今回のサイファーを振り返ってみていかがでしたか?
ずっとRASENを視聴者として見てて、“自分がここに出たらどんなことができるんだろう”っていうのはイメージしてました。なのでオファーが来たときは“やっと来た!”って感じで。今回共演したラッパーのみなさんはもちろん自分も聴いてたひとたちだし、このメンツでできるのはアツいなと思いました。
今回の自分のリリックはヴァース全体で意味が通るものだと思ってるので、パンチラインを抜き出すのが難しいんですが、あえて挙げるとするなら“キャプテンじゃないけど生えてる翼”ってところですね。いわゆるキャプテンマークを腕に巻いているラッパーという感じじゃない自分でも、音楽を作りながらいい日々を過ごせてるので翼は生えてます。
現在の日本のヒップホップシーンについてどのように考えていますか?
まず、多様であるということは言えますよね。自分がここに呼ばれているという時点でかなり多様。“日本のヒップホップ”という言葉で括れないくらい巨大になってると思います。それがいいことか悪いことかはよくわかりませんが、単純におもしろいなと思います。
反面、たとえば“ラップで成功してGUCCI、PRADA買う”みたいな歌詞だけでは先がないなとも思ってて。ワードとしてのインパクトとか比喩で使うならわかるんですけどね。リスナーもそれを鵜呑みにして“お金稼いで高級ブランド買うのがイケてるんだ”って思っちゃうのは歪んだ価値観を作りかねないなと。もちろんUSのラップのそういうところがカッコいいと思う部分は自分もわからなくはないけど、日本なりの、自分たちなりのカッコよさの見せ方はもっとあるんじゃないかって気がします。
自身の現在のアーティストとしてのモードを自己分析するなら?
おそらく変な進化をとげたナマケモノといった感じだと思います。SUSHIBOYSに関して言えば、小中学校の同級生の3人で、そのころのノリがずっと続いてるって感じなんですよね。3人とも捻くれてるんだけど、実はその裏に真っすぐがあって。みんなが見ている方向とは逆を見ながら、アウトプットはみんなが見ている方向に放つ、というのかな。天邪鬼な部分なんじゃないかなと。そういうマインドでいまも楽しく音楽を作れてますし。でも、この2年くらいは自分たち的に納得いくものが作れてなくて。でも最近は徐々にペースとチューニングが合ってきて、いいものができてるって思えてます。
影響を受けた人物は?
今回のサイファーでもネームドロップした神崎先生ですかねぇ。自分たちの中学3年のときの担任だったんですけど。本当に絵にかいた公務員というか、最低限の動きしかしないんですよ。だから授業とかクソつまんなくって。そういうひとが担任だったからこそ、自分たちの“もっとクリエイティブにいこうぜ!”って意識が芽生えたというか。なんにもしない先生だったからできた環境があったんですよね。いまのSUSHIBOYSの核になるマインドは間違いなく中学3年の神崎先生がいたからこそできあがったと思ってます。
今後の予定と将来の展望について教えてください。
SUSHIBOYSのシングルがすぐリリースされる予定です。この3年くらいリリースせず満を持しての作品になるんですけど、その意味でもおもしろい曲になってると思います。いままで自分たちが教室の隅っこでやってたことをどんどん拡大していった結果生まれた変なものという感じで、SUSHIBOYSからしか生まれてこないものになってます。
今年はそのままどんどんリリースしていければなと思ってます。で、どんどんアクティブに山登ったり、海に潜ったりしていきたいですよね。
そして将来的には地元である埼玉の越生町に還元していきたいと思っていて。最近、越生町に太田道灌というひとの像が立ったんですけど、町のひとたちも太田道灌が越生でなにをしたひとかわかってないくらい知名度がない。一応、越生と太田道灌に関する嘘か本当かもわからない薄いエピソードがあり、駅前にでかい太田道灌銅像を建てたりする面白い方向へ歩いている町なのです。この間久しぶりによくサッカーしてた公園へ行ったら雑草生えまくりの橋は壊れてるみたいな感じだったので、ゆくゆくは越生町の町長になって太田道灌の銅像をたくさん建てたいです。
👉FARMHOUSEインタビュー『ゆくゆくは地元・越生町の町長になりたい、これはマジで』