーレムベルクAremberg)の直前にあるシュヴェーデンクロイツの左コーナーだと思う。6速のまま、ほんの少しブレーキをタッチして、フルパワーでコーナーに突入する。少なくとも255km/h以上は出ていると思う。
ほんの4m先にはグリーンとガードレールが待っていると考えると、ものすごく怖い。でも同時にすごく楽しいんだ!
アーレムベルクではブレーキがばっちり決まったマシンが必要だから、直前のシュヴェーデンクロイツでオーバースピードになってしまうと、アーレムベルクでのブレーキングが間に合わずグラベルに突っ込む羽目になる。
ここはコース全体でも最も幅の狭いセクションだ。前を走っているドライバーがこちらをミラーで確認していて、シュヴェーデンクロイツの先でも左側のラインをキープしてくれていれば問題なく追い抜けるけど、右側のラインをすぐさまカバーされてしまうとオーバーテイクは不可能で、その先に続くフックスレーレでの追い抜きも極めて困難だ。レースのカギになるポイントだね。
RedBull.com asks racing drivers which corner at the Nordschleife they find the scariest.

美しくも危険なノルドシュライフェ

© Aston Martin

ベルクヴェルク(Bergwerk)

選出者:クリストファー・ミース(2015年ニュルブルクリンク24時間レース優勝)
ひとつのコーナーだけを選ぶのは難しいな。ノルドシュライフェ全体がものすごく恐ろしいと言えるからね!
前回走ったレースでプラクティス中にガス欠を起こしてしまって、ベルクヴェルクのコース脇で立ち尽くしていたんだけど、ふと右手側にある斜面の20〜30m下を見ると、ヘルシュブロイヒの街並みが見えた。つまり、このコーナーでコース外に飛び出してしまえば、ヘルシュブロイヒのど真ん中に着地してしまうんだ!
ベルクヴェルクは高速セクションだ。その直前のラウダリンクLauda-Link)が余裕で全開にできるセクションだから、ベルクヴェルク進入時には約250km/hは出ている。だから、ちょっと怖い。でも、ノルドシュライフェで危険について考え始めたら、その時点で負けだよ。
このサーキットは好きか嫌いかのどちらかに別れるね。僕は大好きだ。低速から中速、高速コーナー、ブラインドコーナーまであらゆるタイプのコーナーが揃っていて、サーキット全体が魅力的なジェットコースターなんだ。
RedBull.com asks racing drivers which corner at the Nordschleife they find the scariest.

ノルドシュライフェはランオフエリアが少なく、ひとつのミスも許さない

© Jaguar

シュヴェーデンクロイツ(Schwedenkreuz)

選出者:ノルベルト・シードラー(Blancpain耐久シリーズ 優勝)
ノルドシュライフェには数多くの恐ろしいコーナーが存在しますが、その中で "最恐" といえば、もちろんシュヴェーデンクロイツでしょうね。
レインコンディションでは特にトリッキーです。コーナー中央に大きなバンプがあるので、ターンインが早すぎる、もしくは遅すぎると、マシンの挙動が乱れて軽いスナップオーバーステアになってしまいます。
シュヴェーデンクロイツはかなりの高速コーナーで、乗っているマシンによっては全開でクリアします。予選モードのMercedes SLS GT3ではほぼ全開でした。本当に素晴らしいコーナーですが、何度かアクシデントを目撃していますし、極めて危険なコーナーになりえます。