サイクリング
【世界初!】レッドブル=ボーラ=ハングスローエのライダーたちがグライダーの離陸をアシスト!
フロリアン・リポヴィッツを含むワールドツアーロードレースチームがペダリングだけでグライダーを離陸させる世界初のプロジェクトに成功! トップロードレーサーたちのビッグチャレンジのすべてをテキストと動画でチェック!
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世界初! ペロトンがグライダーの離陸をアシスト!
ツール・ド・フランス2025で個人総合3位に入り、マイヨ・ブランを獲得したフロリアン・リポヴィッツを含むレッドブル=ボーラ=ハングスローエ所属ライダー9人がスペイン・マジョルカで “ペダルパワーのみでグライダーを離陸させる” という世界初のプロジェクト《Peloton Takeoff / ペロトン・テイクオフ》を成功させた。
ライダーたちは全長1,500mの滑走路を最高時速54kmで走行。ピーク時合計6,500ワット・90秒間平均650ワット(着座)の出力でアンディ・ヘディガーが操縦するグライダーを離陸させた。
専用ハーネスを装着したバイクとグライダーを全長150mのケーブルで接続したライダーたちは、見事なチームワーク・筋力・精度で歴史を作った。
レッドブル=ボーラ=ハングスローエがグライダーの離陸をアシストする様子を動画でチェック!
25歳のリポヴィッツは次のように振り返った。「このプロジェクトのアイディアを初めて聞かされたときは、できると思えませんでした。飛行機を離陸させるなんてまず無理だろうと。ロードレースシーンではこのようなアイディアの実績はありませんでした」
レッドブル=ボーラ=ハングスローエ参加ライダー
- フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ)
- カラム・ソーンリー(英国)
- ダヴィデ・ドナーティ(イタリア)
- ニコ・デンツ(ドイツ)
- ヨルディ・メーウス(ベルギー)
- ティム・ファンダイケ(オランダ)
- ローレンス・ピシー(ニュージーランド)
- ハイス・シューンヴェルデ(オランダ)
- アドリアン・ボワシ(フランス)
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“世界初" の舞台裏
ロードレースは個人スポーツとして見られるときが少なくない。タイムトライアル形式で勝者はひとりだからだ。しかし、《Peloton Takeoff》は、ロードレースはチームワークがなければ勝利が得られないスポーツであることをあらためて示した。
しかし、グライダーを離陸・飛行させるために必要だったのは、ライダーたちのチームワークだけではなかった。ライダーたちは後方のグライダーを視認できず、グライダーも離陸後はライダーたちが視認できなくなったため、パイロットとライダーたちの連携も不可欠だった。
レッドブル=ボーラ=ハングスローエのエンジニアリング部門責任者、ダン・ビグハムは、今回のライダーたちのエフォートをレースで勝負に出るときのエフォートと比較し、次のように説明した。
「今回のエフォートはプロジェクト固有のものでしたが、レースで勝負に出るときのエフォートと比較することができます。どちらにもライダーたちのパワーバランスを取りながら集団としてまとまり続けるという難題が存在しているからです」
今回の成功に不可欠だったのが、ビグハムとチームが開発した専用ハーネスで、これによってライダーたちはパワーバランスを保ちながらペダリングを続け、美しいハーモニーを奏でながらグライダーを牽引できた。ビグハムは「ハーネスは非常に重要で、今回のために新規に開発しました。開発に何時間も費やしましたが、そのおかげで歴史を作ることができました」と続けた。
最低速度で飛行しながら、ケーブルをたるませないようにするためには高精度でグライダーを操作し続けることが必要だったが、パイロットのヘディガーにとってこのプロジェクトは長年の夢が叶った瞬間となった。ヘディガーは「人力で飛行できたのは最高でしたね。飛行機と自転車を組み合わせるという私たちの長年の夢をレッドブルが現実に変えてくれて本当に嬉しいです」と感想を述べた。
自転車と飛行機のコラボレーションは、科学・工学の新しい可能性を生み出した。ビグハムは今回のプロジェクトを “ロードレースのゲームチェンジャー” と評価しており、空力に関する自分の専門知識を活用して新しい何かを生み出せるチャンスになると考えている。
ビグハムは「離陸させるには各ライダーが約500ワットを出力しなければならないことがデータから分かっていましたが、それ以上の出力を狙いました。1ワット増えるたびにグライダーがさらに上昇できるからです。ですので、グライダーが高度100mに到達できたのは嬉しかったですね」と振り返っている。
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