Bose
© Suguru Saito
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Boseインタビュー『きよし師匠みたいにイジってくれていいんだよ』

Red Bullがキュレートするマイクリレー《RASEN》EP15 参加ラッパーたちのプロファイル ④
Written by Tetsuro Wada
読み終わるまで:5分Published on
今回のサイファーを振り返ってみていかがでしたか?
BIMと田我流は知ってたけどSkaaiくんは今日がはじめましてだったからどうなるのかなって想像していたけど、山あり谷ありで最後は家族のようになって最高でしたね。Skaaiくんのお父さんはぼくより年下って言ってたし、これまでRASENに出たラッパーのなかで最年長ってことになるのかな?
ライブとかと違って、観客もいないし、自分たちだけでどうにかしないといけない大変さはありますよね。音源になっていないものを一発撮りってこれまで意外とやったことなかったことだし、残るものだからミスれないでしょ。なので最初にオファーが来たときは一旦保留にしてて(笑)。でも、今日のみんなはきっちりこなしていて、シーンに残っているラッパーはやっぱりプロだなぁって。
RASEN EP15

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© Suguru Saito

自分の歌詞で気に入ってる部分は“あのM-1王者よりも年長者”ってとこですかね。田我流とトピックがかぶって、錦鯉ネタが先に振られてるのでよかったなぁって(笑)。錦鯉が50歳のM-1王者って話題になったけど、自分たちはそれよりも年上だし、結成から考えたら自分たちはとっくにM-1に出れないわけだし、横山やすし師匠だったら死んでる歳なわけですよ。そういうことを思いながら書きましたね。
それこそSkaaiくんくらい年の離れたラッパーといっしょに何かをやれる機会は貴重でした。西川きよし師匠みたいにイジってもらってもいいんだよとも思うし。
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現在の日本のヒップホップ・シーンについてはどう考えていますか?
若いラッパーとの交流ってあんまりないけど、例えばMCバトルが競技として極まっていってる現状とかは知ってて、それに限らず、自分たちが若い頃とはだいぶ変わってきているというのも感じてます。
でも今日一緒にやってみて、やっぱりステージに立ったり、歌詞や韻を考えて曲を作ったりするラッパー同士でしかわからないことっていうのは、年齢関係なくあるんだなっていうこともわかりました。よく松本(人志)さんが“芸人じゃないやつにはわからないこともある”って言うのとおなじような感覚かもしれないです。
RASEN EP15

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自身の現在のアーティストとしてのモードを自己分析するなら?
ラッパーってやっぱり歌詞から生活とか、思想とか、自分がどういう人間なのか、みたいなのが滲み出てくるのが魅力だとぼくは思ってて。今日の田我流のリリックを聴いても完全にそうだし。自分ならすごく遅く結婚して、子供ができて、50歳過ぎてお父さんをやっているというパーソナリティがラップに出てくるし、その視点でラップしてる人はあんまりいないからやってて面白いかな。子供からヒントをもらうとか、子供が観ているものにインスパイアされるとか、そういうことが増えてきましたね。
自分達の音楽は、子供世代にとって“なんて古いことを言ってるんだろう”みたいなことはよく考えてて。でも結局、誠実に歌詞に出来ることはその時々の自分でしかないなっていうのもずっと変わってないところかもですねぇ。
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影響を受けた人物は?
むずかしいね。直接的な影響でいったら自分にとってのビッグ3は根本敬さん、久住昌之さん、みうらじゅんさん。ぼくは彼らの弟子だと思ってるし、いまだに影響を受けてる。このひとたちを見本にすればいいんだってなるし。
みうらさんがこないだ“キープオンロックンロールじゃなくて、ループオンロックンロールなんだよ。おなじことやってればいいんだよ”って言ってて、すごくタメになると思いましたね。
あとは宮沢章夫さんとか高木完さんとか。いまだにそのひとたちが先輩としてバリバリやってくれているので自分達もまだ続けてていいのかなって。
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今後の予定と将来の展望について教えてください。
楽して儲けたい(笑)。
デビュー当時からANIはずっと“楽して儲けたいからなるべく動きは少なく”って言ってて、スチャダラパーは根本的にそういう意識。“楽して儲けたい”って言葉尻だけ取るとダメな感じするけど、儲かってないのはお前が頑張ってないからだ、みたいな空気が今は強すぎるし、実際みんな既に頑張ってて、今よりは楽な方がいいはずだろうし。だってザッカーバーグがいちばんそうやってるじゃんって。
自分たちはこれからも楽しくやって運がよかったら少し儲かる、って感じかな。結局ANIみたいに生きられるのがいちばんいいなって思いますね。
RASEN EP15

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スチャダラとしては今年もライブをやる予定がいくつかあるけど、それもコロナの状況次第だし、常にどうなるのかなぁって感じ。いいかげん戻らないとみんなへこたれちゃうよね。
でもそんななかでも、こうやって下の世代のラッパーのなかに誘ってもらえたりするのは大変だけどいちばんうれしいんですよ。そこで気づくこともあるし。リリックでも言ったけど、グルグルとおなじような所を回りながらも、螺旋を登っていって、さっきより少し高い所にANIとSHINCOと一緒にいる、みたいな感じがベストですね。
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