クライミング
【Red Bull Dual Ascent】スイスのダムでマルチピッチクライミングイベントが開催!
スイスの巨大なダムに設置された2本の人工ルートで2チームがスピードと精度を競い合う世界初のマルチピッチクライミングイベントが開催される。イベント詳細をチェック!
近年のクライミングは “競技性” が大きな一部となっており、クライマーは、自分、ルート、ウォール、自然、そして他のクライマーと競い合っている。
ジムやアリーナで開催されているクライミングイベントは運営が簡単だが、天候に左右される屋外イベントの運営は完全に異なる。ルート、ロジスティックスそして周辺環境への影響にいくつもの変数要素が加えられるからだ。
【Red Bull Dual Ascent / レッドブル・デュアル・アセント】が人工ルートを使用するクライミングイベントの境界線を突破している理由がここにある。
大抵のクライミングジムは高さ60〜70mでトップアウトになるが、スイスにある高さ220mのダム、ヴェルザスカ・ダム(Verzasca Dam)で開催される【Red Bull Dual Ascent】では、最高180mまでクライミングすることになる。
このようなマルチピッチ・クライミングイベントはまだ開催されたことがない。2022年10月26日から開催される【Red Bull Dual Ascent】は世界初の “2本の同一人工ルートで対戦するマルチピッチ・クライミングイベント” になるのだ。今回はこのイベントについて詳しく解説していく。
01
マルチピッチ・クライミングとは?
マルチピッチルートのクライミングは2人以上のチームで行われる。ひとりが “ビレイ(安全確保)” をする一方、もうひとりがスポーツクライミングでも知られる “リード” の要領で登っていき、ボルトで支点を構築する。
そのあとは役割が入れ替わり、今度は“ビレイ” を担っていたチームメイト(ビレイヤー)が次のピッチを登り、“リード” を担っていたクライマーが “ビレイ” しながら休息する。
通常、1ピッチは “ロープ1本(60〜70m)で登れる距離" と言われているが、実際の1ピッチは30〜40mのときもある。世界で最も有名なマルチピッチルートは、おそらく米国ヨセミテ国立公園内に位置する岩壁エル・キャピタンのルート、ザ・ノーズ(The Nose)だろう。
02
デュアルとは?
このクライミングイベントには屋外クライミングイベントではこれまで見られなかったものが用意される。2本の同一ルートが並列配置されるのだ。ルートは全6ピッチ・高さ180mで、ホールドも同じ形のものが同じ位置に配置される。このような “2本” の同一人工ルートが用意されるため、イベント名に “Dual(デュアル)” が含まれているのだ。
03
ロケーション
ロケーションとして使用されるダムに見覚えがある人は少なくないはずだが、その記憶は正しい。ヴェルザスカ・ダムは数々の映画の撮影ロケーションとして使用されており、映画『ゴールデンアイ』でジェームズ・ボンドがこのダムからバンジージャンプをするシーンが最も有名だ。
ヴェルザスカ・ダムは貯水量651,300㎥の巨大なダムで、ヴォゴルノ湖に毎秒1303㎥を放流して年間234GWh(ギガワット)を発電する。このアイコニックなダムが【Red Bull Dual Ascent】の舞台になる。
04
出場クライマー
最終リストはまだ確定していないが、サーシャ・ディジュリアン、フェリペ・カマルゴ、ペトラ・クリングラーをはじめとするワールドクラスのクライマー16人(8組)が集結する予定だ。また、ショウナ・コクシーが現地でサポート役を務めるのも見逃せない。
05
グレード
【Red Bull Dual Ascent】のルートは、ヤンヤ・ガンブレットが煙突を登ったプロジェクト【360 Ascent】のルート設定を担ったサイモン・マーゴンが率いるチームが設定した。ピッチのグレード(難度:フランス式)は6c〜8Bとなっている。言い換えれば “高難度” だ。
06
フォーマット
【Red Bull Dual Ascent】は10月26日から4日間開催される予定で、2日間の予選のあと休息日を挟んで決勝へと進む。2チームが完登まで約2時間が予想されている同一ルートで同一のロープとギアを使用して対戦する。
各チームにはすべてのピッチでのクリーンセンドが求められる。フォールが禁止されているわけではないが、フォールしたらそのピッチを最初からやり直さなければならないのだ。尚、両チームが完登した場合は、完登までのタイムで勝者が決まる。2人目が完登するまでがタイム計測の対象になる。
07
視聴方法
【Red Bull Dual Ascent】は現地観戦が可能(人数は制限される)だが、Red Bull TVでスペシャルドキュメンタリーが制作される予定となっているので、クライミングファンは楽しみに待ってもらいたい。
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