ドリフト
【Red Bull Drift Mini】翼をさずかった常識破りのドリフトマシンを徹底解剖!
『Red Bull Tokyo Drift』でお披露目された「Red Bull Drift Mini」。その内部には常識を覆す構造変更が施されている。 フレーム、パワートレイン、サスペンション──。各部をひも解きながら、その正体に迫る。(Build by CUSCO / S&Company)
01
駆動方式
FF → FRへ完全変換
安定したドリフトアングルを維持しながら走行するには、FRレイアウトが不可欠。
しかし、今回ベースとなったFF車のF53ミニでは、リアタイヤを空転させてドリフトすることは不可能。そこで「どうせなら後輪から白煙を上げたほうがカッコいいでしょ!」という一言から、「Red Bull Drift Mini」は駆動方式そのものを見直し、FR化へと大きく舵を切ることとなった。
また今回のカスタムは、単純なFRレイアウトへの変更のみではなく、ドライバーが操りやすく安定したドリフトアングルをキープできるディメンションへと収められている。
自由度の高いサスペンションセットアップも考慮した車体作りがなされており、実践で培われた『CUSCO Racing』の手腕が遺憾なく発揮されている。
02
フレーム
すべての始まりは“骨格”
まずは「Red Bull Mini」の各部の採寸や新設するフレームの設計に着手。その後、車体をフレームのみの状態までバラバラにし、リアエンドやフロアパネルなどの不要部分をカット。さらにFR化に合わせてセンタートンネルや新規フレームを製作することとなった。
リアエンドはストローク量を確保するために再設計されると同時に、サンプリングカーとして搭載されていた冷蔵庫などの装備も排除。これにより軽量化が図られ、ドリフトに適した重量バランスを実現している。
単なるチューニングにとどまらず、剛性・ディメンション・重量配分をすべて再構築した、“骨格から作り直されたマシン” ── それこそが「Red Bull Drift Mini」だ。
03
パワートレイン
正体は、S14シルビア!?
フレーム設計と並行して進められたのが、パワー/ドライブトレインの選定。そこで目に留まったのが、実戦で使用されていた日産・シルビア(S14)だ。
計測の結果、ホイールベースは「Red Bull Mini」の方が20mmほど短いものの、エンジンやミッションの搭載位置は調整可能な範囲に収まっていた。さらにトレッドもほぼ同等であることから、ドライブシャフトを流用することでS14に近いフィーリングが再現できると判断された。
エンジンはS14シルビアのSR20DETをベースに、東名パワードのストローカーキットによって排気量を2.2Lへ拡大。ポンカムやボルグワーグナー・EFR6758タービンを組み合わせることで、最高出力は480psに到達している。
制御にはLINK・プラグインを採用し、現車合わせのセッティングを実施。実戦で使用されるエンジンやミッションをそのまま活用することで、新たに手を加えることなく、ドリフトに必要なパフォーマンスを発揮する構成となっている。
ミッションはトヨタ系5速MTに、ながおテクノ製クロスミッションを組み合わせ、デフにはR200とクスコ製LSDを採用。パワーとトルク耐性に優れ、ハードなドリフトにも対応できる仕様だ。
04
サスペンション
切れ角とストロークを両立
車高をアップしキャンバーを倒したフロントタイヤのセッティングは特徴的。もちろん、スタイリングとしての差異ではなく、ドリフトに向けたセットアップとしてのリニューアルポイントでもある。
このサスペンションは、クスコの車高調やアップライト、アーム類を使用し、十分なストロークとドリフトには欠かせない切れ角アップも叶えている。これらのパーツもS14シルビア用パーツを流用することで、これまで培ってきたセッティングノウハウを応用できる作りとなっている。
スタイリングとしての変化だけでなく、実際のドリフト性能を高めるためのリニューアルポイントだ。
05
ブレーキ
ドリフト専用セットアップ
ドリフトに不可欠な装備として、リアには油圧サイドブレーキを追加。通常のフットブレーキと併用することで、瞬時にリアタイヤをロックさせることが可能となっている。
キャリパーにはWINMAX製NMR6RMをツインで装着し、350φローターと組み合わせることで、強力かつ安定した制動力を確保している。
06
外装
ガルウイングで“翼をさずかる”
エンジンやサスペンションのセットアップが完了した後、車両は『S&Company(エスアンドカンパニー)』のファクトリーへと移動。ここで外装の最終仕上げが行われた。
エアロパーツの製作に加え、左右ドアにはガルウイング化を採用。これは単なる演出ではなく、イベントでの存在感を高めると同時に「翼」を視覚的に表現するディテールでもある。
こうして「Red Bull Drift Mini」は、ドリフトマシンとしての性能だけでなく、ビジュアル面でも強いインパクトを放つ一台へと仕上げられた。
07
インテリア
完全競技仕様
インテリアはノーマルのダッシュボードやドア内張りを残しつつ、大幅な変更が加えられている。
シートにはブリッド・ジータⅣバケットシートを採用し、クスコ製5点式ハーネスを組み合わせることで、ドリフト時の強烈な横Gでもドライバーをしっかりと保持する。
さらに、センタートンネルの新設に合わせてABCペダルのレイアウトも変更。クスコがレーシングカーにも使用するオルガンタイプを採用し、的確なペダルワークをサポートする設計となっている。
また、新設された前後フレームに直結するロールケージを装備。万が一のクラッシュからドライバーを守るだけでなく、カットされたモノコックフレームに強度と剛性を与えるレイアウトを採用している。480psのパワーを逃すことなく路面に伝える車体を完成させるうえでも、重要なポイントとなっている。
08
フィーリング
『Red Bull Tokyo Drift』にて実際に「Red Bull Drift Mini」のステアリングを握ったマッド・マイクにそのフィーリングを尋ねてみた。
すごく乗りやすい!!
「エンジンのパワーも十分だし、タービンのピックアップも良いから欲しいところでパワーが乗せられる。しかも思った方向に車体が飛んでいってくれるから、乗っていても楽しいんだよ」とのこと。
「Red Bull Mini」と「ドリフト」を融合する新たなチャレンジを成し遂げた「Red Bull Drift Mini」。様々な舞台へと繰り出していく今後の勇姿に、引き続き要チェック!
◆ 制作協力
CUSCO: https://www.cusco.co.jp/
S&Company: https://www.s-company.jp/