クリフダイビング
入水まで約3秒？ 10Gの衝撃って？ Red Bull Cliff Divingは他のクリフダイビングと何が違う？ 知っておくべき技は？ 観戦がより楽しめる情報を本大会にも出場する日本人初&唯一のハイダイビング選手に聞く!
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【ハイダイビングの基本の“キ”を教えて】
ーーRed Bull Cliff Diving の見所を日本唯一のハイダイビング選手で本大会にも出場する荒田 恭兵さんにお聞きしていきたいと思います。そもそも、いま日本人のプロハイダイビング選手って荒田さんただ1人なんですよね？
荒田 恭兵（以下：荒田） そうですね。線引きが難しいですが、日本の水泳選手自体プロという概念があまりないと言いますか、賞金をもらうようになったらと考えると、こういう大会に出るようになってようやく自分もプロの仲間入りと言えるのかなという感じです。
ーーこの下に掲載した写真（今年の7月にイタリアで開催されたワールドシリーズ第3戦の模様）を見てもわかるのですが、海外ではかなり人気のスポーツのようですよね。世界にハイダイバーはどれぐらいいるのでしょうか？
※宮崎県高千穂で行われる大会は無観客開催となります。
荒田 選手登録されているのは世界で男女合わせて100人前後だと思います。おそらく現在も活動している選手の数は、もうちょっと少ないです。自分のように高飛び込み競技（10m）からハイダイビング(27m)に移行する人がほとんどですね。
ーー人数だけ聞くと少ないようにも思えますが、27mの崖から水面に（何度も回転しながら！美しく！）ダイブできる人間がそれだけいると思うと驚きです。正直、すごすぎてイメージができないです……。
荒田 とにかく27mの高さから飛んだ時の衝撃がすごいんですよ!
ーーと、いいますと？
荒田 落下速度が最高時速85kmで10Gのインパクト。10mの飛び込みの9倍の衝撃が加わると言われています。有名な絶叫系のジェットコースターが3〜5Gなので、その倍以上ですね。ハイダイビングは足から着水するので、ちゃんと成功したら足の裏しか痛くないんですよ。一気にズバッ！ と入っていくので逆に気持ち良いぐらいで。
ーーでも足の裏は痛いんですね……（冷や汗）。念の為に聞いておきたいんですけど、この写真に小さく写っているのが出場選手ってことで合ってますよね？
荒田 ハイ、合ってますよ（笑）。
ーーなるほど！ 非常にエクストリームなスポーツということが分かりました。めちゃくちゃ怖いですが、ちょっと体験してみたい気もします。
荒田 もし興味のある方は、まずはプールの飛び込み台の5mから徐々に慣れていきましょう。訓練した選手だからできることなので、安易に川で真似したりは絶対にしないで欲しいです。自分も発信の仕方にはすごく気を使っていて、今後はワークショップなどを開催して安全に楽しむ方法も伝えていきたいと思っています。
02
【入水まで約3秒。選手のどこをチェックすべき？】
ーー勝敗はスコア制とのことですが、入水までの時間は約3秒間。我々はどういった部分をチェックしていれば楽しめますか？
荒田 すごく簡単に言ってしまうと、
①どれだけ回転しているか
と
②いかに水しぶきを立てないか
ですね。この2点を見れば、どうだったかが分かると思います。
回転数や捻りが多くなればなる程、点数も高くなります。当たり前のようですが、クリフダイビングというスポーツは難易度の分、リスクが非常に大きいんですよね。ですから技術はもちろん、度胸も必要なんです。メンタルをコントロールして難しい演技を成功させられるかどうかで勝敗が分かれてきます。
ーーシンプルで分かりやすいですね。初見でも楽しめそうです！ 大会を見るにあたって知っておくべきトリックなどがあったりしますか？
荒田 【こちら】に基本的な技と型について詳しくまとめられているので大会前にチェックしておくことをオススメします！
ーー14シーズン目を迎えるRed Bull Cliff Divingですが、他のクリフダイビングの大会とどこがどう違いますか？ 他大会にない本大会ならではの魅力を教えてください!
荒田 やっぱりロケーションは大きな魅力の一つですね。こんなとこでやるの!? って思うような場所で毎回開催されているので、どの国の大会映像を見ても楽しめると思いますよ。
ーー確かに、雄大な自然や美しい景色も見所ですよね！今回の舞台となる宮崎県高千穂町はどういったところですか？
荒田 神話の始まった地としても有名で、神聖な場所として海外の選手たちにも認識されています。なかなか飛び込めない所なので、今回の会場として使わせてもらえることを嬉しく思います。下の写真が今回の会場ですね!
ーーおー！ まさに日本ならではの舞台というわけですね。本番は緊張感も相まって独特の空気になりそうです。
荒田 そうですね。昨日も練習でダイブして来たのですが、まさに聖域と言いますか、すごく厳かな雰囲気やエネルギーを感じることができましたね。本番も楽しみです。
ーー成功を祈ってます！ちなみにシーズン終了時に最強ダイバーの証として授与されるキング・カヘキリ・トロフィーというものがあると聞くのですが、それはダイバーにとってどんな存在ですか？
荒田 ハワイの大王の名前がついてるトロフィーです。もともと王が国民に勇気を示す為に崖から飛び込んだことがクリフダイビングの発祥と言われています。年間の得点が最も高い選手1人にしか与えられない物なので、ダイバーにとっての栄誉そのもですね。
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【プロ目線で語る大会の注目選手とは!】
ーー日本大会の配信が楽しみになって来ました！ アラタさんが注目している要チェックのダイバーを教えてください
荒田 まずはフランスのギャリー・ハント。クリフダイビング競技が始まった当初から第一線で活躍して来たレジェンドです。どんなタフなコンディションであってもほぼほぼ成功させてくる安定感があります。
※ギャリー・ハントについて詳しく知りたい方は【こちら】をチェック
ーー絶対王者と呼ばれている選手ですね。気になります！
荒田 そしてイギリスのエイダン・ヘスロップ。世界でいちばん難しい技を飛んでいる選手で、調子が良い時は誰も勝てません。後ろに4回転宙返りしながら、3回転半捻るんですよ。彼らの経験に裏付けされたメンタルはスーパーマン級です。
※エイダン・ヘスロップについて詳しく知りたい方は【こちら】をチェック
ーーすごすぎます。今すぐ動画で見たくなりました。これをリアルタイムで見られるのは興奮しますね。クリフダイビングの魅力が分かって来た気がします。それでは最後に大会への意気込みとメッセージをお願いします！
荒田 まず普段は絶対に飛んじゃいけない高千穂峡で特別に許可を取ってできるすごさ、その雰囲気を楽しんでもらいたいですね。あとは演技だけでなく、各選手の様子にも注目してみてください。緊張している表情や、成功して喜んでる姿、どんな練習をしてきたんだろう？ と想像したり、一緒に感情移入して見てもらえたら嬉しいです。
今回、日本人初の出場ということなので、自分のベストを出せるように全力を尽くしますので、応援よろしくお願いします。いろんな人の支えがあって、このRed Bull Cliff Divingという夢の舞台に立てた感謝を演技に込めますので、渾身のダイブをお見せできると思います!
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