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ミュージック

in-dインタビュー『自分は強い主張がある人間じゃない。だからこそ自分の感情をダイレクトに乗せる』

レッドブルがキュレートするマイクリレー《Red Bull RASEN》EP25 参加ラッパーたちのプロファイル ③
Written by Keita Takahashi
読み終わるまで:5分公開日:
今回のマイクリレーを振り返ってみていかがでしたか?
もちろんいままでのRASENも観てたんで、オファーが来たときはうれしかったです。で、昨日まではそこまで緊張してなかったんですけど、スタジオ入ってしっかり緊張しました(笑)。でも撮影はじまったら4人でのグルーヴみたいなものが生まれたので、いい感じにできたかなと。uinくんのビートも自分が乗せやすい好きな感じのビートだったし、どうラップしようかっていうのは考えてて楽しかったです。
最初はもっと淡々とやろうと思ってたんですが、24小節あって展開もあるので、やっぱりフックっぽい部分を作ろうと思って。自分、好きなんですよね、こういうサイファーでフックがある構造が。しかも普段は自分がフックを担うみたいなこともそこまでないので、今回はトライしてみたいなって。
in-d - Red Bull RASEN

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あとはサッカーが好きなので、どこかにサッカーにまつわる言葉は入れたいなと思っていて。自分が応援してるマンチェスター・シティFCっていうプレミアリーグのチームがあって、そこに所属してるジャック・グリーリッシュとベルナルド・シウバって選手がいるので、リリックの〈キングがいなくてもジャックがいる左ウィング/ゴールドより輝くシウバ/右ウィング〉のラインはその選手たちからイメージした感じっす。
あと、フックの部分の〈横にはイケてるフレンズ/次はオレの番〉は、自分が所属してるCreativeDrugStore(以下、CDS)のメンバーがこれまでRASENでカマしてるのを見てて書いた歌詞ですね。普段そこまで熱いことは書かないんですけど、せっかくなんで言葉にしてみようと思って。
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ラップをはじめたきっかけを教えてください。
中学生のときくらいからヒップホップは聴いていたんですよね。で、そこからBIMや18scottに誘われてラップをはじめるんですけど、最初は“自分がラップをやるなんて”って気持ちでしたね。でもそこからあれよあれよとOTOGIBANASHI’Sでの活動がはじまっていって、という感じで。ほんとに最初期のころは日本語ラップのインストを使って、見よう見まねの替え歌レベルの歌詞からはじまったんじゃないかな。
 
これまで発表した楽曲で自身の代表曲を挙げるなら?
最近出した“Cloud”って曲ですかね。リリックも脚色せずに“自分はこんな感じの人間です”ってことを書けたと思うし、submerseさんが手掛けたトラックも自分の好みのテイストで。最近DJの機会もよくあるんですけど、そこで自分がプレイしてるのがダンスホールレゲエとかアフロビーツ、アマピアノとかで。そういう意味でも自分の趣味がより前面に出た曲でもあります。いま制作中の曲もより自分の好きなものを素直に出していくって方向で作ってますね。
 
自身のラップスタイルの特徴はどんなところですか?
いまも探してる過程ですかね。自分は昔から強い主張がある人間じゃないと思ってるし、目標に対して強い思いがあるわけじゃないんだけど、逆に言ったらそういうひとってたくさんいると思うんですよ。だからこそ無理して背伸びして書くっていうより、なるべくフィルターを外して素のまま書くことで、おなじマインドのひとたちにも共感してもらえるんじゃないかなって。そのために自分の感情をダイレクトに乗せることを意識してるし、前よりもそういうことができてきたんじゃないかなって実感があります。
CDSでのスタンスはまたすこしちがっていて、もっと言葉遊びだったり、テーマに対しての大喜利みたいな部分もあるのでソロとは作り方が変わっていくって意識ですね、自分としては。
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影響を受けた人物は?
これ、恥ずかしいっすけど、やっぱりBIMなんだと思います。彼がラップしようって誘ってくれたってことは間違いなく人生のターニングポイントだったと思うし、考え方に関しても自然と影響は受けてるのかもしれないなって。BIM以外にもやっぱりCDSのメンバーは距離も近いし、いろんなことを教えてもらってる気がします。
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今後の予定と将来の展望について教えてください。
昨年末にCDSのアルバム『Wisteria』が出て、リリースツアーも終わったばかりなんですけど、これで終わりにせず動いてこうっていう話をしてるんで、まだ具体的ではないんですけどCDSとしての作品も間を空けずに出せればなって思ってます。
並行して、いま自分のソロも作っているんで、EPやアルバムって形にして早く聴いてもらえたらなって感じですかね。
長期的なビジョンとしては、いまソロでもグループでもやっていてすごく楽しいと思えてるから、このテンションを継続させていきたいなと思ってます。あとは将来、もっと魅力のあるひとになりたいなと。ひとに対して優しかったり、自分の考え方をしっかり伝えられたり……これはラッパーとかって関係なく、人間としての目標ですね。そのための客観性、自分と向き合うことから逃げないってことがこれからの自分の課題じゃないかなって思います。
 
 
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