釈迦坊主「RASEN  #2」
© Yusuke Kashiwazaki
ミュージック

釈迦坊主インタビュー『言語はあくまで音でしかない』

Red Bullがキュレートする“その場限り”のマイクリレー《RASEN》#2 参加ラッパーたちのプロファイル ②
Written by Keita Takahashi
読み終わるまで:3分公開日:
釈迦坊主「RASEN #2」

釈迦坊主「RASEN #2」

© Yusuke Kashiwazaki

——ラップをはじめたきっかけを教えてください。
ほかの音楽に比べると簡単にできそうだなって思ったんですよね。もともとバンドでギターやボーカルをやってたんですけど、ホストをはじめてバンドを辞めちゃって。それでホストを辞めたあとは歌舞伎町の知り合いしかいなくなった。音楽をする友達が全然いなかったんですよ。
ひとりでなにをしようかなって思ったときに、ラップだったらできるなと思って。宅録も楽だし、効率のよさでラップを選んだ感じです。
はじめるまではそこまでヒップホップも聴いてたわけじゃなかったし、音楽のルーツはヒップホップじゃないですね。
——これまで発表した楽曲で、自身の代表曲を挙げるなら?
“Thanatos”って曲でリスナーが広がったんじゃないかなと思いますね。
でもその曲も自分では気に入ってなくて。YouTubeとかで再生される曲って、自分のなかではあんま気に入ってないというか、即興で適当に作った曲なんですよね。
.

.

© Yusuke Kashiwazaki

"Thanatos"はタイプビートだし、バイブスだけで作った曲のほうがウケてる現状に困惑はしてるんですけど(笑)。まぁノリみたいな部分が共感してもらえたのかなって思ってます。
「RASEN #2」

「RASEN #2」

© Yusuke Kashiwazaki

——自身のラップスタイルの特徴はどんなところですか?
“なんて言ってるか聴き取れない”とはよく言われますね。日本語も英語も混ぜてるし、ゲームに出てくるアイテムをリリックに入れたり、マニアックだったりするんで。聴き取れたところで、ポーションとかエーテルって言われてもなんのこっちゃわからん、みたいな。
リリックを伝えるっていうよりは、音の感じが優先で、踊れたり、音楽として楽しいものを作ろうっていうスタンスではありますね。
言語でひとに伝えたいことはあまりなかったりするんで。あくまで音でしかないというか。
.

.

© Yusuke Kashiwazaki

——影響を受けた人物は?
いちばん影響を受けたのが、ゲームの『ファイナルファンタジー』(以下、『FF』)で。植松伸夫さんが作った『FF』のサントラが自分にとって最初の音楽のきっかけ。
音で空間を支配したり、音で情景を作るって感覚を植松さんの音楽から学んだので、ずっと植松さんのフォロワーではあるかもしれないですね。子供のときからずっと聴いてて、はじめて買ったCDも『FF6』のサントラでしたね。
ラッパーで最初に影響を受けたのは降神の志人さんです。ヒップホップって音楽の自由度を感じて、そこから海外の曲も聴くようになったんです。
ラップのリズムの感覚をつかむきっかけになったのはA$AP Rockyとかでしたね。“こんなにズレのない正確なリズムがあるんだ”って思えた。
.

.

© Yusuke Tsujihara

——今回のマイクリレーを振り返ってみていかがでしたか?
これまでもいろんなサイファーに参加したことがあったんですが、楽しいと思ったことはなくて。今日やってみて、はじめてサイファーっておもしろいなって思いましたね。
集まったメンツも自分が好きなひとたちだったんで、そういうアーティストたちと音楽でひとつの瞬間を作れるっていうことにめちゃくちゃピースを感じました。本当に楽しかったです。
——今後の予定と、将来の展望について教えてください。
音源を作ったり、イベントを主催したりするので、それを定期的に続けていく感じですかね。将来はまったく考えてないです。
.

.

© Yusuke Kashiwazaki

でも、売れなきゃ意味ないなと思っているので。こういうスタンスなんでアンダーグラウンド志向と勘違いされがちだけど、ぼくは常に売れたいと思ってますね。
.
.