A screenshot of a large fight in PUBG.
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『PUBG』プロプレイヤーへの道を開くFACEIT
プロリーグの整備はプロプレイヤーの門をさらに狭くする可能性がある。この問題を解消するためにバトルロイヤルゲーム火付け役に導入されたマッチング / ランキングシステムを紹介する。
Written by Mike Stubbs
読み終わるまで:7分Published on
『PUBG』のプロシーンが大きな変化を迎えようとしている。
PUBG Corporationがサポートする地域(リージョナル)プロリーグが2019年からスタートし、おそらくこのリーグは世界最強の『PUBG』チームを決める主戦場として機能することになる。毎週対戦が行われる3シーズンを経て、グローバルLANイベントでクライマックスを迎えるフォーマットが用意されているこのプロリーグは、『League of Legends』にとってのLCSと同じような位置づけになる。
この大きな変化は長年求められていたものだった。esportsシーンへの本格的な進出を望んでいたPUBG Corporationは、この変化を誰よりも望んでいた。今までの『PUBG』のesportsシーンは、サードパーティのトーナメントオーガナイザーが個々のトーナメントやイベントを主催するという、Valveに近いアプローチが取られていたが、Valveレベルの不干渉主義を貫かない限り、このアプローチは長期的にはあまり機能しない。
しかし、高額の賞金総額を誇る新しいリージョナルリーグが立ち上がったことで、『PUBG』のesportsシーンとしての構造化がようやく進められることになった。これは世界レベルの知名度を誇るトップチームにとっては朗報だ。
一方、パブリッシャーがコントロールするシーズンやトーナメント、またはフランチャイズ制が実施されている他のesportsタイトルで確認してきた通り、グローバルレベルのビッグチームに安定した環境を提供することは、アップ&カミングのチームが下克上するチャンスを奪う可能性がある
『PUBG』の新リーグシステムには、トップで戦えるチームを短時間で作り上げるためのフィーダーリーグ(下位リーグ)も用意されているが、ほぼ全てのイベントでオープン予選が用意されていた旧来と比較すると、新規プレイヤーがラダーを駆け上がってトップの座を奪う確率が大きく低下することが予想される。
そこで登場するのがFACEITだ。
PUBG Corporationとパートナーシップを結んでいる彼らは、『PUBG』にFACEITシステムを組み込み、誰もが気楽に他の99人のプレイヤーとトーナメントレベルでのプレイを楽しめるようにしている。これは、彼らが『CS:GO』のようなタイトルで何年も前から使用しているシステムに似ているが、『PUBG』は100人同時プレイのタイトルであり、10人ではない。
FACEITの共同設立者 / チーフゲーミングオフィサーのAlessandro Avalloneは次のように説明している。
「この『PUBG』のFACEITには、他のesportsタイトルの人気を高めることになったFACEITの機能が数多く盛り込まれています。プレイヤーはFACEITのリーグ・トーナメント・ハブなどを利用することができ、その全てにラダー的な分かりやすいランキングシステムが用意されています。ですが、『PUBG』のバトルロイヤルという特徴を活かすために、フォーマットは多少変えています」
今のところ、FACEITは『PUBG』のコミュニティの間ではポジティブに受け止められている。実装されてからまだ数週間だが、多くのビッグネームがFACEITで長時間プレイしている他、アマチュアプレイヤーも万単位で参加しており、『PUBG』の真剣勝負を楽しみたいプレイヤーに理想的な環境を提供している。また、トップレベルでプレイできるようになれば、賞金や賞品を獲得できるチャンスもある。しかし、突き詰めて言えば、これら全てはFACEITをプレイする最大の理由の付け合わせに過ぎない。
Avalloneは次のように説明している。
「FACEITは、年間賞金総額に数百万ドルを用意していますが、賞金や賞品が一番の目的ではありません。確かに、賞金と賞品はセールスポイントのひとつですが、私たちのミッションは、プレイヤーが真剣勝負を楽しめる最高の環境を用意することにあります
