Oracle Team USA sends it in America's Cup in Bermuda.
© Sam Greenfield/Oracle Team USA
セーリング

アメリカズカップのスピード&パワーを100秒で知る

アメリカズカップに挑む最新艇の強烈なスピードをノー・スローモーション、ノー・BGMの100秒の映像で体感しよう!
Written by Corinna Halloran
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2分

100 Sekunden rohe Segel-Action mit dem Oracle Team USA

アメリカズカップはセーリングシーンのゲームチェンジャーであり続けてきたが、35回目の開催となる今年のレースもそれは変わらない。
20年前のアメリカズカップのヨットの平均最高速度はわずか12ノット(時速22.22km/h)だったが、最近は風速6m以下でも40ノット(時速74.08km/h)と大幅にスピードアップしており、そのスピード下では風の音も聞こえない。
このようなヨットに乗り込んでいるクルーたちは超高速と大惨事の境界線の上に立ち続けながら、絶え間なく変化する状況やGフォースと格闘しながら操舵している。また、彼らとヨットの間にストラップが存在しないことについても触れておくべきだろう。そう、シートベルトを着用しないでF1マシンをドライブしているようなものだ。
そしてそのような状況の中、彼らは誰よりも速くヨットを飛ばすことを狙っている。これは怒り狂った雄牛2匹を瀬戸物屋に放り込み、店内の商品がひとつも壊れないことを願っているようなものだ。
2010年にBMW Oracle時代に挑戦艇として勝利したあと、2013年に初防衛に成功したOracle Team USAにとって、2017年のアメリカズカップは防衛2連覇を狙う大会になるが、その7年間を通じてヨットの開発を続け、セーリングシーンの限界を押し広げてきた結果、このチームのヨットは船というよりも宇宙ロケットに近い存在になっている。
今回のアメリカズカップ用最新艇は、セーリングを全く別のスポーツにしている。高速でパワフルだ。ミスをすれば容赦なく咎められるが、正しく扱えばそれだけの結果が得られる。僕たちの戦いはさらに進化した。もうあとには戻れない。
ジミー・スピットヒル(Oracle Team USA スキッパー)
今回は映像チームに、Oracle Team USAの最新艇のパワーを映像で表現するようにオファーを出したが、映像を見れば分かる通り、彼らは期待に応えてくれた。
マット・ナイトンを中心に、サム・グリーンフィールドとハビエル・サリナスも参加した今回の映像チームは、Oracle Team USAの最新高速艇の姿、そしてそのスピードをこれまで一度も見たことがない素晴らしい映像にまとめてくれた。
彼らは特別な機材を使用して、まるで視聴者がクルーのひとりになったかのかのように感じられるアングルで撮影した他、ドローンを船体の下に潜らせ、史上初となるボート下部の映像の撮影にも挑戦し、海上ドローン撮影の “聖杯” とも言える映像を手に入れた。グリーンフィールドはこの船体を潜らせる撮影に1年前から取り組んでいたが、『Raw 100』シリーズ最新作となる今作で初投入して見事に成功させた。尚、スキッパー(艇長)のスピットヒルが下に潜り込もうとしているドローンを確認してヨットをリフトアップしたため、今回の撮影が成功したとも言われている。いやはや、実に優秀なアスリートたちだ。
また、今回は船体の様々な場所にマイクを設置したため、この最速艇の上でどのようなサウンドが聞こえるのかも確認できる。スローモーションとBGMが存在しないこの映像は、アメリカズカップに挑むヨットの真の美しさ、パワー、そして優秀さを捉えており、我々はそれにただただ感動するしかない。
『Raw 100』は映像作家の才能とクリエイティビティに光を当てるための映像シリーズだ。「長さ100秒・スローモーションなし・BGMなし」というシンプルなルールが設定されているため、映像作家は常識の枠外でクリエイティブに考えて制作に取り組まなければならない。