Lisa Lil Vinci
© Suguru Saito
ミュージック

Lisa Lil Vinciインタビュー『ヒップホップへの熱量はほかの3人もいっしょだと気づけた』

レッドブルがキュレートするマイクリレー《Red Bull RASEN》EP27 参加ラッパーたちのプロファイル ②
Written by namahoge
読み終わるまで:5分Published on
—今回のマイクリレーを振り返ってみていかがでしたか?
曲作りも全部ひとりで家でやってて、友達とサイファーすることもあんまりないんで、こういう経験がすごく新鮮で。個人的に日本語のラップをあんまり聴いてないんで、今日の自分のラインに〈みんな気づくんだ/日本にこんなヤツいたっけ?〉ってあるんですけど、シーンのなかにいる感じもしないし。だからこそ、今日のサイファーでほかの3人のヴァース聴いて“ヤバッ!”みたいな。いい意味でめっちゃ食らいました。
自分もカマしに来たつもりではあるっすけど……今日でスイッチ入った気がしますね。みんなガチだな、こういう熱量で向き合ってんだなって。自分も胸のうちに熱はあるけど、自分だけかなと思ってたのが、“みんないっしょやん”みたいなのもあって。だからオレも音楽がんばらなきゃなって。自分の動き方をこれから変えていかなきゃなって思うぐらい、今日は学んだっす。
Red Bull RASEN EP27

Red Bull RASEN EP27

© Suguru Saito

—ラップをはじめたきっかけを教えてください。
もともとヒップホップが好きっていうわけでもなかったんですけど、小6のときの担任がKREVAの親戚で、そこで日本語ラップを知ったのが最初です。で、13歳のころから友達とメールのやりとりでリリックを送り合うみたいなことをやってて、それからネットの掲示板に書くようになって。14歳の終わりごろにはフリースタイルするようになって、ガチで曲を作りはじめたのは15歳くらい。
地元の長野でヒップホップやってるひとは少なかったし、現場もなかったから、YouTubeとかSoundCloudにアップして、“友達に聴かれるのも恥ずかしいな”くらいでやってたのが最初でした。……そういえば、将来の夢を学校で言わされるときも、オレはずっと“ラッパーになりたい”って言ってましたね。
Red Bull RASEN EP27

Red Bull RASEN EP27

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—これまで発表した楽曲で自身の代表曲を挙げるなら?
ライブでみんな楽しんでくれるのが“吹き飛ばしてくれ俺の鬱”っていう歌です。これ出してからちょっと名前が広がったかなってのはあったんで。落ちたときに曲作ることが多いんですけど、対処療法じゃないけど、曲作ったら誰かが評価してくれたり、自分とおなじ状況の人もいるってわかったんで、そういう反響で“あ、これでいいんだ”って思えたっすね。
—自身のラップスタイルの特徴はどんなところですか?
みんなやっぱフレックス系のリリックが多いけど、オレ自身は弱いとか強いとかどっちに思われてもいいし、本当は他人に見せたくないようなところも歌っていいと思ってるんで、まずそういったところが違いますね。
フロウやビートについては、作るそのときどきで全然違うから、ひとによって感じるスタイルは違うかも。自分としてはUSのフレッシュなラップをよく聴いていて、そっちの影響が大きいと思います。
Red Bull RASEN EP27

Red Bull RASEN EP27

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—影響を受けた人物は?
オレはヒップホップを哲学のように受け取ってて、曲っていうよりも性格とか生き方を学んでるんですけど、ガチでいちばんデカいのはXXXTentacion。自分が言葉にできなかったことを全部あのひとが言葉にしてて“ああ、そういうことか”みたいな。すごく彼の音楽に共鳴してる気がします。
でも自分は“あのひとがこっち行くなら俺は反対に行く”みたいな考え方をするから、身近で影響受けることってあんまりないっすね。ちょっと曲がってるところあるんで(笑)。
Lisa Lil Vinci

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—今後の予定と将来の展望について教えてください。
いつも流れに任せてって感じなんですけど、今日で気分が変わっちゃったんで、ガチで音楽やってみたいなって思いました。いままで以上に突き詰めて、感覚だけじゃなくて、もっと考える。いままでは、とりあえず曲ができたから出します、みたいな感じだったんで。だから今後の予定は“ガチで音楽します”かな。
そんな感じなんで将来についてもこれまであんまり考えてなかった。とりあえず海外に行きたいなってことくらい。でも、個人的にはあんまり音楽でビジネスしていくとは考えてなくて。逆にビジネスは音楽じゃないところで勝負したい。地元の友達で起業してるヤツもいるし、オレの父さんも自分で会社を立ち上げてるし、自分でもアパレルやったりしてるんで。なので、将来どうなりたいかっていわれたら、成功者になること。で、音楽は音楽で楽しみながら、なにかしら関わっていけたらなと思います。
Red Bull RASEN EP27

Red Bull RASEN EP27

© Suguru Saito

“人生をよくすること”がテーマなんですよ。毎日楽しいと思えたらいいと思う。一日の終わりに“今日も忙しかったな”とか“楽しかったな”とか考えて、それで次の日は昨日よりもなにかが起こるような人生にしたい。その手段のひとつに音楽もあるよっていう。
 
👉Lisa Lil Vinciインタビュー『ヒップホップへの熱量はほかの3人もいっしょだと気づけた』