The hacks and race craft of obstacle racing
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フィットネス

世界王者が教える障害物レース攻略ガイド

障害物レースのワールドチャンピオンに3度輝いた女子アスリートが泥の中をスピーディに進むために必要なヒントを教えてくれた。
Written by Katie Campbell Spyrka
読み終わるまで:7分公開日:
障害物レースの泥水に身を浸したいと思っているなら、ワールドチャンピオンからアドバイスをもらうのがベストだ。
今回はシューズの選び方から握力の鍛え方、そして栄養補給の方法まで、リンジー・ウェブスターが障害物レースの内容をレベルアップするためのアドバイスを送ってくれた。

1:正しいシューズを選ぶ

シューズは障害物レースの成否を分ける重要なアイテムなの。実体験から言っているから信じて。
障害物レースは泥、湿って滑りやすい岩や木の根、テクニカルな地形、濡れている木製の壁などを走らなければならないから、これらを攻略するために欠かせないシューズの機能をいくつか紹介しておくわ。
足首のサポート:足の動きを安定させるシューズを選びましょう。メッシュ製の柔らかいシューズは向いていないわ。
深い溝:トレイルランニング用のシューズの裏はタイヤの溝のようになっているの。溝の深さが3~5mmのシューズを選びましょう。
優れたラバー:ラバーをチェック項目に入れている人は少ないけれど、滑りやすい岩の上や湿った木製の壁を走るためにはラバーのクオリティをチェックするのが非常に重要よ。
パッドが分厚いシューズは避けましょう。パッドは水分を吸収するから、シューズが重くなってしまうの。だから、パッドが薄いレース向きのシューズを選んで。
わたしのお気に入りはMerrell All Out Crush 2Salomon S-Lab Speed(Salomon SpeedCrossは水分を吸収して重くなるので避けること!)、あとはIcebug Zealね。

2:正しいウェアを着る

コットン製のギアは避けましょう。水と泥を吸収してしまうから、動けなくなるほど重くなってしまうわ。
わたしは暑い日もタイツの上にショーツを履いて走っているの。なぜなら、泥や障害物で脚が傷つかないから。コンプレッションタイツのような薄いタイツを探してみて。
わたしのオススメはMarena Sportね。耐久性が高いし、めくれあがることもないし、とても薄いから、脚が熱を持ちすぎないわ。暑い日はスタート前に濡らしておけば、体温を下げてくれる。
グローブは個人の好みだと思う。わたしは使わないけれど、寒い日のレースや、障害物でアザを作りやすい人にはオススメだと思うわ。泥で濡れたあとも熱が逃げないネオプレン製のグリップ力に優れた製品を選ぶべきね。
わたしのお気に入りは、Darkfin(濡れている障害物でも優れたグリップ力を発揮する)とBleggMitt(ネオプレン製のミトン型グローブで障害物を乗り越える時に手を出せる仕様になっている)ね。
気温が低くてウインドブレーカーを着たい、またはフードや水を運びたいなら、Salomon Sense Ultra 5がベストだと思うわ。フィーリングが素晴らしいし、キャメルバックのように背中で跳ねることもないの。
あと、個人的には水は胸側で運ぶ方が快適。キャメルバックのような製品を使って背負っていると、障害物をくぐり抜ける時にひっかっかってしまうの。

3:ランニング能力を鍛える

まずは、障害物レースの90%はランニングで10%が障害物だということを忘れないようにしましょう。
障害物をクリアできなくてもペナルティを加算すれば問題ないけれど、障害物がない部分は自力で走らなければならないわ。
時間をかけてランニングのトレーニングを積んで、レース当日にランニングの距離に負けないようにして!
わたしは、ランニングのトレーニングを丘の多いトレイルでこなしているの。ハードランの60%は未舗装のグラベルで行っていて、アップダウンの激しい地形で1.6kmインターバルや丘を登るトレーニングを積んでいるわ。
あとは、テクニカルなマウンテントレイルでの登りと下りのタイムトライアルもしているわ。

