エアロバティックス
【世界初!】エアレースパイロットがアルペンスキーコースを超高速低空飛行!
FISアルペンスキーワールドカープ・キッツビュールの名物コースを新しい視点からチェック!? 複数の世界記録を保持するエアレース・パイロットが世界最恐滑降コースのフライトプレビューに挑戦!!
ダリオ・コスタがまたも世界初を成し遂げた!
FISアルペンスキーワールドカップ・キッツビュール開催前、コスタはZivko Edge 540に乗り込むと、世界最恐滑降アルペンスキーコースとされる “ハーネンカム”(通称 “シュトライフ”) のタイトなコーナー群をすべてなぞる超低空飛行コースプレビューフライトを成功させたのだ!
コスタは、2003年に同コースを制しているレジェンドアルペンスキーヤーのダレン・ラルブスの上空を超高速飛行してシュトライフを見事攻略し、通常とは異なる視点からスキーファンと航空ファンを含む世界中の人たちに世界最恐滑降コースのプレビューを提供した。まずは、ページ最上部の動画でそのすべてを確認してみよう!
01
シュトライフとは
まずは、シュトライフを理解するために必要な数字をいくつか紹介しておこう:全長3,312mのこのコースの海抜1,665mに位置するスタートからフィニッシュまでの標高差は860mで、最大勾配は85%もある。
結果、シュトライフはFISアルペンスキーワールドカップ最難関・最恐コースとして認識されており、ベテラン中のベテランアルペンスキーヤーでも、マウストラップ、アルテ・シュナイゼ、ハウスベルクカンテなどの高難度セクションや最後のジャンプを含むこのコースで心身両面を限界まで試されることになる。
今年でハーネンカム開催は85回目を迎えたが、レース当日を前にコスタがレッドブル・エアレースパイロットならではの形で同コースを訪れた。彼は、米国人レジェンドアルペンスキーヤーのダロン・ラルブスがコースチェックをしている間に、最高時速350kmの超低空飛行で同じくコースチェックを試みたのだ。
今回のコースプレビューのようなプロジェクトは非常に難しいです。誰も挑戦したことがないため、参照できるデータが存在しないのです
02
ダリオ・コスタの挑戦
数十年に渡って、シュトライフでのアルペンスキーレースは、人間の限界に挑戦するアルペンスキーヤーたちが生み出す正真正銘のスペクタクルで世界中のスポーツファンを魅了してきた。
複数の特大ジャンプ、信じられない斜度と角度、そして息を呑むような超高速セクションを備えるこのコースは、滑降とスーパー大回転に挑むアルペンスキーヤーたちに超高精度パフォーマンスを求める。
しかし、この名コースがチャレンジを投げかける対象はアルペンスキーヤーたちだけではない。オーストリアの雪山の木の間を縫うように設定されているラインは、世の中が考える “飛行可能な場所” とはかけ離れているのだ。
それでも、コスタが前代未聞の “フライトでのシュトライフコースプレビュー” の計画を諦めることはなかった。
しかも、そのフライトはただのフライトではない。今回のフライトはどちらかと言えばエアレースの全開アタックに近かった。
コスタの駆る機体の最高時速は350km超、GフォースはF1を凌ぐ10G超で、しかも彼はハウスベルクカンテの端に設置されているレッドブル・アーチとフィニッシュゲートのアウディ・アーチの下をくぐる必要もあった。
使用機体
03
ダリオ・コスタの準備
シュトライフはもちろんのこと、アルペンスキーのレースコースをフライトしたパイロットはこれまでひとりもいなかった。そのため、今回のプロジェクトは今後長きに渡って語り継がれるはずだが、現在44歳のコスタはこの世界初フライトに向けてどのような準備をしたのだろうか?