真剣勝負の中で成長していきたいと考えているプレイヤーが集まるコミュニティに参加できるというのが最大のセールスポイントです。FACEITには、管理されたゲーミング環境、自分のスキルが評価されるトーナメントシステム、そして新しいタレントを見つけやすくする機能などが用意されています」
『PUBG』プロプレイヤーになる夢を支えるFACEIT
『PUBG』プロプレイヤーになる夢を支えるFACEIT© PUBG Corp
ゲーム内に用意されているランキング上位に食い込むことは、才能のあるプレイヤーとして注目される方法のひとつになる。しかし、マッチメイキングは真剣勝負とは大きく異なるゲーミング経験であることは確かで、FACEITが導入される前でさえも、それだけでは栄えあるプロプレイヤーのスクリムに自分の名前を加えるのは不可能だった。
しかし、FACEITはプロプレイヤーのようにプレイしたい人たちのコミュニティ自分のスキルを簡単にプロ相手に披露できる場所を用意している。そして、うまければ、名前を売り込むこともできるのだ。Avalloneは次のように話を続ける。
「FACEITのプラットフォームは複数のゲームに採用されています。アマチュアとプロフェッショナルの両方が参加する真剣勝負のゲーミング環境としてのFACEITは、努力とスキルを認められてスカウトされることを目指している未来の才能にとってパーフェクトな場所です
「この『PUBG』のFACEITでも、すでに複数のプロフェッショナルなesportsチームが新たな才能のスカウトに使用していることが確認されています」
『PUBG』のFACEITはまだスタートしたばかりだ。しかし、リージョナルリーグの発足によってオフラインイベントとトーナメントのオープン予選でビッグネームと戦える確率が低くなることを踏まえると、アップ&カミングな若手プレイヤーは間違いなくFACEITを通じて自分を売り込み始めるようになるだろう。
世界最強の『PUBG』プレイヤーを目指しているなら、FACEITから始める必要がある。ランキングの上位に食い込み、シーンのトップレベルのプレイヤーとのマッチを重ねていけば、プロチームから声をかけられる可能性、または同レベルの仲間を集めてトップイベントに参加できる可能性が出てくるかもしれない。
FACEITを採用している他のタイトルには、プロとランキング上位のプレイヤーだけが参加できる招待制リーグFPLが用意されており、「このリーグに参加できればプロはほぼ確定」と言われている。FPLに招待されるレベルのスキルを備えているなら、トップチームとの契約は時間の問題というわけだ
たとえば、『CS:GO』のRobin “ropz” Koolは、今から2年前、“チートをしている” と揶揄されるほどFACEITで無双だったことがきっかけとなり、現在はMousesportsの主力メンバーのひとりとして活動しており、複数のトップレベルのLANトーナメントで優勝も果たしている。
『PUBG』のFACEITがFPLをスタートさせれば、すぐにこのゲームでも同様のストーリーを耳にするようになるはずだ。Avalloneは最後にこうコメントしている。
私たちのゴールは、コンペティティブなコミュニティをサポートして、プロシーンの目に留まってステップアップするために必要なツールを提供していくことにあります。すでに多くのプロプレイヤーとセミプロプレイヤーから興味を持ってもらっています」
FPLはあくまでこのゴールを実現するための方法のひとつです。プレイヤーとの会話を重ねながら、ゴールを実現するための様々な可能性を考えていきたいと思っています」
『PUBG』シーンは様々な変化を迎えているが、幸運なことに、その変化のいくつかはシーンを向上させるためのものだ。新たなリージョナルリーグの導入に伴う最大の問題になると多くの人が予想していた部分のソリューションもこうしてすでに用意されている。
ランキング上位に食い込むのは簡単ではなく、ゲームによってはプロシーンに進出するのはほぼ不可能と言われている中で、『PUBG』にFACEITが導入され、トップチームは新しい才能をスカウトできる素晴らしい土壌を得ている。
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