4:握力と上半身を鍛える

障害物の多くは優れた体幹と握力があればクリアできる。モンキーバー(うんてい)やロープホイストなどは全て握力がカギよ。
チンアップ(懸垂)、ファーマーズキャリーデッドハングモンキーバー(近所のジャングルジムが代わりになることもあるわ)を週2回、筋力トレーニングに組み込んでみましょう。
わたしのお気に入りは “フレンチーズ(Frenchies)” という名前の、アームロックチンアップをミックスしたエクササイズ。これは握力と上半身を鍛えられるの。
チンアップの要領で体を持ち上げて、肘が90度になったらそのまま腕を固定してアームロックのポジションを取る。
このポジションを3秒キープしたあと、体を下ろして3秒休む。そのあとは、チンアップで完全に体を上に持ち上げて3秒キープして、また体を下ろす。これを1セットにしてできなくなるまで続けるのよ。

5:情報に振り回されない

自分のレースをしましょう。楽しみながらベストを尽くすためにレースに参加していることを忘れないようにして。
タフなレース展開になりそうな時も、ライバルたちのInstagramでどんなトレーニングをしているのかをチェックするのはやめましょう。“自分がやるべきこと” に集中して、レースまでの全プロセスを楽しみましょう。
レース前は緊張するかもしれないけれど、緊張もレースの一部だから安心して。

6:正しい補給をする

レースコース上の全給水ポイントで水を補給しましょう。あと、レースでの栄養補給は、基本的には2,000カロリーと言われているけれど、1時間に200カロリーしか消化できないから注意が必要よ。
クリーンな食事でピュアなグリコーゲン炭水化物脂肪ナトリウムを摂るようにしましょう。わたしは、ココナッツオイルアーモンドバターを加えたバスマティ米を良く食べているわ。

7:レースコースを学習する

レース前にできる限りレースコースについて学んでおきましょう。レースの数日前からレースコースを走れるようにしているレースも存在するけれど、走れない場合は、マップを見て学習して。
どのセクションが自分にとって厄介なのかを見極め、そのセクションの攻略法を用意しましょう。あとは、自分の限界が試されるセクションも見極めておけば、レース当日にフルパワーで挑めるわ。

8:トレーニングでコンフォートゾーンの外に飛び出す

自分の得意分野に取り組んでいる方が楽しいけれど、自分が成長すべき分野について考え、その分野を成長させる方法を見つけて、トレーニングに組み込みましょう。
たとえば、濡れている障害物が苦手なら、両手を濡らしてモンキーバーとデッドハングに取り組んでみて。

9:緊張を利用して集中を保つ

緊張はプラスよ。なぜなら、アドレナリンがランニングスピードを高めてくれるの。
でも、緊張しすぎてしまえば、ミスをしたり、エナジーを無駄遣いしてしまったりするわ。だから冷静に集中しましょう。
レースコースを走っている自分をイメージしたり、深呼吸で呼吸をコントロールしたり、周りの人に話しかけて気を紛らわしたり、今までやってきた全てはこの日のためだと意識したりしてみて。
スタートラインに並ぶ自分を誇りに思いましょう。号砲が鳴って数分も走れば緊張が消えて、レースに集中できるはずよ。

10:目的に合わせてスタート位置を変える

スタートラインに並ぶ時は、自分が快適に感じる位置に並びましょう。
上位を狙いたいなら、普段より少し到着時間を早めて、前に並んでみて。楽しみたいだけなら、プレッシャーが少ない中ほどや後方が良いかもしれないわ。号砲が鳴ったあとで、自分の実力に合わせて他のランナーを抜いていけばOKよ。
でも、スタート直後に全力疾走しないように注意して。最初の1分はスピードを出しても良いけれど、そのあとは完走できるペースに落として走りましょう。