コスタは次のように語る。「記録は破られるものですが、世界初は永遠に破られません。今回のフライト特有の難しさは、参照できるデータが存在しなかったところにありました。過去データがなければ、どんなに正しい準備をしていたとしても、“実行可能なのか?” という大きな疑問が残り続けます」
「もうひとつの大きな問題が、必要な許可の取得でした。フライング・ブルズがリスクアセスメント、航路、飛行方法、現地での私の準備に関連する書類を含む様々な細かい申請書を各担当役所に提出して許可を得なければなりませんでした」
実際のアルペンスキーレースと同様、今回のコスタも物理法則をねじ曲げて、“可能” の限界を押し広げようとした。アルペンスキーヤーが本番前に自分の滑りを脳内でイメージしている姿をテレビ中継などで見たことがあるはずだが、コスタも急斜面の高難度コースを安全かつ精確にフライトするために、ビジュアライゼーションを活用した。
「ビジュアライゼーションは大変でした。レッドブル・エアレースと同じように最初はコースを記憶する必要がありますが、レッドブル・エアレースのコースが時速370kmで飛べるようにコースがデザインされている一方、シュトライフではコースから外れて障害物にぶつかったり、機体のGフォースのリミットを超えたりしないように、すべてのセクションで機体のパワーを調整する必要があったので、かなりの労力が求められました」
エアレースのコースは時速370kmで飛べるようにデザインされていますが、シュトライフではすべてのセクションで機体のパワーを調整する必要があります
コスタの発言は、全体の難しさのほんの一部を語っているに過ぎない。
急峻な雪山の森の間を縫うように設定されている狭隘なアルペンスキーコースでのフライトは、計算ミスをしてコーナーでスピードを出しすぎてしまえば、旋回半径と遠心力が大きくなりすぎてコースアウトし、壊滅的なクラッシュに繋がる可能性があることを意味していた。また逆に、スピードが低すぎればGフォースが不足してコーナーでストールし、墜落してしまう可能性もあった。
つまり、オーストリア・ザルツブルクに拠点を置くこのイタリア人パイロットにとって、各セクションを理想的なスピードで飛行してフィニッシュラインを通過し、前代未聞のコースプレビューを完成させることは非常に大きなチャレンジだった。コスタは次のように語る。
「このようなコースプレビューは要求度が非常に高いです。誰もやったことがなかったので、参照できるものが何もありませんでした。機体の操縦は非常に難しかったですが、その理由はコースの難度だけではありません。たとえば、通過した2本のアーチは非常に低く、地表にさらに近づく必要がありました」
「また、シュトライフはほぼすべてが雪に覆われていて白いため、奥行きを掴むのも大変でしたし、最大斜度85%というのは完全な新次元で、パイロットとしての私にとって巨大なチャレンジになりました」
04
ダリオ・コスタとは
幼少時代から空の世界に興味を持っていたイタリア人ダリオ・コスタは、わずか16歳でパイロットデビューを飾ると、21歳を迎える頃にはボローニャの飛行クラブでパイロット理論を教える立場になっていた。その後、2003年にレッドブル・エアレースの動画を偶然見たことで、彼の人生は完全に変わることになった。
その瞬間からコスタはエアロバティック(曲芸飛行)にすべてを費やすようになり、2013年にはレッドブル・エアレースのフライトオペレーションマネージャーおよびExtra 330LXとZivko Edge 540のテストパイロットに就任した。
ダリオ・コスタ
そして運命の動画を視聴してから15年後の2018年、コスタの拘りが実を結んだ。レッドブル・エアレースのチャレンジャークラスデビューを飾り、イタリア人初のレッドブル・エアレースパイロットになると、2戦目には初表彰台を記録した。
近年のコスタはフライトの世界記録樹立と新記録更新に情熱を注いでいる。特筆すべきは2021年の “レッドブル・トンネルパス” だろう。トルコの高速道路の一部、カタルカトンネルを飛行機で通過したこのプロジェクトで、コスタは1つの世界記録を含む5つの新記録を打ち立てた。プロジェクトの全貌はこちら>>
2分
Red Bull Tunnel Pass
2021年9月4日早朝、イタリア人パイロットがトルコのカタルカトンネル2本を44秒以内で通過した! ギネス世界記録に認定された驚愕のプロジェクトを動画でチェック!
▶︎RedBull.comでは世界から発信される記事を毎週更新中! トップページからチェック!
関連コンテンツ